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zoom RSS 映画評「ALWAYS 三丁目の夕日'64」

<<   作成日時 : 2014/06/15 11:01   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2011年日本映画 監督・山崎貴
ネタバレあり

多分にシネフィルと言われる方の中には大衆映画、それも技術レベルの平凡なものを蛇蝎の如く嫌う人がいらっしゃるようで、最近"Allcinema"が零落激しい(コメントが極端に減っている)為に併用し始めた"Yahoo!映画"の投稿者レビューが本作に関して大変なことになっている。
 【参考になった】のトップはずらりと酷評のオンパレードで、その全てが閲覧数より【参考になった】数の方が多い(約4倍)。つまり、ネット用語で言う自作自演と思われる。その後に控える好評組も同様で、数字が多少内輪なくらい。双方で争っているらしい。中身は碌に読んでいないが、コメントは同じ人が幾つか別の名前で出している印象を受ける。たかが一本の大衆映画にそこまで時間を費やす必要があるのかねえ。

さて、前二作の時代背景の象徴だった東京タワー建築に代わり、今度は5年後の東京オリンピック(1964年)が時代の象徴である。映画もそれに合わせて5年ぶりで、この月日で演ずる子供(子役)たちの外見は随分変わった。子供と言えば、64年当時僕は小学校入学前後の年齢で、東京オリンピックの【東洋の魔女】も観た記憶がない。

鈴木則文(堤真一)の経営する鈴木オートで仕事を始めた青森出身の六子(堀北真希)は仕事に慣れ、今や後輩を指導鞭撻する立場になっている一方、若い医師・菊池(森山未來)と親しくなるが、近所のおばさん(もたいまさこ)から彼の悪い噂を聞いて悩む。
 方や、妻(小雪)の出産の日を待ち望んでいる茶川竜之介(吉岡秀隆)は、新人作家・緑川に連載小説作家の立場を追われそうになって大慌て、作家になることに反対して断絶していた父(米倉斉加年)の死後、緑川である正体を明らかにした養子の淳之介(須賀健太)の進路を巡って大騒動を繰り広げる。

第一作は、布石の回収が上手く、お話の流れが滑らかで、ストーリー面で断然上出来だった。この第三作は二作目と似たような出来だろうが、人情ものが決して嫌いではない僕をニコニコさせた前半に比べ後半が少々弱い。
 六子と菊池医師とのお話は些か調子が良すぎる嫌いがあるにしても【朝の連続テレビ小説】的には一応楽しめるが、竜之介が亡き父と同じことを繰り返す部分の扱いが大いに不満なのである。終盤、彼が淳之介を追い出すのは父が彼に対したのと同じ【背水の陣】作戦である筈。帰る場所を奪うことでその実力を最大限に発揮せしめようというのである。
 であるならば、人前で痛罵した後彼が独り少年の荷物を詰める時の態度はもう少し静かなほうが気分が出る。落差があった方がその親心が解りやすくなる。竜之介自身がそこまで考えていなかった可能性が否定できないにしても、それでは父親との確執を踏まえた作劇としてつまらないのではないか。僕が脚本担当なら、部屋に入った直後に彼の勢いを止めさせる。

冒頭、子供たちが茶川家の買ったTVが白黒なのにがっかりするシーンがある。あの当時カラー放送は殆どなかったので判断が速すぎると思っていると、中盤で「カラー放送は殆どない」というフォローが入って少し安心した(映画には関係ないが、1970年代の途中までは放送中に中断することがままあった。その度に「ただ今調整中です。暫くお待ちください」といった文字が出た。今では考えられないことですがね)。といった具合に、当時の気分を知っている人の方が楽しめる映画であることは間違いない。

とは言え、本作は、否定派の論旨になりがちな“ノスタルジーと人情ばかりの映画”ではない。現在に通ずる問題の萌芽があったことを暗示している。経済最優先で他を犠牲にする国家の姿勢、核家族化の進行とそれによる地方の疲弊といった問題である。
 六子が青森に帰らず東京で結婚することは過疎化、極論すれば村の消滅に繋がる(僕の住んでいところに近い群馬県上野村や南牧村は20年後にも消滅すると言われている)。青森の本当の両親が劇中無視されているのは実は笑いごとではなく、国民を含め国家全体が地方を重視していないことのアレゴリーみたいなものである。

本作は、かくして、経済一辺倒で幸せと言えるのだろうか、という問題を示しつつも、豊かになることを必ずしも否定しているわけではない。しかし、屋根修理中の事故に伴うリフォームの為に家の片付けに追われている僕は、豊かになることのマイナス面を痛感している最中なのである。

(地震を別にして)近年における天災の多さは自然の物質文明への警告と思えるが、我が家がその犠牲になるとは(そこに人災も加わって)ね。W杯どころではないよ、まったく。

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ALWAYS 三丁目の夕日’64
公式サイト。西岸良平原作、山崎貴監督。吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、もたいまさこ、三浦友和、薬師丸ひろ子、須賀健太、小清水一揮、マギー、温水洋一、神戸浩、飯田基祐 ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2014/06/15 11:58
ALWAYS 三丁目の夕日'64
素直に感動を満喫した!!!   ...続きを見る
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2014/06/15 13:08
ALWAYS 三丁目の夕日'64 (3D)/吉岡秀隆、堤真一、小雪
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カノンな日々
2014/06/15 14:34
『ALWAYS 三丁目の夕日’64(2D)』
□作品オフィシャルサイト 「ALWAYS 三丁目の夕日&amp;rsquo;64」□監督・脚本・VFX 山崎貴 □脚本 古沢良太□原作 西岸良平 □キャスト 吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、もたいまさこ、三浦友和、       薬師丸ひろ子、須賀健太、小清水一揮、マギー... ...続きを見る
京の昼寝〜♪
2014/06/15 19:30
『ALWAYS 三丁目の夕日'64』 ('12初鑑賞12・劇場)
☆☆☆☆☆ (10段階評価で 10) 1月21日(土) 109シネマズHAT神戸 シアター8にて 14:10の回を鑑賞。 ...続きを見る
みはいる・BのB
2014/06/15 19:51
魂の望む方へ〜『ALWAYS 三丁目の夕日'64』
 1964年(昭和39年)、東京。オリンピック開催を目前に、街は好景気に沸き 立っていた。夕日町三丁目に暮らす人々も、それぞれに成長し、日々の暮らし を営んでいる。 ...続きを見る
真紅のthinkingdays
2014/06/15 21:06

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
嫌いではない話ですがね〜
上野村や南牧村はツーリングで行きましたが、あのころからすでに閑散とした田舎でありました。
木造の校舎のある小学校もありましたけっ・・・・
そちらの場合は天災というより人災が99パーセントでありましょう。
後の1パーセントは天を甘く見た業者の責任でありますね。

日本負けましたね・・・これも相手を甘く見た結果でありましょう。
強気はうぬぼれに通じますからね〜
スペインも然り!
ねこのひげ
2014/06/15 16:25
>"Yahoo!映画"
なまじ利用者が多いからなのでしょうかねえ。Yahoo!はニュースでもコメントが並んでいることがありますが、2ちゃんねるよりこわい気がしました。

nessko
URL
2014/06/15 19:23
ねこのひげさん、こんにちは。

僕の部落も他所から来ると山と思われる方(かた)が多いようですが、上野村や南牧村はその僕が山だなあと思いますものね。ある程度の村道でも車がすれ違えないところがあって焦ります。

>天災
雨に関してはそうなのですが、屋根を直す原因となったのは、群馬県が出来て以来初めての大雪ですからねえ。半日で70cmの積雪ではこの辺の家が持たなくても当たり前。
2000年近い有史において、この付近では初めての大雪だったかもしれませんねえ。群馬でも北部の水上町あたりではままあるでしょうけど。
オカピー
2014/06/15 21:38
nesskoさん、こんにちは。

さもしい人たちですよねえ。
反対意見の人とも正々堂々と意見を戦わせば、ある程度勉強になると思います。聞く耳も持たず一方的に意見をまき散らすだけではいかんですよ。
オカピー
2014/06/15 21:43

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