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zoom RSS 映画評「スタンリーのお弁当箱」

<<   作成日時 : 2014/08/12 11:06   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2011年インド映画 監督アモール・グプテ
ネタバレあり

新しいアイデアの全く出てこないアメリカ映画よりインド映画の方が余程面白いかもしれないが、とにかく長いので先月のWOWOWのインド映画特集では二本だけ付き合った。
 そのうちの一本「マッキー」は主人公の心境の一部をご本人が歌っているわけではない歌曲で紹介するセミ・ミュージカル仕立てであった。その意味で本作も似た作りで、状況や心情を歌で説明する部分が何か所かある。しかし、本作の場合はセミ・ミュージカルというより昔西部劇で流行ったバラッド形式を思わせる。

とある小学校、貧しそうな少年スタンリー君(パルソー・グプテ)が学友の弁当のお裾分けに預かるのが気に入らない国語教師(アモール・グプテ)は、自分は生徒の弁当を貰っているのに「弁当箱を持って来ない生徒は学校に来るな」と呆れた放言をする。それからスタンリー君は本当に来なくなってしまう。その間に支援団体からコンサート出演応募の案内を受けた、友情に厚い学友たちは一番踊りの上手いスタンリー君にそのチャンスがないのは不公平であると彼の居場所を探し当て連絡をする。オーディションの会場に出かけた少年は気に入られて本番に出場することになり好評を博す。

この映画の構成はフランソワ・トリュフォーの「トリュフォーの思春期」(1976年)に似て、前半問題を小出しにしつつも観客をニコニコさせた挙句、少年の環境を突然明らかにする。かの秀作における問題の少年は肉親の虐待であったが、本作では孤児のスタンリー君が叔父さんの小料理屋か何かで働かされていたのである。恐らくそれを知っているのは校長先生(多分実際にも本当の校長)だけで、生徒は勿論、他の先生も全く知らない模様。日本や欧米の学校では主人公のような特殊生徒の生活環境情報の共有は当たり前と思うが、インドではこういうことがあるのだろうか?

それ以上に解らないのが監督自身が扮する国語教師の絶対君主ぶりである。必要以上に、と言うか、義務とのバランスを考えずに「自由と権利」を主張する日本の子供たちやその親たち(一部)にも困ったものだが、あのような放言に対して本人は勿論他の生徒が騒がないのが不思議であるし、そもそもあの教師は何故他人の弁当をあそこまで欲しがり、それに対し他の先生も口を挟まないのが個人的事情か、インドではよくある情景なのか、よく解らない。戦前の日本映画を観ると、先生が生徒やその親から神様のように崇められていた様子が伺われるが、多少高圧的であってもあそこまでデタラメな教師は観た例(ためし)がない。この辺はインドの環境をよく知らない外国人観客の首を傾げさせる要因となる。

そこを一歩譲っても、劇的効果を考えた場合、教師が指弾される前に自分の問題点を自覚してしまうのはつまらないだろう。また、学校と支援団体との関係、コンサートの位置づけがよく解らない為、コンサート出演の切符を手に入れた少年の喜び具合がピンと来ない。

といった具合に外国人には色々と舌足らずに思える部分がある為断然良い映画とは言いにくいが、少年たちの友情には爽やかなものを覚え、後味は大変ヨロシイ。グプテ監督、インドのトリュフォーになれますでしょうか?

「グプテの思春期前」といったところ。古代インドにグプタ朝というのがあったけど、世界史を習った皆様、憶えていますか? あの教師、チャンドラグプタの子孫かもしれない。

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スタンリーのお弁当箱 ★★★
アクションやミュージカルが詰め込まれた娯楽大作映画が主流のインド映画界で、素人の子どもたちを集めて撮られた小作ながらも、大ヒットを記録したハートフル・コメディドラマ。 あらすじ:いつも周囲を笑わせているクラスの人気者スタンリー(パルソー)は、家庭の事情... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2014/08/12 16:48

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
インドの環境や週刊は海外の人間にはわからんですね〜
本当か?と思われるし、インド人観客はおかしいと思わないんですかね?
ヒットしたみたいだから、普通のことなんでしょうか・・・・

『マダム、ニューヨークに行く』というどこかで聞いたようなタイトルのインド映画が面白いそうであります。
ネットで見ると、他にもどこかで見たようなタイトルのインド映画が紹介されておりました。('◇')ゞ
ねこのひげ
2014/08/13 09:52
ねこのひげさん、こんにちは。

インドの教育環境なんて解りませんから、日本人が引っかかっても地元の人には当たり前なのかもしれないし、こちらは自分の知識と常識に照らして判断・評価するしかないわけでありますが。

エディ・マーフィー主演で似たような邦題の映画がありましたね。
本作は、ボリウッド映画の王道ではない作り方なので短かったですが、典型的な作品となると大体3時間前後。素材的には面白そうでも、二の足を踏みそうです^^;
オカピー
2014/08/13 21:01

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