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zoom RSS 映画評「オール・イズ・ロスト〜最後の手紙〜」

<<   作成日時 : 2015/04/22 09:53   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2013年アメリカ映画 監督J・C・チャンダー
ネタバレあり

最近俳優業に復帰気味とも映るロバート・レッドフォードが主演した海洋サバイバル映画である。

レッドフォードがヨットで単独インド洋を航行している最中、浮遊しているコンテナと衝突してヨットに損傷を受ける。辛うじて受信に成功した無線は会話する前に壊れ、応急手当の甲斐なく結局ヨットは沈没し、救命ボートに逃れる。ここから通り過ぎるコンテナ船に火炎で合図を送るが、見逃されてしまう。夜間今度は紙類を焼いて発見される可能性に賭けるも救命ボートに引火して文字通り"All Is Lost"状態になって万事休す。

というお話で、お話のシンプルさと生存率の低さから言えば「キャスト・アウェイ」より「オープン・ウォーター」に近いが、設定だけを用意して作劇的には殆ど何もせず観客に勝手に怖がらせて大儲けしたらしい後者よりずっと映画的工夫には富む。
 とは言うものの、主人公が冷静沈着に補修や修理を施し、海図と船舶航行に頼る様子など描写が具体的なのが良い反面、100分余りを持たせるには少々材料不足なのは否めない。

また、本作の基調となるドキュメンタリー・タッチは一見正しいようであるが、映像言語的に疑問が残る。そこに一人しかいないわけだから徹底的に固定で撮ることに拘り“神の視線”を感じさせたほうが寧ろ“自然”と思うわけである。その意味で、幾つか観られるジャンプカット気味のカット割りも同じ問題を生じさせる。

と、結構辛口になったが、実質一人しか登場人物を出さないアンチ娯楽映画的な設定に挑戦したことは大いに買えるし、そうした製作陣の要求に77歳の高齢で応えたRRの熱演も評価したい。

日本劇場未公開作「マージン・コール」では24時間一つの建物内でのお話という、言わば演劇的リアリズムに拘ったJ・C・チャンダー監督としてはこれが日本の劇場では初めてのお目見えとなる。一筋縄では行かない作品を撮るという印象を残し、次回作への期待大でござる。

撮影と言えば、昨日病院でCTを撮る(と言うのかな?)。いままで問題はなかったのに造影剤の副作用で体調に異変(腹痛、異常な発汗、喉のつまり感、痒み)があり大変でした。ブログが遅れたのはそういうわけです。診断結果は例によって膵臓が腫れていて、これが癌に変異すると、オール・イズ・ロスト。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜/ロバート・レッドフォード
名優ロバート・レッドフォードが全編水上での撮影という過酷なロケに挑んだという作品です。予告編でもロバート・レッドフォード一人しか登場しませんけど、本編もほぼ一人だけで ... ...続きを見る
カノンな日々
2015/04/22 10:01
オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜
(2013/J・C・チャンダー:監督・脚本、フランク・G・デマルコ:撮影、ピーター・ズッカリーニ:水中撮影、ピート・ボドロー:編集、アレクサンダー・イーバート:音楽/ロバート・レッドフォード/106分) ...続きを見る
テアトル十瑠
2015/04/22 18:48
オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜★★★
インド洋で遭難してしまいたった一人で孤独や命の危険との闘いを強いられた男を、名優ロバート・レッドフォードが演じるヒューマンドラマ。自家製ヨットでの気ままな航海の旅が事故により一転、大自然の猛威にさらされる中で、それでも生きようとする人間の強さを感動的に... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2015/04/23 18:41
映画:オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜 All Is Lost  サバイバルを賭けた孤独な闘い、...
恐ろしくシンプルな構造。 主人公(ロバート・レッドフォード)はヨットで1人で航海中、事故に。 ヨットが海を漂う物体と衝突し、航行不能になってしまったのだ! その男のサバイバルを賭けた孤独な闘い。 ...続きを見る
日々 是 変化ナリ 〜 DAYS OF ...
2015/04/26 01:17

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
たしかWOWOWで観ましたよ「マージン・コール」。
面白かったです、とても。
ああ、この監督さんだったのですね。
本作、映画館で公開時観ました。
大したことないのに大騒ぎしてやたら怖がるのも
どうかと思いますが、本作、全く落ち着いて
鑑賞できる海洋サバイバル映画でして。(笑)
だって淡々とコツコツと難問を解決していく
描写が続くばかりで最後はアレで、もうすっかり
「あなたなら、だいじょうぶよねサバイバル」(笑)

ご病気、いろいろと大変ですね。
かく言う私も周りによくこういわれますが
とにかく「生きて、生き続けてください」。
そうです、サバイバル、です。(笑)
vivajiji
2015/04/22 12:29
お勧め度★二つ半としたので、評価はほぼ同じですね。
ドキュメンタリー・タッチについてはあまり覚えてないですが、<100分余りを持たせるには少々材料不足>というのも同感であります。
面白かったのは、海水から飲み水を作るところかな。

60歳を越えると人間誰しもサバイバル気分になりますな。
十瑠
2015/04/22 19:07
vivajijiさん

>「マージン・コール」
普遍性という理屈で採点は厳しくしたものの、実感では大変面白かったのに、日本では未公開でした。

>大したことないのに大騒ぎして
「パラノーマル・アクティヴィテイ」もそうですが、観客が勝手に怖がっただけの「オープン・ウォーター」。
少し入り組んだ映画には想像力が働かないのに、監督が何もしていない映画に騒ぐ。摩訶不思議な現象なり^^;

>落ち着いて鑑賞できる
正に。
全くヒヤヒヤしませんでしたね^^

>サバイバル
気力だけはあります。
なるようにしかなりませんが、頑張りますよ^^
オカピー
2015/04/22 22:03
十瑠さん、こんにちは。

>ドキュメンタリー・タッチ
現在の作品においては特段ドキュメンタリー・タッチというわけではなく、オーソドックスな作りをしていない程度ですが、気になりました。
僕の悪い癖でしょう^^

>材料不足
やはりそうですよね。なかなか「激突!」のようなわけにはいかない。
「海水」と「海図」が面白かった。「海図」に関してはもう少し解りやすかったらもっと良かったですかね。

>サバイバル
恋のサバイバルならいいのですがねえ。古いですね(笑)
どうもすみません。



オカピー
2015/04/22 22:17
実際にこういうことはありそうでありますね。

人生はなるようにしかなりません。
萩原流行さんのようなこともありますしね。
ねこのひげもこんなはずでは・・・と思う事はしばしばであります。
ねこのひげ
2015/04/26 06:04
ねこのひげさん、こんにちは。

>萩原流行さん
巻き込まれ事故なんでしょうか。そうでしたら不運ですね。
たまに遠出(と言っても片道1時間程度ですけど)する時はビクビクして運転していますよ。こちらは万全でも本当に予想外のことがありますからね。
一昨年片道三車線をかなりのスピードで走っていた時に目の前を車を横切ったのはびっくりでした。交差点だったかもしれませんが、こちらは堂々の青信号ですから、ちょっと考えられない・・・
オカピー
2015/04/26 20:05

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