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zoom RSS 映画評「マダム・イン・ニューヨーク」

<<   作成日時 : 2015/06/01 09:25   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2012年インド映画 監督ガウリ・シンデー
ネタバレあり

一部インド映画は完全なるミュージカル・スタイルを脱出して、一般映画とミュージカル映画の間を取るようになったらしい。登場人物が歌ったり踊ったりはしないが、歌曲がその心境を述べるのである。アメリカ映画のバラッド形式とも違うインド(タイ映画に同じ形式のものを見るので、厳密にはインドとは限らない)映画独自のスタイルである。世界戦略かもしれない。
 その甲斐もあってとみにインド映画のIMDbでの評価が高くなり、ベスト250に相当数が入っている。僕が観た作品の傾向や水準から言えば些か過大評価と思うが、一般映画ファンはカルト系に弱いからさもありなん、か。

料理の得意なインドの専業主婦シャシ(シュルデヴィ)は家族で唯一英語が話せず、家族から馬鹿にされていることを悔しく思っている。恐らく、彼女の属するカーストでは英会話能力はマストなのである(英国統治が長かったから、インド人の会話に相当英語が混じっているのが、半世紀前のサタジット・レイの映画群を見ると解る)。
 そんな或る時アメリカにいる姪(姉)の結婚に備えて、1か月ほどニューヨークに滞在することになる。ところが、ファーストフード店店員や客に馬鹿にされたことから一念発起、後から渡米してくる家族に黙って偶然見かけた英会話学校に通い始める。そこで親しくなったフランス人男性からモーションをかけられるハプニングもあるが、最終試験と結婚式の日が一緒になったことから、家族への愛情と目標達成との間で二者択一を迫られることになる。

フェミニストに評判の悪い呼称であるが、女性映画である。家族から馬鹿にされていた主婦が自分の苦手な分野を克服して彼らの鼻を明かす、というストーリーは日本あたりでも作れそうな内容で、抜群のアイデアとまでは行かないものの、最後の結婚式でのヒロインの英文スピーチは誠に感銘深いものがある。
 要約すれば、家族を尊重し家族から尊重されることこそ幸福である、というもので、その内容自体が家族愛に溢れ頗る素晴らしいもので、加えて、それを英文で言ったところに感銘性を高める要素がある。家族がぎゃふんとなっただけでなく、大いに反省したであろうことがその表情から伺われ、誠に爽快な後味を残す。

冒頭で述べたようにマサラ映画スタイルは殆ど取られていないのだが、やや強引に踊りらしきものが二か所ほど点出されている。殆どマイナスとは言えないものの、僕の趣味では「なくもがな」。

撮影時49歳のシュルデヴィの美貌への評価が高いが、個人的には彼女を色々手助けする姪(妹)に扮したプリヤ・アーナンドにうっとり。二人ともスペイン美人に似ている気がする。その昔ロマ族(ジプシー)はインドから欧州に渡ったと言われ、僕はスペイン風俗とロマ族風俗に似た面を多く見出しているのだが、そのDNAなのかもしれない。

日本映画界は内向き過ぎはしないかい? アメリカでの人気を見ると、インド映画、中国映画、韓国映画に後れを取っている。日本映画が賞を取りやすいカンヌにばかり目を向けていてもダメじゃよ。

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マダム・イン・ニューヨーク★★★★
英語ができず苦悩する主婦が一念発起して英会話学校に通い、コンプレックスを克服し生きがいを見いだしていく女性賛歌。英会話という小さなきっかけを通して人生の喜びを発見するヒロインの日々を、アクションやミュージカルといったこれまでのインド映画とは異なる語り口... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2015/06/01 15:19

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
インド映画は、ずっとミュージカルのままで行くのかと思っておりましたけどね。
『スタートレック劇場版』に出演していたバーシス・カンバッタもインド美人でありましたね。
昔、新宿の劇場で映画を観ていたら後ろの席にインド美人が座っていて、終わったときに、もう一度よく顔をよく観ようと振り返ったら、日本人が座っていてビックリしたことがあります(*_*)
ねこのひげ
2015/06/07 13:32
ねこのひげさん、こんにちは。

>インド映画
広くて、色々な民族や言語が交錯する土地柄ですがら、まだまだ古色蒼然とした作品もあるようですが、輸出を想定している映画は少し変わってきているのでしょうね。

>バーシス・カンバッタ
彼女は、髪の毛がないほうが綺麗だなあという印象がありました。

>新宿の劇場で
それは面白いというか、可笑しい体験でしたね。
わが大学には、インドの言葉も教えられていた関係で、サリーを着用したインド人の女性教授もいらして、よく見ました。
オカピー
2015/06/07 15:35

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