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zoom RSS 映画評「偽りの人生」

<<   作成日時 : 2014/08/18 11:05   >>

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☆☆(4点/10点満点中)
2012年アルゼンチン=スペイン=ドイツ合作映画 監督アナ・ピターバーグ
ネタバレあり

ヴィゴ・モーテンセンが出てきたがスペイン語を話しているので妙な気分になった。アメリカ出身らしいが、あの風貌では北欧なら似合ってもアルゼンチンにはどうも似合わない。

生まれ故郷の島で蜂蜜作りをしつつ誘拐犯罪にも手を染めているペドロ(モーテンセン)は末期ガンである為、都会に住む一卵性双生児の弟で医師をしているアグスティン(モーテンセン二役)に殺してくれと頼む。弟は兄の言う方法では断ったものの、風呂場で血を吐いて苦しむ兄を見かねて溺死させると、養子を欲しがる妻との偽善的な生活に我慢ならなくなった人生を捨てる為にその死体を自分として放置、兄として島で生きることにした為、兄の関わっていた誘拐犯罪のいざこざに巻き込まれてしまう。

映画はもはやリアリズムに拘るには成熟すぎし敢えてリアリズムに拘る必要はないと思うが、アルフレッド・ヒッチコックがしきりに強調した「本当らしさ」は映画にとってエッセンシャルである。しかるに、本作にはその「本当らしさ」が欠けている。少なくとも上手く嘘がつけていない。
 アグスティンがペドロのしている養蜂が儲かっていることを知ったとしても、兄との再会は十年ぶり以上だろうしもう何十年も過ごしていない島に行ったところで相手のことは全く解るべくもない。こちらにとって相手がほぼ一見(いちげん)であるのに対し、相手が兄をよく知っているというアンバランスなシチュエーションではすぐに正体は見破られるはずで、こんなお話が成立するとはとても思えない。

或いは純文学的志向の寓意なのかもしれないが、犯罪映画としては主人公の行動が出たとこ勝負すぎていかにも無謀である。蜂蜜作りに協力している若い娘ロサ(ソフィア・ガラ)にしても、ボスに当たるアドリアン(ダニエル・ファネゴ)も比較的早めに気付いていた可能性もあり、それをその時点で指摘しないのは何か思惑があったのように思われるものの、それが何なのか全く示されない為に作品の方向性が頗る解りにくく、ご挨拶に困る映画に終わってしまった。主題もよく解らない。

女性監督アナ・ピターバーグの映画的ムード醸成は悪くない。しかし、モーテンセンのイメージと冷え冷えしたトーンのせいでアルゼンチンというより北欧のように感じられてしまうのは問題だろう。

一卵性双生児から性善説・性悪説を考えてみよう、という映画かな(冗談ですぜ)。どちらの説も人間はどうともなる、という点では同じわけで、殊に性善説については誤解・誤用している人が多い。「偽りの人生」という邦題も両義的だね。

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偽りの人生 ★★★
ビゴ・モーテンセンが一卵性双生児を1人2役で演じたサスペンスドラマ。第82回アカデミー外国語映画賞を受賞したアルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」(2009)のプロデューサー陣が製作、同作のヒロインを演じたソレダ・ビジャミルも出演。 <感想>一見シンプルなようであり... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2014/08/18 19:41

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
以前、USAで実際にあった犯罪で、その犯人が一卵性双生児でしたが、その犯人のお姉さんは成功してセレブな生活、妹は麻薬患者で殺人者として裁判中という立場で姉妹の写真がまるっきり違っていたのには驚きでした。
一卵性双生児でも環境によって顔つきなどが違って来るという実例でありますね。

アルゼンチン・・・配役ミスというか場所を北欧に変えた方がよかったようですね。
ねこのひげ
2014/08/24 06:49
ねこのひげさん、こんにちは。

>USA
そういうこともあるでしょうね。
どちらが本来の姿か解らないから性善説も性悪説の証拠にならないですね。僕は人間というのはどちらでもないと思っていますが。
生まれついての精神的な強さ・弱さが結果を分けるのではないでしょうか。同じ劣悪な環境に生まれ育っても成功する人もいるし、方や犯罪者になる。
ただ、そういう強い人の方が少ないと思っています。

監督がアルゼンチンの人で、モーテンセンも少年時代にアルゼンチンに過ごしたらしいので、そういう流れなのでしょうけど、アルゼンチンのムードは極めて希薄で残念でした。
オカピー
2014/08/24 20:14

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