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zoom RSS 映画評「『また、必ず会おう』と誰もが言った。」

<<   作成日時 : 2015/05/03 09:22   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2013年日本映画 監督・古厩智之
ネタバレあり

古厩智之はカットの繋ぎ所謂呼吸が良く、この点に関し矢口史靖と同じくらい信用できる監督である。トータルでまずくてもこうした点は基本的に変わらないので、安心して観ていられるのが良く、世評に関係なくその監督作品は観ることにしている。

熊本の高校生・佐野岳が同級生についた東京体験記の嘘を現実のものにするため、両親には福岡へ大学の下調べに出ると偽って、東京へ出かける。
 が、帰郷する飛行機に乗り遅れるヘマをやらかし、夜明かししようとしているところへ空港の売店で働く杉田かおるに声を掛けられ、その家に泊めて貰うことになる。翌朝彼女から同じ年の息子へ贈物を届けて欲しいと電車賃と共に渡され、静岡の家を訪れる。
 床屋を営むその家にはぼーっとしている主人・塚本晋也しかいず、息子は6年前に11歳で死んでいると告げられる。お礼に散髪してもらった彼は自転車を貰って移動中、警官に職務質問され具合が悪くなったので、こっそりトラックの後ろに乗って逃げる。
 このトラックの運転手イッセー尾形は口の悪いオヤジであるが、実は退職してただふらついているだけと判明、少年を港で強引に働かせた後倒れてしまう。末期ガンであり、呼ばれた家族の中に甥っ子・瀧澤翼君がいる。もはや少年を別居中の母親の許に連れていけない尾形は佐野君に彼を託す。

オーソドックスな構成のロードムービーで、その間に17歳の少年が大人社会の礼儀や厳しさや優しさを知らされて成長していくというテーマも古典的と言って良いが、同世代の若者を主人公にした欧米映画が妙に屈託していたりエロ気過剰であったり後味が悪いものが多いのに対し、この手のストレートな青春成長劇は日本映画のお得意なところで、【嘘】と【再会】をキーワードになかなか上手く爽やかに作られている。

17歳の少年が12歳くらいの少年に、彼が杉田かおるに言われた如く、「『また会おう』と言うだけで良い」と言う逞しき成長ぶりに僕はわが子のように嬉しくなった。

反面、些細なことながら【嘘】絡みで唯一理解できないのが、少年が静岡と愛知の間で母親に送って貰った現金書留を受け取ることである。終盤に近づいて母親は初めて彼が福岡にいない真相を知らされているので、辻褄が合わない気がする。僕がうっかりしていた可能性もあるので、どなたか解説を。

本作最大の功労者はイッセー尾形で、毒舌で少年を愚弄し続けた挙句に“親心”を滲み出していく辺りの演技的境地にはなかなか到達できるものではない。

ロボコン」には大分及ばないながら、古厩監督作らしい軽味(かろみ)が良い。

昨日アドルフにさよならを言って、今日出会ったのはトラック運転手だった。

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『「また、必ず会おう」と誰もが言った。』
----また、日本映画だ。最近続くニャあ。 「うん。今年は豊作だと思う。 実はこの映画、試写も4回と少なくて 初めは迷ったんだけど、 アンテナがピンと…」 ----へぇ〜っ。 監督の古厩智之って人、 あんまり相性が良くなかったのでは? 「そうだね。 彼もPFF出身なんだけ... ...続きを見る
ラムの大通り
2015/05/18 23:29

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
欧米の作品はすぐにエロや殺人に走りますからね。
『スタン・バイ・ミー』なんか子供が野ざらしになっている死体を観に行くんですからね。
そういえば、ベン・E・キングさんが亡くなりましたね。
彼の歌のおかげで映画もヒットした気がします。
原作のタイトルも『THEBODY(死体)』ですからね。
原題のままではヒットしなかったでしょう。
ねこのひげ
2015/05/04 17:19
ねこのひげさん、こんにちは。

>ベン・E・キング
「スタンド・バイ・ミー」は名曲ですね。
キャッチーなメロディーで映画を引き立てました。
仰るように歌の効果が絶大だったかもですね。

>タイトル
アメリカ人はシンプルなタイトルが好きで、キャッチコピーみたいなタイトルを好む日本人とは逆ですね。
オカピー
2015/05/04 21:42

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