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zoom RSS 映画評「よりよき人生」

<<   作成日時 : 2014/06/22 10:35   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2011年フランス映画 監督セドリック・カーン
ネタバレあり

35年前映画館で「これからの人生」(1977年)というフランス映画を観た。娼婦の子供を預かる老婦人(シモーヌ・シニョレ)の最晩年をアラブ人少年との交流を交えて描く埋もれた秀作で、本作の「人生」という邦題の一部と移民問題を含む内容からふと思い出した。アカデミー外国語映画賞を受賞した名作ながらご存知の方は少ないと思うし、観るチャンスはもうないかもしれないので、敢えてここで紹介させていただくことにした次第。

さて、こちらはシェフになりたい夢を持つ男性のお話。アラブ系の女性レイラ・ベクティと知り合ってすぐに懇ろになったギヨーム・カネが、女性の息子スリマン・ケタビ君と遊んでいる最中、湖畔にある廃屋を発見し、これを改築して念願のレストランを開こうと適当なことを言って銀行から融資をして貰ったまでは良かったものの、ケチったつけで消防法にひっかかり、多重債務がばれて銀行からの融資も打ち切られる。
 そこへ持ち込まれた営業権絡みの話に乗ってみたものの、これまた途中で行き詰る。内妻となっていたレイラはカナダへ渡ったまま音信不通になり、結局、営業権の話を持ってきた悪徳商人を殴り倒してお金を強奪、その足でスリマン君を連れてカナダに向かう。
 彼女が麻薬運搬の片棒を担がされて服役中と知った彼は現地で料理人の仕事を見つけ、稼いだお金で弁護士を雇い彼女の無実の罪を晴らして出所するのを待つことにする。

この映画で一番印象的なのは、子供の万引きを咎めた主人公が、悪徳商人とは言え相手からお金を強奪するという犯罪を犯す必死さである。この辺りは主人公と子供の年齢が似た感じの「自転車泥棒」(1948年)を思い出させましたなあ。人としてしてはいけないことながら、基本的に考えが甘いだけで善人の主人公が完全なる善人のまま終わらないのは作劇的に許容範囲だろう。
 彼の強奪行為が許せるか許せないかで本作に対する評価もかなり変わるはずで、人間は弱く愚かなものであると数十年来思っている僕には、程良く綺麗すぎないお話で良いのではないかと思われる。同時に、そのまま終わることにすっきりしないものを覚えるという鑑賞者のご意見も人情として理解できる。

移民や貧困の問題を基調に全体としては重苦しい内容でありながら、監督セドリック・カーンが比較的軽妙なタッチで描いている為、観ていて必要以上に鬱屈して来ないのがヨロシイ。主人公のシェフになる夢が家族を持つ幸福に代わったことを示す幕切れのスノーモーヴィルの描写も味わいがある。

僕が去年やって今年確定したお金に関する大失敗も人生に対する甘い考えから発生したもの。他人の考えの甘さを批判するなんてとてもできない。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
まあ、ほとんどの人間は、甘いんですけどね。
失敗の連続からなにかを学べればいいんですけど・・・きがついたときには遅いことがほとんどでありますね。
川上哲治のように石橋を叩いてもなを渡らない人はほとんどおりませんですよ。
我もまたしかりであります('◇')ゞ
ねこのひげ
2014/06/22 12:36
ねこのひげさん、こんにちは。

学習出来た時はもう遅いというのは、ここ数年の僕は嫌というほど味わっていますね。
自分が情けなくて、たまに涙が出てきますよTT
オカピー
2014/06/22 20:44

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