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zoom RSS 映画評「ポンペイ」

<<   作成日時 : 2015/06/21 09:46   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2014年カナダ=アメリカ=ドイツ合作映画 監督ポール・W・S・アンダースン
ネタバレあり

CGのおかげで古代スペクタクルが復権気味。
 サイレント時代からブルワー=リットンの小説「ポンペイ最後の日」は何度も映画化され、僕はそのうち戦前ハリウッド版(1935年)と戦後のイタリア=スペイン合作版(1959年)を観ている。本作はリットンとは直接関係ないが、いずれの映画化もリットンの小説とは大分違うので、その意味では再映画化と言って良く、お話は僕の観ていない1926年イタリア版に比較的近い感じ。

紀元79年、ケルト人の屈強な奴隷キット・ハリントンがポンペイに連れて来られ、剣闘士にさせられる。ポンペイのお偉方の娘エミリー・ブラウニングはローマから帰る途中に知り合った彼に魅力を覚えるが、元老院議員キーファー・サザーランドが彼女を狙って町を訪れる。ポンペイの眼前に聳えるヴェスビオ火山が不穏な動きを示し、何度も町をゆすぶる。そんな中サザーランドはエミリーをものにし、剣闘士たちを血祭りにあげる為に横暴に振る舞うが、そんな彼の横暴に堪忍の緒を切ったかのように火山が大噴火して闘技場は崩落、ハリントンは崩壊していく屋敷から彼女を救い出し、邪魔に入る元老院議員と闘いを繰り広げる。

昔観た二作も緻密な作品ではなかったし、本作もまた大味である。サザーランドの悪役を筆頭に人物の配置・造形が誠に型通りで面白くない。眼目が大噴火のスペクタクルを見せることにあるのだから、その点に関しては大目に見るべきだろうが、そのスペクタクルがパニック模様だけでなく、彼らの一騎打ちを包含しているのが却ってマイナスとなった。
 人間の心理として、今にも死ぬという瞬間に闘うということはあり得ないのではないか、などと考えてしまうのである。それではお話にならないという予想される反論は充分解るし、だからこそ二人が逃げきれず生きたまま塑像になってしまう幕切れに情感が浮かび上がる仕組みとなっているわけだが、ポール・W・S・アンダースンではかかる情感醸成はちと荷が重い。それでもその相手が親を殺したケルト征伐隊の親玉ならまだ解るのだが、主人公が憎き彼をベルベル人の剣闘士アドウェール・アキノエ=アグバエに任せてしまうのは、わざわざケルト時代の悲劇を冒頭に描いていることを考えると、余りにちぐはぐな作劇と言うしかない。

従来ローマ帝国ものが扱うことの少なかったブリタニアが出て来るのは「第九軍団のワシ」に続いて近年二度目。何か意味があるのだろうか?

膨大なギボンの歴史書「ローマ帝国衰亡史」もいつかは読まんと。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
噴火や地震、津波の最中に一騎打ちをするシーンが出てくるのは小説や漫画でも結構あるようです。
それだけ、憎しみが深いということの表現手段に使われているのでは?
先日、深夜にやっておりました「タイタンの逆襲」でも噴火の最中にやっておりました。
まあ、あれは火山そのものが敵でありましたけどね。
ねこのひげ
2015/06/21 12:40
ねこのひげさん、こんにちは。

結局、表現が上手くないので、そういう風に思わせる隙があるのですね。
作り方が上手いと、そんなことを気にせずに見入ってしまう。
オカピー
2015/06/21 18:28

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