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zoom RSS 映画評「死刑執行人もまた死す」

<<   作成日時 : 2014/04/23 09:15   >>

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☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1943年アメリカ映画 監督フリッツ・ラング
ネタバレあり

ちょうど四半世紀前東京の名画座で観てゴキゲンになったフリッツ・ラングによる反ナチス・サスペンス。一緒に観た「恐怖省」は衛星放送で再鑑賞できたが、こちらはできずにいたので今回のWOWOWによるラング特集(と言っても三本だけ)は有難かった。

ドイツ占領下のプラハで司令官が暗殺される。大学教授ウォルター・ブレナンの娘アンナ・リーは街角で挙動不審の男ブライアン・ドンレヴィーを見かけ、追跡するゲシュタポに実際とは反対の方向に逃げたと言い、その夜店で家を訊いて訪れてきた彼を泊める。やがて捜索に訪れたゲシュタポの目をうまく誤魔化すが、教授は犯人逮捕までの人質に取られ、同様の理由で捕えられた抵抗派の人々が次々と処刑されていく。

父親の処刑に怯える彼女の不安に観ているこちらも同化し、真相を知らない婚約者が彼女の父親の立場も知らずに行動するのがさらなる緊張感を生み出す。かくしてドキドキするうちに、ドンレヴィー以下の市民が一致協力して、ナチス協力者だったビール製造業者ジーン・ロックハートを犯人に仕立て上げる作戦を敢行、見事な成果を収める。

実を言うと、前回観た時の方が遥かに興奮した。その理由は二つありそうである。
 一つ。日本での最初の劇場公開版は136分の放映である完全版に対して16分短い短縮版で、重要な布石のない部分や説教臭い場面をカットすることで虚々実々の駆け引きに終始するスパイ・サスペンスとして純化を図られていた(と今となっては推測する)こと。たかが16分、されど16分で、これが8割方の理由と思う。
 もう一つは若かりし僕が社会に対し醒めてしまった今よりナチスの行動に対して義憤をぐっと強く感じたのではないか、ということである。
 戦中のアメリカで作られた作品であるから徹底した反ナチ・プロパガンダ映画になっていても、娯楽映画としてうまく作られている限り、構わない。しかし、この完全版は反ナチのドイツ劇作家ベルトルト・ブレヒトの書いた部分が色濃く出ている為に少々説教臭い嫌いが強く、特に教授が息子への遺言を口頭で娘に託す部分が顕著。或いは最初の鑑賞時にもあったのかもしれないが、長くなった分だけ説教臭くなったことは否めず、サスペンスとしては120分版がお薦め(今では観たくても観られないかもしれないが)。

基本となるお話は依然面白いと思うので、★☆は前回と同じ(に相当する採点)としておきましょう。

オバマ大統領来日。きな臭くなってきた日本と経済大国となった中国との間で悩めるアメリカといったところだろうか。

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「死刑執行人もまた死す」
第2次大戦中につくられた反ナチ映画ということに、大きな意義があるだろう。 ...続きを見る
或る日の出来事
2014/10/03 06:57

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
日本だけでなく世界中がきな臭くなってきた気がしますがね〜
先日、24日羽田空港のそばの道路を通ったらエアホース・ワンが・・・
政治には関係なく感激しました。
これが本物か!?でありました。
ねこのひげ
2014/04/27 08:14
ねこのひげさん、こんにちは。

>エアホース・ワン
映画ですっかりお馴染みになり、ニュースでこの言葉を聴いた時にやっとさせられました。

>きな臭く
ウクライナでアメリカがロシアと戦争することになったら、わが自衛隊も戦うことになるのでしょうか?
面倒くさいねえ。

嫌中憎韓の記事を載せると週刊誌が売れるというのもどういう現象ですかなあ。
オカピー
2014/04/27 16:41
やはり、その戦争まっただなかでの製作、ドイツから亡命した監督や脚本家の手によるもの、というのは、主張の重さのようなものがありますね。
ただ、やはり、長さは感じました。
ボー
URL
2014/10/03 07:04
ボーさん、こんにちは。

映画館で観た時は義憤にかられただけでなく、手に汗を握って相当面白く観たのですが、今回はそれほどでもなかった。
本文でも書いたように16分の差が大きかったようです。
オカピー
2014/10/03 21:04

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