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zoom RSS 映画評「単騎、千里を走る。」

<<   作成日時 : 2015/04/15 09:45   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2005年中国=日本合作映画 監督チャン・イーモウ、降旗康男
ネタバレあり

チャン・イーモウが監督し、高倉健が主演していると聞いて大分前から見たい作品ではあったが、頼りにしているNHK−BSにもWOWOWにもなかなか登場しなかった。高倉健が昨年他界して、その追悼の形で忘れた頃に拝見できた。嬉しいけれども、やはり存命中に観たかった気がする。

漁師の高倉健は、不和の為に長い間没交渉であった民俗学者の息子(声:中井貴一)が病床にあると聞いて駆けつけるが、会って貰えない。
 嫁の寺島しのぶから「理解の端緒になしてほしい」と彼が中国で撮って来た京劇俳優・李加民(リー・ジャーミン、本人の名前で出演、以下中国人に関しては同じ)のビデオを見て、息子が撮ろうとしていたが病気で果たせそうもない彼の演ずる演目「単騎、千里を走る」を撮ることを決意、単独雲南省麗江に向う。
 しかし、通訳・蒋雯(ジャン・ウェン)は、「李は暴力事件の為服役中なので、帰国したほうが良い」と言う。頑固な彼は役人にかけ合う為に役者の知り合いでもある市民・邱林(チュウ・リン)に案内を変わって貰って交渉を始めたものの、ほんの片言しか日本語を解さない為なかなか捗らず、時々電話で蒋嬢に助けてもらう。
 役人も刑務所の官憲も理解を示して刑務所での撮影に入るが、今度は李が「子供に会いたい」と泣き出して演技ができない。そこで健さん、もっと奥地の山村に入ってその子供(楊振波=ヤン・ジェンボー)を父親の許に連れていこうとすると、子供は会いたがらない。後日再び刑務所に向う途中で息子の病死を知った彼は所期の目的を失った為「撮影はしない」と言って、子供の写真を父親である役者に見せる。役者は感涙した後演技を披露する。

アッバス・キアロスタミの初期作品群を彷彿とするセミ・ドキュメンタリー・タッチと内容で、言わば歴訪型ロードムービーである。
 狙いは、無口な為に互いに理解し得なかった日本人父子(おやこ)のもどかしい物語を通訳不在のディスコミュニケーションのもどかしさとダブらせた上で、私生児故に親子として会ったことのない中国人父子の物語を重ねることにより、すれ違う親子感情の問題をヒューマニスティックに普遍的に浮かび上がらせる、といったところ。

中国の人々が本当に優しい人として登場する。これは本当である。中国という国家はいかんともしがたいものの、個人的に少なからず知っている中国人、特に地方の方々は、本当にこのように素朴で優しい。
 また、携帯電話や小型ビデオカメラが小道具として上手く活用されているのも感興となる。多分に1995年以前ではこのお話は成立しないと思う。

日本部分は高倉健とのお付き合いが多い降旗康男が演出している。中国部分のドキュメンタリー・タッチと比べて、ぐっと様式的な印象が残るはそのせいである。

君よ憤怒の河を渉れ」以来中国での人気が物凄く、尊敬もされているという、高倉健の俳優としての個性が最大限生かされた佳作。日本人の、口下手で少し依怙地なところを中国人がよく理解してくれていることは、有難い。

1995年に香港と中国からの客を皇居に連れて行った時のこと。会社の運転手と連絡が取れなくなって僕が右往左往しているのを見て、彼らが言った、「携帯電話あると便利よ」と。あの頃、まだ日本では香港ほど携帯が普及していなかった。それでも、僕は携帯を持たなかった。ここにも依怙地な日本人がいる(笑)

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コメント(2件)

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ねこのひげはスマホをいまだに持っておりません。
ここにも依怙地な日本人がおります(笑)
ねこのひげ
2015/04/19 07:05
ねこのひげさん、こんにちは。

結局携帯は未だに持っていないです。買え買えと周囲には言われ、一年に1〜2回ほどあれば良かったということがありますが、その程度ではねえ。
僕は煙草も吸ったことないですよ。全然興味が湧かない。おかげで何百万円か浮いたはずですが、その浮いた分くらいを全て詐欺で取られましたからねえ(しょぼん)。
オカピー
2015/04/19 20:41

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