プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「東京難民」

<<   作成日時 : 2015/03/29 10:17   >>

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 2

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2014年日本映画 監督・佐々部清
ネタバレあり

福澤徹三の同名小説を佐々部清が映画化したドラマ。彼の作品には珍しくR−15指定であることへの興味を軸に、観た。

大学生・中村蒼は父親が借金を抱えて失踪した為授業が支払えずに大学を除籍、アパートも追い出されてネットカフェ難民になる。チラシ配布のバイトの後日当2万円の病院治験でやっとまとまった金を得る。良い気になっているところへ美少女・山本美月に誘われてホストクラブへ同行したことで運命が暗転、ホストとして働く羽目に。
 これまた美月嬢に誘われた看護婦・大塚千弘は優しい中村君の為に店に通い詰める。中村君は多大な借金の肩代わりに風俗店に売られる美月嬢を逃がした後彼女と恋仲の先輩ホスト青柳翔と逐電して工夫(こうふ)の仕事にありつくが、その為に付けで飲んでいた千弘嬢が風俗に売られてしまう。
 彼女によりヤクザ経営者に居場所を把握された彼は痛い目に遭ってホームレスになり、アルミ缶回収の老人・井上順に庇護され、震災で息子を失った彼から生きていることの価値を教えられる。ごみ箱から拾った雑誌を売って稼いだ金で千弘嬢の勤める店へ行き、彼女から「私たち、まだ終わっていないよ」と慰藉される。

R−15というほどの激しさはない代わりに、貧困と甘い人生観故にどん底に落ち込んて行く様には恐怖さえ感じさせる迫力がある。「そこのみにて光り輝く」のような実感を伴う感じではなく、少し嘘っぽさを感じさせる現実感が娯楽性を与えている。

序盤は佐々部監督らしからぬセミ・ドキュメンタリー風の物語と思わせるが、主人公が同僚工夫のおじさんから世の中の不条理な仕組みを教えられる辺りからこの監督らしいヒューマニズムが出て来る。
 しかるに、この作品の真の目的は、社会の不条理を浮き彫りにすることではなく、世間知らずの若者が様々な人々と接することで社会を知っていく様子を描くことにあるのだろう。その中の一人にホストクラブの経営者もいる。男は痛め付けながら中国から麻薬を買ってくる怖さ(中国で捕まれば死刑)、先輩ホストの覚悟のほどを教えるのだ。物凄い暴力すら彼の親心とさえ一瞬感じる(そんなことはないのだが)のだから面白い。後半で作品のそうした狙いを感じ始めると、前半出てきた冷たい人々もそういう角度から捉えられるわけで、益々面白い。

かくして終盤で、社会の理不尽の数々により前半に覚えた息苦しさから、すっきり解放させられる。この辺りが佐々部監督らしさで、同じ底辺人生を描いているにしても「そこのみにて光り輝く」とは違って人生肯定的であり、大衆的である。

海外の麻薬事件で怖いのは冤罪が多い(らしい)こと。中国で死刑になった日本人がいるが、本当に意図して運搬しようとしていたのかな。オーストラリアでも複数の日本人が巻き込まれた事件がありましたね。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
ナイス

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
『東京難民』
□作品オフィシャルサイト 「東京難民」 □監督 佐々部 清□脚本 青島 武 □原作 福澤徹三 □キャスト 中村 蒼、大塚千弘、青柳 翔、山本美月、中尾明慶       吹越 満、福士誠治、津田寛治、金子ノブアキ、井上 順■鑑賞日 2月23日(日)■劇場 TOHOシ... ...続きを見る
京の昼寝〜♪
2015/03/29 16:19

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
昔、フランスでわけもわからず有罪判決を受けて刑務所に入れられた芸能人がおりましたね。
出てきてから初めて自分が逮捕されたのがフランスのプロモーターがあいつも仲間だと嘘を付いた為だと知ったそうです。
通訳も付けられずに取り調べを受け裁判をしたので、なんのことかわからんかったそうです。
先進国であるフランスでさえ、これですから、東南アジアや中国では冤罪の山でありましょう。
ねこのひげ
2015/03/30 01:30
ねこのひげさん、こんにちは。

>通訳もつけられずに
オーストラリアではかなり多くの日本人が一緒に逮捕されたようですが、日本語の理解が甚だ怪しい通訳であった為かなり不公平な裁判であったと言われていますね。
有罪で相当長くくらいこんでいたようです。

冤罪と言えば、大学時代に帰省した際にきせるの疑いで取り調べられたことがあり、鉄道公安官の理不尽な言動の数々に権力が嫌いになりました(元々好きではないですが)。痴漢などでも結構あるんじゃないのかなあ。
オカピー
2015/03/30 18:48

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「東京難民」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる