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zoom RSS 映画評「最愛の大地」

<<   作成日時 : 2014/08/17 09:52   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2011年アメリカ映画 監督アンジェリーナ・ジョリー
ネタバレあり

アンジェリーナ・ジョリーが出演しないで製作・脚本・監督に専念した初メガフォン作というのが最大の話題になるだろう。しかし、あちらの男女優さんは純娯楽映画を作らないですなあ。

舞台は1992年から95年までのボスニア=ヘルツェゴヴィナで、セルビア人、クロアチア人、ムスリム人との間の紛争が激しかった時代である。この後国連やアメリカが動き出してやがて紛争は収束していくが、サラエヴォ・オリンピックで観たジャンプ台が無残な姿をさらしていた映像には胸が詰まるものを覚えた。

セルビア人の警官ゴラン・コスティッチとムスリム人の女流画家ザーナ・マリアノヴィッチがデートで踊っている最中に爆破事件が発生する。二人とも無事ながら、数か月後に皮肉な運命が二人を迎えることになる。ムスリム人抹殺を誓うセルビア軍の指揮官として彼は部下による強姦の危機から彼女を救うのである。
 収容所において彼の庇護の下に比較的安全に生きることが許された彼女は、別の現場での指揮に当たる彼の残した情報により収容所脱走に成功した後、ムスリム人抵抗派のスパイとしてわざと捕まり、再びコスティッチの庇護による監禁生活に入る。
 彼は父親の将軍に命じられて彼女を強姦した士官を射殺するが、やがて彼女のスパイ行為に気付くや思わず引き金を引いてしまう。

国連軍兵士の前に身を投げ出す彼の姿を見れば、「せざるを得なかった」というところで、お話を考え演出も担当したアンジェリーナとしては近隣同士・恋人同士が敵味方に分かれる内戦の悲劇を浮き彫りにしようとしているのがよく理解できる幕切れになっている。
 90年代にこの内戦を扱った映画が少なからず作られたことを考えると証文の出し遅れという印象がある一方で、数多ある悲劇の中で強姦に焦点を当てたのは人道的な活動をしている女性らしい視点として買っておきたいし、銃で狙いを付けている彼と逃げる彼女の姿をマッチ・カット風のカット・バックで見せる(将来の暗示にもなっている)部分の映画的工夫には認めたいものがある。

反面、全体としての紋切型の印象や、心理の流れを追う部分が舌足らずであることなど、注文を出さざるを得ない部分も少なくない。

今はウクライナが面倒臭いことになっている。ウクライナ・ロシア両国に全く関係のない民間機の撃墜が事態を余計ややこしくしたと思う。

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最愛の大地/ザーナ・マリアノヴィッチ
あのアンジェリーナ・ジョリーがメガホンをとった劇場長編監督デビュー作はボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を背景に内戦によってそれぞれの民俗が敵対してしまった一組みの男女の愛 ... ...続きを見る
カノンな日々
2014/08/17 10:45
最愛の大地 ★★★★
著名なハリウッド女優であり人道支援家としても活躍するアンジェリーナ・ジョリーが、長編初監督を果たした社会派人間ドラマ。1990年代に泥沼化したボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を舞台に、恋人でありながら内戦により敵になってしまったボスニア人女性とセルビア人男性の... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2014/08/17 17:48

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
まあ、処女作としてはいい出来というか、及第点でありましょうね。
昔からよく言われているように純然たる娯楽作品は難しいですからね〜
ロビン・ウィリアムスの悩みもそのあたりにあったわけで、『グッドモーニング・ベトナム』でアカデミー賞を受賞していれば、こうはならなかったろうという人もおりますね。

まったく、そこら中戦火の匂いが致しますな〜
ねこのひげ
2014/08/17 18:07
ねこのひげさん、こんにちは。

ストーリーの大枠が凡庸でしたが、場面ごとに工夫をしていると認められる部分があり、その努力は買いたいと思いました。

>『グッドモーニング・ベトナム』
詳細が解らないので何とも言えないものの、僕にもそんな直感が働きましたね。

人間、「4歩進んで3歩さがる」くらい少しずつ進歩している感じもありますので、大戦までは行かない気もしますが、解りません。
オカピー
2014/08/17 20:32

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