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zoom RSS 映画評「人生、ブラボー!」

<<   作成日時 : 2014/05/17 13:28   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2011年カナダ映画 監督ケン・スコット
ネタバレあり

40年以上前中学生の時に始めた予備知識なしに映画を観るスタイルは依然続いている。以前は日本できちんと封切られた洋画はほぼ無条件に、邦画は主に監督で観ていたが、最近、洋画に関しては精神衛生に良くなさそうなものはかなり避け、邦画は観たい日本人監督が極端に減っているので話題になったかどうかで観ている。

で、この映画も基本的には何も知らず、話されている言語からフランスが舞台と思って観ていたら「ドル」という言葉が出てきたのですっかり泡を食った後、インディアンの話題が出て来るのでカナダと解ったという次第。僕と同じように当惑した方がかなりいらっしゃるようだ。

開巻から暫くはまた下ネタ・コメディーかとがっかりさせられるが、下ネタは笑わせるネタではなく、お話を進めるための要素であることが解り、気を取り直して観る。

父親の経営する精肉店を手伝っている主人公は若い頃精子提供をしてお金を稼いでいたのだが、中年になったある日、その精子で生まれた533人のうち142人から身元開示の訴訟を起こされてしまう。
 原告弁護士から貰った資料から一人が有名サッカー選手と判明した為子供たちに興味を持ち始め、こっそりと接近し始める。この部分には30〜40年くらい前の、ちょっと野暮ったくのんびりしたフランス喜劇を彷彿とさせるものがあり、手放しで褒めるほどではないにしても、喜劇(笑劇)色が濃厚でなかなか楽しめる。

後半はその笑劇色が薄まって、だらしない生活及び性格だった彼が“生物学上の”子供と接することで目覚めた愛情により妊娠した恋人ジュリー・ルブレトンとの仲を堅実にしていったり、裁判での勝訴による賠償金を得るか正体を明かすか迷った挙句に取る行動を描くヒューマン・コメディーの色彩が濃くなっていく。

うまいのは、主人公がジュリーを家族に紹介した際に父親から披露される感動的なエピソードが精子提供に関係があることを(暗に)示す辺りの扱いで、こういう類のうまさがもう2、3あれば秀作と言って良い作品になったにちがいない。
 反面、病気を持った子供との接触など描写が中途半端に終わったところがある。有名なサッカー選手もいれば、かような病気の少年もい、ゲイもいる。子供の多様性を表現する一環であることは解るが、そうであったとしても要領を得ず少々バランスを失するのを回避できていないため、完成度が幾ばくか低くなった。しかし、それはかなり無理な要求であるとは思う。

あるいは、倫理の問題で引っかかり、表面的にそう見えつつも「後味の良いコメディーである」と素直にゴキゲンになれないものがある。残念ながら、本作では「真夏の方程式」のように現実の倫理はどうでも良いと言うことはできない。正に生命に関する倫理が根底にある映画だからである。

533人もいれば、似ている人もいるだろうなあ。

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人生、ブラボー! ★★.5
過去に行った693回の精子提供を通して、ある日突然、533人の子どもの父親であることが発覚した男が巻き込まれる事態を、笑いと涙を交えて描くハートフルドラマ。 ...続きを見る
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
533人も子供がいるというのが笑っちゃいましたね〜

『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』の監督矢口さんはオカピーさんと同じ考えのようです。新作映画『WOOD JOB!』の宣伝でラジオに出てしゃべってましたが、CGを使うと不自然なので使わないそうです。
巨大な神木を倒すシーンが出てくるのですが、神木を大道具さんに頼んで作ってもらったそうです。
映画を観た人間は、皆CGと思ったそうですが違うそうです。

映画としてはこちらのほうが上のようです。
ねこのひげ
2014/05/18 04:38
ねこのひげさん、こんにちは。

僕はあくまで見る立場ですが、建物などはできる限り“美術”にやって貰いたいんですよねえ。
ただ、VFXは、撮影の為に民間の家を壊す(黒澤明「天国と地獄」)なんてことをしなくても良くなるので、大いに利用すれば良いとは思います。

昨日「ドラゴンゲート」という中国武侠アクションを見ましたが、ここのところ見る中国・香港映画の例に洩れず、建物などのCGの質感がまるでダメで興醒め。CGの質が低いのは、実写ではないんだなと確信をもって観られるので、必ずしも悪いことではないのですが、それでもお粗末という印象。上手く作れないのであれば、比較的近いところは美術でやれば良いのにと思ってしまいましたなあ。
オカピー
2014/05/18 10:40

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