プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画評「同胞」

<<   作成日時 : 2014/03/29 10:12   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1975年日本映画 監督・山田洋次
ネタバレあり

「同胞」と書いて“はらから”と読む。39年前この映画で憶えた。

1970年代「男はつらいよ」シリーズの合間に山田洋次監督は「家族」「故郷」といった地方の家族を描いた秀作を作っていた。
 本作も家族こそ直接のテーマではないが、若者が都会へ出て行ってしまう地方の迎えている現状を劇中劇との二重構造で描いて見せた。迫力で先の二作に及ばないものの、後年の傑作「息子」「東京家族」と関連付けられる作品であると思う。

高校の時に観て以来の再鑑賞。内容は大分忘れかけている。

日本中の地方を巡業している小劇団の交渉係・倍賞千恵子が、岩手県松尾村の青年会に頭を下げて公演させてもらえないかと談判しに訪れる。どちらかと言えば、地方の人々を啓蒙する内容なのであるが、公演に必要な最低資金65万円は田舎の青年会では荷が重い。
 集会を重ねて喧々囂々の討論の末に一枚千円のチケットを650枚以上売れば良いのだろうと、何を考えているかよく解らないような会長・寺尾聰が赤字は自分が補填すると英断する。学校を営利事業に使うのも問題になりかけるが、これも若者たちの思いが校長に通じて遂に公演に漕ぎ着ける。
 かくして始まった公演は成功裏に終わり、劇団と青年会に強い絆が生まれる。思いを寄せる女性(市毛良枝)が東京へ出た為落ち込んでいた寺尾は集会で交流の増えた朗らかな岡本茉莉と良い感じになりそうである。

この映画が作られてから約40年が経ち、そうでなくても疲弊している東北地方は震災と人災により大変なことになっている。この映画では東京の場面は殆ど出て来ないが、それでも劇団の本拠地は東京にあり、東京と地方との関係を強く打ち出している部分がある。東京の劇団員が地方のことを真剣に考えているところが、政治家より余程頼もしい。すると「男はつらいよ」も東京と地方との相互依存関係とを潜在的に描いたシリーズだったのだという思いに至る。

そこに加えて、一部本当の松尾村青年会と劇団を登場させドキュメンタリー要素を投入しているところが、当時の山田監督の意欲を感じさせる。このスタイルはこの後本格的に発展していくことはなかったが、共同監督作「京都太秦物語」に継承されていると思う。

かくして自主映画のような印象もあって、普段の山田監督に比べてテクニカルに目立つ部分が余りないとは言え、さすがにシーンの繋ぎが滑らかで絵は安定している。若者が本気で討論している部分など不思議と涙腺を熱くするものがあるのですなあ。

山田作品にたまに出てきた岡本茉莉が結構好きだった。アニメ「タイムボカン」シリーズの声で有名ですよね。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
山田洋次のすべて
  山田 洋次(1931年9月13日 &#8211; )は、日本の大阪府 豊中市出身の映画監督です。 映画「男はつらいよ」シリーズの監督として、日本一有名な映画監督かもしれませんね。管理人789jun的には黒澤明と並んで大好きな日本の監督トップ2の1人です。 作品の紹介をする前に、山田洋次 監督自身の紹介を少しだけしておきます♪ 大阪出身ではありますが、第二次世界大戦と父親の仕事の関係で、中国の大連や満州、日本の山口県など転々とした後、東京へ。大学は、なんと東大法学部を卒業しています! その後、... ...続きを見る
Re:play
2014/10/12 22:29

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ねこのひげは倍賞千恵子さんが好きでしたな〜(^^ゞ
ねこのひげ
2014/03/30 07:15
ねこのひげさん、こんにちは。

倍賞千恵子と高峰秀子は僕のアイドルですから、申すまでもないのであります。
寅さんの影に隠れていますが、さくらの存在感は凄かったな。
オカピー
2014/03/30 18:59

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
映画評「同胞」 プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる