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zoom RSS 映画評「2つ目の窓」

<<   作成日時 : 2014/06/11 10:45   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2014年日本=フランス=スペイン合作映画 監督・河瀬直美
ネタバレあり

“商業映画はうまく嘘を付いてなんぼ”と思っている僕は、河瀬直美のようなセミ・ドキュメンタリー作家はどちらかと言えば苦手なタイプながら、「萌の朱雀」(1997年)以降「七夜待」(2008年)まで大体観ている。これは凡そ一月半後に劇場公開される予定の2014年カンヌ映画祭出品作で、製作に関与したWOWOWでの先行放映である。映画館で鑑賞しない習慣がついてしまった僕には珍しくほぼリアルタイムで観られるということは貴重なので、その意味で嬉しかった。

しかし、(恐らく)同時録音による台詞に解りにくい部分が多い。特に、彼女の不親切な場面の繋ぎ方では、お話の理解を台詞に頼る必要性が高いので、従来通りそこに支障が出ている。

奄美大島、ユタ神様(勉強不足で全く知らないが、青森のイタコみたいなものか?)・松田美由紀の16歳になる娘・吉永淳は、東京出身で同じ年の若者・村上虹郎と仲が良い。彫り物師の父親・村上淳と別れた後次々と男性を変える母親・渡辺真起子に不信感を抱いている少年は、彼女のあっけらかんとした性交の要求に容易に応えられない。

舞台が奄美大島であり、性が絡み、ユタ神様という生き神様が出て来るなど、今村昌平の「神々の深き欲望」(1968年)の野趣性と比べたくなる内容だが、未成年者が主人公ということもあって、今村作品のどろどろした粘っこい描写に比べれば、まだまだ爽やかな感さえある。
 古い死生観が脈々と引き継がれていると思われる南洋にあっては性=生という印象が作りやすいというイメージを僕は持っているし、実際、この映画も性交渉に対し嫌悪感を持たない原始宗教的思想がベースにあるような気がする。

奄美生まれの少女と東京出身の少年との性に対する意識の落差が最初にあり、少女の生き神たる母の死、少年の訳あり母の失踪といった事件を経て少年の意識が変わっていく様を“成長”の一言で片づけて良いのか解らない一方で、性=生の賛歌であり、引いては血を繋いでいく女性への賛美となっている印象を抱かせる。しかし、僕の理解が正しいかどうかは甚だ心許ない。悪しからず。

TVでは十分に伝えられているとは言い難いものの、河瀬監督らしく奄美大島の風景はなかなかフォトジェニックに撮られ、印象深い。

題名は大分現代的になるも、内容は相変わらず古文を読むが如し。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ユタに関する小説を何点か読んだことがありますが、神が人に憑依してお告げをするらしいです。
恐山のイタコは死んだ人間が憑依するのですから、ちょいと違いますかね。
奄美大島は南国のせいか、おおらかでゆったりした感じで、映画もよい雰囲気でありました。
ねこのひげ
2014/06/15 05:48
ねこのひげさん、こんにちは。

>イタコ
言われてみれば、その通りですね^^;

>おおらか
どこでもそうですが、気温が高くなると開放的な国民性・民族性になるようですね。
三権分立で有名なモンテスキューが、気温と国民性の関係について記載していたような記憶があります。意外な感じを受けましたよ。
オカピー
2014/06/15 21:09

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