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zoom RSS 映画評「エヴァの告白」

<<   作成日時 : 2015/06/08 09:48   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2013年アメリカ映画 監督ジェームズ・グレイ
ネタバレあり

ニューヨークのエリス島で肺病を理由に入国を拒否されたところから物語が始まるのは先月観た「ニューヨーク 冬物語」とそっくり。ニューヨークの移民で最初に思い出す映画は「ゴッドファーザーPART2」ですかな。「チャップリンの移民」という短編もありましたが。

1921年、ドイツとソ連の狭間で苦しむポーランドを逃れてニューヨークに辿りついたマリオン・コティヤールは、肺結核で島の病院に隔離された妹アンジェラ・サラフィアンと離れ離れになったところで、紳士ホアキン・フェニックスが手助けを申し出る。
 彼は半裸の女性たちを舞台に登場させる興行主で、売春にも手を染めていて、いたく気に入った彼女が自分に好意を寄せないのを知ると、彼女にも仕事をさせようとする。大金により妹を救出したい彼女は神にすがりつつ懸命に仕事をこなすうち、彼の従弟で手品師ジェレミー・レナーと知り合う。
 共に彼女を思慕するいとこ同士は憎み合って、フェニックスがレナーを刺殺する仕儀と相成る。愛する女性を愛するが故に苦しめる自分に嫌気がさした彼は、マリオンから係官への賄賂の金を受け取るとダグマーラを解放させることに成功、二人を逃す為に自らは自首する道を選ぶ。

監督のジェームズ・グレイがアメリカでも大人気のマリオン・コティヤールの為に拵えたらしいメロドラマだが、幕切れの画面には映画的興奮を誘われた。左側の窓から小船に乗った姉妹が島から離れていく様子が見え、右側の鏡には自首して恐らく死刑になる道を選ぶフェニックスの姿が捉えられる。一つの画面に線対称的な構図を使って希望と絶望が同時に映し出される。これぞ映画の映像と言うべし。

死に行くやくざ者が最後にしかるべき者に幸を与える、という19世紀演劇のようなお話の古典的構図も、余りに散文的な映画が溢れて渇ききった僕の心を潤してくれる(キリスト教徒故の罪の意識を随所にちりばめているが、こちらに関しては不信心の仏教徒が余り深くさぐらないほうが無難だろう)。
 肺病と売春を絡めていることから、ベースに「椿姫」があるという説も十分に頷ける。本作を見る前に出掛けた図書館でグレタ・ガルボ主演の「椿姫」のビデオを手に取ったのも実に奇遇(実際には借りなかったのだが)。

といった次第で、全体としては平凡ながら後味は悪くない。

クレジットによれば、ニキータ・ミハルコフ監督の若き日の作品「愛の奴隷」(1976年)で強い印象を残した主演女優エリェーナ・ソロヴェイが出演しているが、どこに出ていたか記憶にない。もう70歳くらいだからお婆ちゃんを探せば良い。ヒロインの叔母さんは別の女優だったから、それ以外ですな。

ホアキン兄のリヴァー・フェニックスが亡くなって22年になる。部下の女の子が吃驚していたっけ。

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エヴァの告白〜聖なる姉妹の物語
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
同じような思いをした移民が大勢いたということで、同じような内容の映画が作られるわけでありますな。
実際に来た船で送り返された移民の方の話を読みましたが、希望に燃えていたのが送り返されるんですから落ち込みますね。
暗い映画でありますが、ラストの映画的画面で星が一つ増えたというところでありますね。
ねこのひげ
2015/06/14 07:11
ねこのひげさん、こんにちは。

この映画を見る限り、即刻帰国ということでもなかったようですが、当時のアメリカは恵まれないヨーロッパの貧民にとっては希望そのものだったのでしょうから、その心情察して余りあります。

>ラスト
僕にとっては、それに尽きる、という感じでした。
オカピー
2015/06/14 21:04

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