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zoom RSS 映画評「わたしたちの宣戦布告」

<<   作成日時 : 2014/06/26 07:13   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2011年フランス映画 監督ヴァレリー・ドンゼッリ
ネタバレあり

共同脚本と監督を担当した女優ヴァレリー・ドンゼッリが、かつて自らの伴侶であった男優ジェレミー・エルカイム(共同脚本)との間に儲けた息子ガブリエル君に襲いかかる病魔と闘った自らの経験を綴る自伝映画。

名前こそロメオ(エルカイム)とジュリエット(ヴァレリー)とぼかされているが、紛れもない自伝映画である。恋に落ちて結ばれた二人は息子アダムを儲け幸福な日々を過ごせると思いきや、息子がどうも正常ではなく、調べるうちに脳腫瘍と判明する。検査が進むほど脳腫瘍の中でも厄介なものと判って来るが、彼らは前向きに進もうと努力を続ける。その結果、息子は手術から5年以上経った8歳になる現在まで健在、医師から完治を告げられる。

8歳のアダムに扮するのは当時8歳のガブリエル君本人である。欧米に比べると日本での評価は明らかに低い。どうもその評価の格差は、西洋人と日本人における結婚観や道徳観との差にあるようである。

僕がこの映画で解らなかったのは手術後二年後に二人が「別れた」という部分。戦後ボーヴォワールの「第二の性」が書かれた頃あれほど保守的な結婚観が覆っていたフランスにおいて今や半数のカップルが事実婚(内縁関係)であって法律婚ではない。だから「別れた」の意味が正確に解らないのである。映画の描写を見る限りでは法律婚を解消したという風にしか理解できないが、邦画なら法律婚に関する描写がなくてもそんな疑問をまず生じない。

それと低評価に何の関係があるか説明が難しいが、そういう国民性においては煙草をぷかぷか吸ってポイ捨てするのは何でもないことなのに違いない。潔癖症なごく真面目な日本人にはなかなかできないことであり、この煙草ぷかぷかポイ捨てに象徴される二人の若さや不道徳ぶりに好感が持てない人が多いようなのである。僕はその点についてはまあそれほど評価に加味しないつもりだし、寧ろ難しい病気を扱っているのに死で終わらないこと、ミュージカル風の場面まで挿入して(少々やりすぎ)軽妙なタッチで進めたことを評価したいくらい。難病を軽く扱うなというご意見もあるだろうが、難病だからこそ陰鬱にではなく明るく扱うという考えを簡単に捨てる気になれない。人の死を扱って単なる同情を感動と勘違いさせてお金を取ろうというおためごかしの作品に比べればどれほどマシであろうか。

同時に、病気に関する映画はどういう風に作ろうと観ていて気が重いことに変わらず、病気に向かう態度として参考にしたい部分はあるにしても映画的な魅力のある作品とは言い難い。故に、僕も高得点は与えられないのである。

難病ではないけれど、僕も死ぬまで持病と付き合うことになりそう。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
映画的魅力には確かに欠けますね。
ただ最後まで見せるチカラはあったかなと。

直感で“この二人は別れるな〜”
ずっとそういう風に私は見てましたが。
映像の空気、二人の視線の中に
“それ”がありましたし、個人的には
この夫がいつか逃げ出すんじゃないか、
常にそんな思いもありましたよ。(笑)
別れは、アダム君の存在が二人を牽引
てましたがきっと疲れちゃったんですよ。
病気扱ってますが作り手の描きたいところは
やはり夫婦のことにからめた人間の
心理でしょうね。
vivajiji
2014/06/26 08:44
vivajijiさん、こんにちは。

僕としては、映画でなくても別の表現でもできる内容、と感じられたというか。

ただ、日本人に受けそうもないですが、見せ方には色々努力しているんですよね。
例えば、たばこポイ捨てにしても二人が同時にやって「二人の一心同体ぶり」を微笑ましく見せようとしたり。
そういう細かな努力が姐さんの仰る「最後まで見せるチカラ」に繋がったのでしょう。
僕にしてもつまらなくはなかったですが、こういう疲れる生活を毎日送っているせいか、しょんぼりしてしまいまして・・・
威勢の付くような健全な映画が観たい心境なんです^^

何が横糸か縦糸か知りませんが、一般の方と逆に観ていると見た(笑)。するとこの映画に違った面白味が発見されるでしょうね。さすがです。
オカピー
2014/06/26 20:42
現実の世界でも、芸能人同士の結婚会見なんかを見ていると、『あっこの二人は別れるな』と感じることがありますね。
何回かそういう事がありました。
お互いの思いの熱の度合いの差を感じたのでしょうが、その意味ではこの映画はうまく作っていたのかな〜
誰でも大なり小なりトラウマは持っておるものです。
人間ですからね。
ねこのひげ
2014/06/29 07:47
ねこのひげさん、こんにちは。

「子はかすがい」というのは、どの民族でも通じるもので、本作では離婚したものの、子供が最後までかすがいの役目を果たしていました。
「別れても好きな人」という曲もありましたね^^
オカピー
2014/06/29 13:40

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