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zoom RSS 映画評「愛さえあれば」

<<   作成日時 : 2014/05/03 10:22   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2012年デンマーク映画 監督スザンネ・ビア
ネタバレあり

スザンネ・ビアはかなり信頼している監督で、本作でも見た目以上のテーマを打ち出している。

娘の結婚式参列の為婚約者の父親ピアース・ブロスナンの別荘のあるイタリアのトレント地方に出かけようとした美容師トリーヌ・ディルホムが、妻の癌治療で欲求不満に陥っていた夫の浮気現場に遭遇した直後の混乱から飛行場の駐車場で車を衝突させてしまう。相手が何と婿殿の父親その人であると判明、二人でイタリアヘ向う。
 些か出来過ぎのスタートなり(苦笑)。

彼の別荘では娘は情緒不安定の様相を明らかに示し、息子の気持ちも既に彼女から離れている模様。結局二人は土壇場で結婚式をキャンセルし、最初こそ典型的な実業家を思わせたブロスナンと互いに惹かれるものを覚えたトリーヌも結局家に戻っていく。一度は夫とやり直しをするつもりで、わざわざイタリアから美容院まで彼女を訪れた彼の申し込みを拒むも、二人の男性の精神のあり方を比べ「癌の精密検査の結果報告を一緒に観られるのはこの人だ」と思ってブロスナンをトレントに訪れる。

スタートと幕切れだけ観れば綺麗にまとまった大人のラブ・ロマンスにすぎない。これだけならハリウッドの新人作家たちでも作れる。しかし、この映画で肝要なのは、破綻した中年夫婦の結婚と若者の成立しなかった結婚である。
 トレントの別荘で入り乱れる様々な葛藤は現在における結婚の意義を問いかける為の要素であり、愛の行きつく先が必ずしも結婚ではなくなった欧州の現状を強く反映したものになっている。だから、幕切れは恋愛映画のクラシックな締め方に見えながら、その実その先にあるのが結婚でない可能性を強く示唆するのである。本作の国際タイトルがLove is all you need(愛さえあれば、若しくは、愛こそはすべて)となっている所以である。

従って、親子愛、兄弟愛などは本来このタイトルが示す“愛”のカバーするものではなく、それらをも指すと直截的に考えるのは間違いと思う。結婚を否定しているとまでは言えないが、現在では結婚が人が生きる上で必要なものでなくなっていることを示し、かなり辛辣な現代劇という印象を受ける。

が、結婚のアンチテーゼとして見せている、肝要なゴタゴタ部分がいかにも面倒臭い為、余り良い気持ちで観ていられず、この程度の星に留めざるを得なかった。

先日キリスト教に帰依する新聞集金人が「結婚しないで子供を作るのは不道徳」と仰っていましたなあ。僕なども儒教的人間だから家は大事と思うけれど、そういう関係を不道徳とまで言い切る信念はありません。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
愛さえあれば
原題 DEN SKALDEDE FRISOR/LOVE IS ALL YOU NEED 製作年度 2012年 製作国・地域 デンマーク 上映時間 116分 監督 スサンネ・ビア 出演 ピアース・ブロスナン/トリーヌ・ディルホム/キム・ボドゥニア/セバスチャン・イェセン/モリー・ブリキスト・エゲリンドパプリカ... ...続きを見る
to Heart
2014/05/03 10:38
愛さえあれば ★★★★
『ある愛の風景』『アフター・ウェディング』で知られるデンマークの鬼才、スサンネ・ビアによるラブストーリー。妻の死を乗り越えることができない男と夫の浮気を知ってしまった女が、それぞれの子どもの結婚式で出会ったのを機に惹(ひ)かれ合っていく姿を描く。『007... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2014/05/04 17:51

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
江戸時代ごろまでは誰のこどもとかあまり気にしなかったようで、明治になってキリスト教が解禁されてから結婚とかにこだわるようになったようですね。
考えてみるとキリストもユダヤ人のはずなんですがね〜
ユダヤ人の救世主として出てきたわけですからね〜
イタリア人やフランス人でなかったことは確かですがね。
ねこのひげ
2014/05/04 05:04
ねこのひげさん、こんにちは。

平安時代まで貴族は通い婚が基本でしたし、伝統的に結構出鱈目だったのではないかと思いますね。
僕等の住んでいる辺りの戦前くらいまでの話を聞いてもひどく入り組んだ人物関係の家が多いので、昔の田舎での結婚観が想像できます。

>キリスト
昨年「ソハの地下水道」を観ていてハッとさせられましたが、歴史を勉強していない欧米人の中には、キリストがユダヤ人であることを知らない人も結構いるようです。
オカピー
2014/05/04 19:11

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