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zoom RSS 映画評「メイジーの瞳」

<<   作成日時 : 2015/05/01 09:19   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2012年アメリカ映画 監督スコット・マクギー、デーヴィッド・シーゲル
ネタバレあり

6歳の少女オナタ・アプリールちゃん(役名メイジー)は、ロック・ミュージシャンの母親ジュリアン・ムーアと美術商の父親スティーヴ・クーガンとが不仲になって離婚した為に10日おきに両親の間を往来することになる。
 クーガンが子守だったジョアンナ・ヴァンダーハムと再婚すると、お返しとばかりにジュリアンもバーテンのアレクサンダー・スカルスガルドと再婚する。
 ところが、実の母親も父親も仕事の都合でその10日交代という日程を守れない為に夫々の再婚相手が面倒を見ることが多くなり、やがて愛もないのに互いへの当て付けで結婚した再婚カップルが共に破局した為に、様々の現場で度々交錯したスカルスガルドとジョアンナが新カップルとなり、少女は実の両親よりこちらを選ぶ。

Yahoo!映画に「子供の視点で可哀想な子供として描けば評価されるだろうという打算が見えるあざとい映画」というコメントを発見したが、古館伊知郎風に言えば「承服できない」。映画の理解以前に「あざとい」の使い方を間違えている。「あざとい」はちょっとした工夫がされていることを前提とする形容詞であるが、コメント者は文章の前半でその工夫を否定している。【曲がりくねった直線】といった措辞のように、矛盾する表現である。
 国語的な問題はともかく、確かに可哀想な子供として少女は描かれているが、この作品がそうした狙い(お涙頂戴)のミーハー映画が従来取って来た安易な作劇を踏襲しているとは思われない。通常のミーハー映画であれば、こうした子供は両親をひどく恨むであろうが、メイジーは両親を愛し続ける。さもなくば、互いの再婚相手に馴染まないであろうが、人懐こいメイジーは実の両親と変わらず愛する。そして、少女は父でも母でもない、(一時的であるが、これが継続的である可能性を映画は何気なく暗示する)第三の選択をする。こんな、ある意味実験的ある意味ひねくれたとまで言いたくなるくらいの、設定の作品を僕は観たことがないのである。

彼女は6歳にして、男女が幸福であり続けるコツを新しいカップルに見出していく。実の両親はメイジーの愛情に応えるチャンスがあったのに、その時の自分の欲求を優先した為に、結果刹那的な幸福しか味わえない人生を歩むことになるのではないか。可哀想なのは、この中途半端にエゴイスティックな両親である。一見可哀想なこの子供の人生は、両親の不和を反面教師に、実に将来性のあるものに見える。なかなか奥深い。 

100年以上前に書かれたヘンリー・ジェームズの原作も読む価値がありそう。ジェームズなら古典しか読まない僕でも勿論、守備範囲だ。

配役陣については、ジュリアン・ムーアは後半に至るとこの母親役として50代の実年齢が厳しく感じられてくる。オナタ・アプリールちゃんは誠に可愛らしい。

両親より大人だった6歳の子供?

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メイジーの瞳 ★★★
両親の離婚に翻弄(ほんろう)される少女の視点で家族とは何かを、『キッズ・オールライト』の製作スタッフが描くヒューマンドラマ。19世紀末のヘンリー・ジェームズの原作の舞台を現代に置き換え、多忙な両親に顧みられない少女が新しく両親のパートナーとなった男女との... ...続きを見る
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□作品オフィシャルサイト 「メイジーの瞳」□監督 スコット・マクギー、デビッド・シーゲル□脚本 ナンシー・ドイン、キャロル・カートライト□原作 ヘンリー・ジェームズ□キャスト ジュリアン・ムーア、オナタ・アプリール、アレクサンダー・スカルスガルド、  ... ...続きを見る
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2015/05/07 07:48
「メイジーの瞳」
子どもにとっての両親は、やっぱり、こっちがいいよな〜と見ていて思いますね。 ...続きを見る
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
離婚大国アメリカならではの映画でありますな。
子供も大人にならざるをえない。
日本もいずれは・・・・・
ねこのひげ
2015/05/03 07:56
ねこのひげさん、こんにちは。

>日本も
大分アメリカに迫っていますね。
大学時代、アメリカの小学校では、生徒の半数近くが離婚家庭であると聞いた記憶があります。
現在の日本では3組に1組が離婚しているようで、いずれ同じくらいになるかも。それともこの辺りで定着しますか。
オカピー
2015/05/03 17:42

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