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zoom RSS 映画評「ミッドナイト・ガイズ」

<<   作成日時 : 2014/10/11 09:31   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2012年アメリカ映画 監督フィッシャー・スティーヴンズ
ネタバレあり

28年ぶりに出所するギャング、アル・パチーノを同じグループに所属するクリストファー・ウォーケンが出迎えるが、彼はパチーノに息子を殺された怒りが収まらないボスから翌日午前10時までのパチーノ殺害を命令されている。実行するまでには少し時間があり、その間に積る話に花を咲かせながら、殺害指令について打ち明けてしまう。
 覚悟したパチーノは逃げるでもなし、もう一人の仲間アラン・アーキンを療養中の施設から連れ出しその運転で盗んだスポーツカーをすっ飛ばして追って来るパトカーを振り切る。三人はその車の中に拉致された裸の女性がいるのを知ると、彼女の為に一肌を脱ぎ、復讐を遂げさせる。直前まで酸素を吸入していたアーキンはその間に息絶え、娘を呼んだ後彼を長年連れ添った妻の横に埋葬する。
 ウォーケンは時間が経つに連れ友の殺害に逡巡を覚え、実は孫である軽食店の女性アディスン・ティムリンに遺産を残した後、ボスに反抗する為パチーノと手を組んで事務所に襲撃をかける。

この幕切れは正に老ギャング版「明日に向って撃て!」、俄然嬉しくなったです。最近はクラシックな映画を観るとすぐに心が動かされて、どうもいけない。先日の「麗しのサブリナ」もどきの「タイピスト!」は冷静に見れば、主演ロマン・デュリスの魅力不足など幾つかの問題があっても多めの星を進呈した。
 老人が頑張る映画にも弱くなってきた。自分が年を取ったということが一番の理由だろうが、そうした映画は変に刺激を求めようとしないのが良いのだと思う。画面が揺れたり細かすぎるカット割りもなく、登場人物が空を飛んだりせず、肉体も損壊せず、ゾンビも吸血鬼も関係なく、必要以上の下ネタもなく、かれこれ45年も映画を観ている老骨をうんざりさせないからである。

本作に出て来る老人三人はギャングだが、人間的に既に枯淡の境地で死ぬこともさほど恐れていず(そこが僕とは違います)、非常に魅力的な人物像に造形されている。ある意味理想的な死に方をすると言っても良い。

しかし、この老ギャング二人は死んだとは限らない。いや、僕の理解では、死んではいけないのである。二人特にウォーケンが死ぬと首を傾げざるを得ないことになる。彼は直前に家を孫娘に譲っているから、彼が死んだら彼女の命が危ない。その直前にボスが脅しをかけている以上、勝算がないのであれば彼女をどこか遠くにやらなければ、孫娘への思いが逆の効果を生んでしまう。

三人の老優はさすがの貫録。アーキンは僕が映画ファンになる前に既に有名であり、パチーノは僕が映画に興味を覚えた頃台頭し、ウォーケンは僕が少しは映画を語れるようになった頃「ディア・ハンター」(1978年)で大物になった。僕の映画鑑賞史を回顧せざるを得ない配役でござる。

監督をしたフィッシャー・スティーヴンズは監督での実績は大してないが、名前に聞き覚えがある。俳優としての実績はかなりあるようだが、顔を全く思い出せない。どうもすみません。

「ゴッドファーザー」と「ディア・ハンター」の映画雑誌における騒がれ方は尋常ではなかったなあ。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
ミッドナイト・ガイズ ★★★.5
アル・パチーノ、クリストファー・ウォーケン、アラン・アーキンというアカデミー賞受賞経験を持つ名優が共演したクライムドラマ。長年の刑期を終えて出所した老ギャングと、組織から彼を殺す密命を下された旧友が最後の夜をハメを外して過ごすさまを描く。俳優、製作など... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2014/10/11 12:31
「ミッドナイト・ガイズ」☆輝いて死ね
円熟の大物俳優たちは、円熟を通り越して、もはやヨボヨボ。 しかーし、このよぼよぼが見事に息を吹き返し、キラキラと・・・・いやギラギラと輝きだす姿に思わず涙がこぼれる。 颯爽と蘇る彼らの熱き青春と友情に、予想外の感動で胸が熱くなるのだ。 ...続きを見る
ノルウェー暮らし・イン・原宿
2014/10/12 00:42

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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
3人のヨタヨタぶりが「観たくなくて」(笑)
録画スルーしておりましたが
貴記事拝読しましたので大慌てで
検索しましたら再放送あるとか。
ということで、観てみましょうね。
ウォーケンはシワシワのシワで
パチーノは相変わらず目ん玉ひんむいて
ガシャガシャとおしゃべりになり、さしずめ、
下ネタ担当はアーキン、でしょ?(笑)

監督さん、知ってる知ってるこの方。
出演作いっぱい観てますよ。
脇役もっぱら特徴あるお顔立ち。

ところで
プロフェッサーは、死ぬのがお恐いのね。
かくいう私、全然、恐くないの。
いざとなればきっとジタバタするだろう
けれど、イエスさま信じてるから
私、天国へ行けるんですわ。(^^)
vivajiji
2014/10/11 15:06
しかし、最近はじいさん達のほうが手強いようですな〜
棺桶に片足突っ込んでいるせいかな?
楳図かづおさんも78歳にして映画を監督するし・・・・
『窓から逃げた100歳老人』という傑作な小説もありますよ。
ねこのひげ
2014/10/11 18:17
vivajijiさん、こんにちは。

>3人のヨタヨタぶり
一応「貫録」などと評しましたが、実際、かなりヨタヨタでしたよ^^;
パチーノなんて「狼たちの午後」を再鑑賞してさほど日も経っていないので、「観たくない」というお気持ちも良く解ります。

三人の感じはほぼご推察の通りですね。でも、アーキンの出番は少なく、結構ご贔屓にしている僕としてはその辺りはつまらなかったです。

>貴記事
責任重大ですが・・・もしダメでも、95分実質的に90分強の短尺ということで、お許しいただければ幸いですm(__)m

>死ぬ
それほど此岸に拘る理由もないのですが、幾度か申しているように読みたい本が十年分ほどあるので、少なくともこれを読み終えてから死にたいと思っているわけです。
だから、最近妙に「生きたい」のでありますよ(変な理由)^^
僕のような性格の人間には生きるのも楽ではないので、ダメならダメで諦めますけどね。但し、呆気なく楽に死にたい。
オカピー
2014/10/11 18:51
ねこのひげさん、こんにちは。

開き直れれば、棺桶に片足を突っ込んでいるくらいの年代が強いのではないですかね。
僕なんかは開き直れないので、全くダメですTT

楳図氏は映画まで手を出しましたか。
本当に元気だなあ。
オカピー
2014/10/11 18:56
楳図かずおは、小学生の時少女フレンドでしたか「おろち」の死体が生き返る場面を見てトラウマになりましたが、マンガはいっぱい読んでいる、そのころもう単行本も多い人気マンガ家だった。そして、その後ずっと、第一線ですよね。すごい! 次々に話題作を描いていて。
アル・パチーノですが、映画ではヤクザの役をやる人みたいになってしまって、舞台でも活躍しているそうなので映画だけ見て判断してはいけないのかもしれませんが、どうしてこうなった、と思ったりします。似合いますけれどもね、ヤクザの役が。
nessko
URL
2014/10/12 13:12
nesskoさん、こんにちは。

>楳図かずお
僕は、「平凡」だか「明星」だか月刊誌に連載されたのを読んで、トラウマになりましたね。
ずっと後年ご本人を拝見したら、変な人なので驚きました(笑)

>アル・パチーノ
確かに「ゴッドファーザー」で人気爆発したわけですが、後年のヤクザとは少し違いますよね。
僕も最近のパチーノは余り好きでないです。
以前、自身でブログをやられコメントも多く寄せてくれたシュエットさんが「汚く年取った」と仰っていますが、その通りだと思います。
オカピー
2014/10/12 21:09
オカピーさん これ 去年の5月ごろに ツタヤの更新案内のハガキが届きましたので 一本DVD無料(新作でしたので2泊3日)で借りてみました。オカピーさんと同じく10点中7点ですね。

作り方は なんだか 2000年公開のリチャードドレイファスやバートレイノルズが出演してた「マイアミガイズ 俺たちはギャングだ」と 同じ系統ですね。 あれも 引退した老ギャングたちの ドタバタを描いてました。あれも個人的には10点中7点 だたマイアミガイズは、安城コロナで見たのですが 二週間そこそこで終了したのが惜しい・・・・ もちろんDVDは買いましたよ。

全体的には よくできてると思いますよ。高速道路でパトカーとカーチェイスしたり、バイアグラを入手するために 薬局に盗みに入ったり・・・まあ 悪ガキな親父たちでした。

一晩での出来事なのに ものすごく 何日分の時を過ごしたような気分です。まあ それこそ この作品を見る者に そう思わせるように作り手は そうしてるんでしょうね。

<しかし、この老ギャング二人は死んだとは限らない。いや、僕の理解では、死んではいけないのである。〜中略〜孫娘への思いが逆の効果を生んでしまう。>
 
オカピーさん はそう解釈しましたか。 ボク この作品について 他のブログにもコメントしましたところ  ほとんどの方たちが 殺されただろうね、と

ボクもそう思ってます。組織のボスに楯突くことが何を意味するかは明白・・・
たとえボスは倒せても手下たちから執拗に追跡されるでしょうし。
それでも この2人は後悔してないでしょうね。

 まさに シニア世代の底力をみせつけたって感じですよ
zebra
2015/02/13 09:47
zebraさん、こんにちは。

>「マイアミガイズ 俺たちはギャングだ」
うーむ、観てないかもしれませんねえ、これは。

>一日の出来事
これ、古代ギリシャ劇以来の“三一致の法則”の一部で、この手法を取るとすごく安定感が出るわけですが、場所を変えエピソードを盛り込むという“三一致の法則”とは逆の手法を取ることで、何日もかかったように見せる現代性・映画性をも同時に出したかったのかもしれません。
そんなことを思ってこの映画を観る人はまずいないと思いますし、僕も今ふと思っただけなのですが(笑)

>ほとんどの方たちが 殺されただろうね、と
実際的に考えれば、そういう印象を持たれて当然ですが、要はドラマツルギー上の解釈ですよね。そうしないと、よくわからないお話になる、ということ。
どちらが正しいか正しくないかというより、映画ファンであるならばドラマツルギー上の理解というのも必要なのではないかと、思います。

>シニア世代
ふーむ、僕はまだ彼らの年代ではありませんが、病気も色々と出てきて老いを感じますよ^^;
オカピー
2015/02/13 20:26
オカピーさん お返事ありがとう。

「マイアミガイズ 俺たちはギャングだ」 見てみてください。 犯罪コメディでドタバタが小気味よく作られてますから。

>古代ギリシャ劇以来の“三一致の法則”
 オカピーさん、むつかしそうですね。意味は調べましたが 、なにぶん
ボク自身頭の理解力が乏しいものですから サンドイッチの法則と憶えておきます(笑) 本来のサンドイッチは食パン三枚の間に 二種類の具しか入らないところを 上にもう一種類 具を足して

上から 具、パン、具、パン、具、パン 三枚の食パンに 三種類の具 同数一致で(ムリヤリ作った)サンドイッチのできあがりでぇ〜っす(・_・;)。

>老人が頑張る映画にも弱くなってきた。
いいじゃないですか^^ラブリーオールドメンというコメディ映画でも 往年の俳優ジャックレモンとウォルターマッソーのかけあいでもそうでした。
 当時VHSテープでしたが ”シワの数だけ オレたちゃ若い”って書かれてました。
老人ががんばる映画は そういうことなんでしょうね。
zebra
2015/02/14 13:05
zebraさん、こんにちは。

>三一致の法則
まあ、お話は簡単な方が良い、ということ。
サンドイッチの法則というのはダジャレを兼ねた上手いネーミングですね。

>ラブリーオールドメン
これは観ましたなあ。
「恋人よ帰れ!わが胸に」「おかしな二人」等いくつもコンビを組んできたレモンとマッソー共演だけに出来栄え以上に感じるものがありました。
当時は僕もまだ大分若かったから、今見れば大分違うでしょうねえ。二人を見るだけで泣いてしまうかもね^^
オカピー
2015/02/14 21:21

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