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zoom RSS 映画評「ダイバージェント」

<<   作成日時 : 2015/03/28 09:22   >>

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☆☆(4点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督ニール・バーガー
ネタバレあり

ヴェロニカ・ロスなる女流小説家のヤング・アダルト小説の映画化。「トワイライト」サーガ、「ハンガー・ゲーム」シリーズ等、ヤング・アダルト(YA)小説の映画化はどうも上映時間が必要以上に長い印象が付きまとい、余り歓迎できない傾向がある。

内容的には「ハンガー・ゲーム」系列の近未来ディストピアSFで、その世界では【高潔】【博学】【勇敢】【無欲】【平和】という5つの派閥とそこに入れない人々の群れとに分かれ、若者は性格診断テストによりそのグループのいずれかに入ることになっている。
 本作のキャッチコピー「たった一度の性格診断で未来は決まる」とはそのことである。ところが、それは全く嘘で、診断テストの直前に主催者のケイト・ウィンスレットは「派閥の選択は自分次第」と言う。「どういうこっちゃ」である。自分の用意した設定を途中で放り出してしまう。原作者のせいか脚色したお二人のせいか不明であるが、ご都合主義などという言葉では表現できないデタラメぶりと言わざるを得ない。何のための診断なのか解らないし、何よりサスペンスにならない(もともと観客に何のサスペンスも提供しない設定ではあるが)。

これに類するデタラメぶりは中盤にもあって、親切な監察官(マギーQ)により実際の結果【異端】と違う【無欲】という診断を渡されながら【勇敢】を選択した【無欲】出身のヒロイン、シェイリーン・ウッドリーが、ある段階で落伍したはずなのに、次のテストに移動する列車に強引に乗ったところでまたメンバーに加わり、そのテストの結果派閥に残ることに決定するなんてのも観客を馬鹿にしている。ヒロインに関する限り、それまでのテストが何の為にあったのか解らない。いずれも出来の悪い夢落ちより性質(たち)が悪い。

夢落ちと言えば、本作は大量に脳内の仮想現実が大量に出て来る。少し新鮮味があるとすれば、仮想現実を意識する本人がいるという部分であろうか。最近の仮想現実の扱いにはこの手が増えているが、仮想現実を二重にするアイデアと組み合わせることで新味を出した形。
 こうしたアクション要素に、指導官テオ・ジェームズとヒロインの思慕関係を加えるのはYA小説の常套手段。これに関しては最小限の尺数だから問題ないが、やはり設定として全く機能していない序盤の診断テスト、中盤の振り落しテストをもっと整理して終盤の派閥による権力争いに突入する形にしてくれれば、貴重な余命を切り崩して観ているおじさんにももっと楽しめる作品になったはず。

といった次第で、お話は「ハンガー・ゲーム」に近くても、出来栄えは冗長極まりない「トワイライト」サーガに近い。十代向けでありましょう。

抽象概念を擬人化するするのは、「農夫ピアズの幻想」など欧州のキリスト教的古典にたまに見られた現象。そういう伝統を感じさせる一編ではありました。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
血液型で性格判断をするのと一緒ですね。
自分で作ったルールを自分で壊してどうすんだ?でありますね。
最近こう言った映画や小説が増えてきたような気がします。
決定権を持つ人間がダメなんですかね。
ねこのひげ
2015/03/29 08:04
ねこのひげさん、こんにちは。

日本では監督の権限が結構強いですが、ハリウッドでは編集権も映画会社が握っていますからね。
本作の場合はお話が変なのですが、それがどこに起因しているのでしょうかねえ。原作に問題があるのなら脚色の段階で修正すればよいので、どちらにしても本(脚本)に問題がある作品でした。
ティーンエイジャー向きということで、観客を馬鹿にしているんでしょ(笑)
オカピー
2015/03/29 15:11

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