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zoom RSS 映画評「青天の霹靂」

<<   作成日時 : 2015/04/19 09:17   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2014年日本映画 監督・劇団ひとり
ネタバレあり

芸人・劇団ひとりが自らの小説を共同で脚色し、監督までしてのけた話題作。

39歳の売れないマジシャン大泉洋が自分がうだつの上がらないのは生んだ後自分を捨てた母、甲斐性のない父・劇団ひとりのせいと決めつけていた或る日、警察からの連絡でホームレスとして死んだ父親とおよそ高校以来およそ20年ぶりに再会、遺骨を持ち帰る途中、落雷に遭う。
 目覚めてみると、40年前の昭和48(1973)年で500円玉が通用しない。町をぶらぶらするうちにマジックの出来ることに気付いた少年に連れて行かれた演芸場で仕事をすることになる。そこでコンビを組まされるのが相棒たる夫と連絡が取れなくなった美人・柴咲コウで、妊娠中の彼女が具合が悪い時に警察から夫を引き取るように連絡が入った為、代わりに彼が迎えに行くと、何と彼自身の父親をそこに見出す。つまり、コウ嬢こそ彼の瞼の母であると気付く。
 かくして新しく相棒になった父親から彼女が出産と引き換えに命を落とす可能性があることを知らされた彼は母親が自分の為に命を落とすと察する。父親には「生ませない」ように懇願し、彼が未来を見通せると信じる母親には自分の心境を(勿論)三人称で語る。結局歴史は変わらない。

という人情劇で、なかなか良いお話である。人情家の僕にはぐっと胸に迫るところがある。
 が、良い映画かと言うと少し疑問を覚える。野球用語で説明すると、ストライクは取れたが、ストライクを置きに行った為に球威がない、結果的に打者が凡打したので良い一球だった、と言われるような状態の一作という気がするのである。総合的に、両親とのファンタジー的再会ということで僕が思い出した「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985年)ならで「異人たちとの夏」(1988年)の映画的味わいには及ばない。

翻って、良かったと思われる点は、第一に、主人公が母親に自分の真情を語る時に前向きな発言になるところで陽が射してくるという演出。心情をお天気でシンボライズするのは余りに常套手段的にすぎるとは言え、さりげない扱いに好感が持てる。
 第二に、主人公は昔の自分とは会ってはならない、というタイムスリップものの古典的な約束事を踏まえて、赤ん坊が生まれた瞬間に演芸場から消えてしまうという作劇をしたこと。マジックとも重なるだけに上手く作っているという感が強く残る。

その後、“現在”に戻り主人公が実は生きていた父親と会って話をするコミカルな落ちは【屋上屋を架す】感じで、僕は余り感心できなかった。一種の倒置法で父親への「ありがとう」の気持ちを強調したかったのだろうが、そのままで十分。匠気が勝ちすぎた演出と言うべし。

売れっ子芸人がものせば(作れば)、小説も映画も売れる。僕と違って人々は流行を追いますからね。

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青天の霹靂/大泉洋
ちょっとテレビで宣伝し過ぎな感もありますが、大泉洋さんも劇団ひとりさんも面白いのでついつい観てしまうんですよね。さらに柴咲コウさんも加わった先日の「ボクらの時代」のト ... ...続きを見る
カノンな日々
2015/04/19 09:24
青天の霹靂 ★★★★.5
作家や俳優としても活躍する人気お笑い芸人の劇団ひとりが書き下ろした小説を、自らメガホンを取って実写化したヒューマンドラマ。40年前にタイムスリップした売れないマジシャンが、同じマジシャンであった若き日の父とコンビを組み、自身の出生をはじめとする家族の秘密... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2015/04/19 18:12
『青天の霹靂』
□作品オフィシャルサイト 「青天の霹靂」□監督・脚本 劇団ひとり□キャスト 大泉 洋、柴咲コウ、劇団ひとり、笹野高史、風間杜夫■鑑賞日 5月25日(日)■劇場 109CINEMAS川崎■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<感想>  タイムスリップも... ...続きを見る
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青天の霹靂
公式サイト。劇団ひとり原作・監督・出演。大泉洋、柴咲コウ、風間杜夫、笹野高史。タイムスリップと言ってもSFでもない。かと言って、ファンタジーと言うほどでもなし。そもそも ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
この作品は、劇団ひとり氏の二作目の小説ですが、発表当時はまるで売れなくて、ご本人はガッカリしてましたが、映画化されるとベストセラーになったそうです。
なにかのきっかけがいるという事でしょうね。
又吉直樹君の処女作『火花』は大ヒットして映画化の話もきているそうで、最近はお笑い芸人も多肢にわたり活動しないと人気を保つことが出来ないようで、大変そうであります。
ねこのひげ
2015/04/19 13:53
ねこのひげさん、こんにちは。

本業の作家と違って、一作目はミーハーが興味本位で買いますが、二作目は買いませんものね。売れないと思います。それでも、ちょっと名前の知られた純文学作家よりはきっと売れているのではないでしょうか。
映画も最初は話題性からヒットしますが、二本目は大分落ちるでしょうね。ただ、この作品の評価はなかなか良いみたいですので、松本人志の二の舞にはならないかもしれません。少なくともストレートな作風なのでデート映画にもなりやすそう。

>人気
やはり一発芸では持ちません。
実力があれば、転業してもよさそうですね。
オカピー
2015/04/19 20:54

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