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zoom RSS 映画評「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」

<<   作成日時 : 2015/03/08 10:16   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2013年アメリカ映画 監督アレクサンダー・ペイン
ネタバレあり

サイドウェイ」(2004年)で一躍注目されたアレクサンダー・ペイン監督の新作。これまで観た彼の作品の中では一番気に入った。

モンタナ州に住む老人ブルース・ダーンが受け取った手紙に従って、当選したという100万ドルを受け取りに車で二日もかかる遠方にあるネブラスカ州のリンカーンまで徒歩で行こうとする。
 弟息子ウィル・フォーテは、手紙がインチキと承知しながら半分ボケているような父親の気分を紛らわしてやろうと会社を休んで車をリンカーンに向けて旅立つ。途中リンカーンの手前にあるホーソーンに住む伯父を訪れ、今は誰も住んでいない父の生家を見学したりするが、バーで出会った旧友たちに宝くじのことを自慢したものだから町中に広まり、伏せていた伯父一家にも知られてしまう。
 老人が金持ちになったと信じた人々は、住民も親戚も、色々と甘言を囁いた後、昔貸したお金を返せと迫り始め、不穏な空気に変わっていく。が、従弟二人が強盗を装ってダーンから手紙を奪ったことからまたまたムードが変転する。即ち、手紙のインチキを知った住民が豹変して父親を馬鹿にし始めるのである。心優しき息子フォーテは、半ばお金を強請ろうとした時には我慢した同じ相手ステイシー・キーチを殴り倒す。
 車の中で父親は「(お金が欲しいのは)お前たちに何かを残そうと思ったからだ」と告白する。それを聞いた息子は無駄と知りつつリンカーンに足を向ける。案の定宝くじは外れで帽子だけ貰って帰ろうとするが、息子は宝くじの事務所と交渉して自分のセダンを父親が欲しがっていたピックアップ(小型トラック)と交換、キーチに取られたと主張するコンプレッサーを買ってやる。かくして二人の心は通じ合い、自宅を目指す。

人生の最後を意味あるものにしたいと夢にしがみつく老人の真情にぐっと来るが、それに気付いた息子が父親の気持ちに値するお返しをする。「家族はやはり良いなあ」と終盤の描写に熱いものがこみあげて来る。
 それは父が一緒にいるのが辛いと思ってきたかもしれない母親ジューン・スキッブの点出にもよく感じられる。先に家に帰る彼女は、減らず口を叩きながら、夫のおでこにキスをしてその場を去るのである。口の悪さは愛情の表現にほかならなかった。多分それは旦那も気付いているのであろう。

ニューシネマにより現実的アプローチが取られるようになって以降、アメリカ映画でこれほど良い家族だなあと思わせた作品は殆どない。モノクロの画面もフォトジェニックで秀逸。

ご贔屓ブルース・ダーンが良い。
 彼で思い出すのは、淀川長治先生の「東京・映画友の会」に集ったメンバーが“最近気に入った男女優”を発表する催しのこと。僕が「ファミリー・プロット」(1976年)のブルース・ダーンと告げて、先生に「変わっている人もいる」と言われたのが非常に印象に残っている。その為に女優については誰を挙げたのかよく覚えていない。「ジュリア」(1977年)のジェーン・フォンダかヴァネッサ・レッドグレーヴだったかな。
 娘のローラ・ダーンが出てきた時に「似ているところがある」と思った(母親ダイアン・ラッドにはもっと似ている)が、今では彼はローラ・ダーンの父親という扱いになっている。その事実を知らない人もいる。時は流れた。

物語を起承転結ごとに段落化して、まとめてみました。ほぼストーリー紹介で終わってしまいましたが、悪しからず。

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ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅
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佐藤秀の徒然幻視録
2015/03/08 10:33
ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 ★★★
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ミリオンダラー・ダディ〜『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』
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2015/03/08 13:41
ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅
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2016/01/17 19:26

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
ブルース・ダーンといえば『11人のカウボーイ』『サイレントランニング』を思い出します。
地味な役者でしたし、エリア・カザンは「君の才能は60歳になるまで気が付かれないだろう」と言っておりましたね。
実に味のある役者になりました。
大器晩成というやつですね。
ねこのひげ
2015/03/08 15:51
こんばんは!

僕もブルース・ダーン結構好きです。
『帰郷』の時、主演の二人よりも印象的でした。

そういえば、映画友の会、今度行こうと思っているのです笑
ドラゴン
2015/03/08 19:39
ねこのひげさん、こんにちは。

>『11人のカウボーイ』『サイレントランニング』
西部劇の方はうろ覚えですが、「サイレント・ランニング」はなかなか行けていましたね。こういうのがSFらしくて好きです。最近のチャンバラSFはどうもいけません。

最近は頑固爺さん役に起用されることが多いですね。
オカピー
2015/03/08 20:55
ドラゴンさん、こんにちは。

>『帰郷』
僕にもダーンの方が印象的でしたね。
映画ファンにはなかなかの話題作でしたが、「ディア・ハンター」を先に観たせいか、それほどでもなかったような。
何年か後姉が良かったと言っていたので、見直せばその印象も変わるかもしれませんが。

>映画友の会
先生のいない友の会は、○○のないコーヒーみたいなものでしょうが。
今でも、ああいうお遊びがあるのかな。
ロバートで始まる役者の名前を挙げろ、なんてのもありました。
オカピー
2015/03/08 21:00

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