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zoom RSS 映画評「菖蒲」

<<   作成日時 : 2014/02/27 10:37   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2009年ポーランド映画 監督アンジェイ・ワイダ
ネタバレあり

アンジェイ・ワイダが反戦映画の大作「カティンの森」(2007年)の後83歳の時に作った文芸映画の小品である。

当初は祖国ポーランドの作家ヤロスワフ・イヴァシュキェヴィッチの小説の単なる映画化にするところを、製作中にお馴染みの主演女優クリスティナ・ヤンダの夫で撮影監督のエドヴァルト・クウォシンスキーが亡くなったため、彼女の夫の死にまつわる告白と撮影ドキュメンタリーを加え、虚実の交錯する作品に変更したらしい。

根幹を成す「菖蒲」のお話は次のようなもの。
 重症の病気を病んでいる初老の主婦マルタ(クリスティナ・ヤンダ)が自覚のないまま、若い男性ボグシ(パーヴェウ・シャイダ)と親しくなる。彼は彼女が祝祭に使う菖蒲を取りに行った時に思いがけず溺れて死んでしまう。

このお話の中で既に三つの死が扱われている。一つはボグシの現実に起きた死、マルタの来るべき死、そして医師である夫との間に儲けた二人の息子がワルシャワ蜂起で死んでしまったこと。息子たちの死を巡って立場の相違を見る夫はその重篤な症状を妻に告げられない。画面は自ずと重苦しくなる。

ワイダは、このお話に、クウォシンスキーの死を妻であるクリスティナに語らせることで“死のお話”を多層的に描き、死んだ者へ鎮魂を捧げる映画とした。
 クリスティナの語りやその前の撮影部分は事実上のドキュメンタリーであるが、終盤撮影現場から取りつかれたようになって彼女が去る場面は疑似ドキュメンタリーである。つまり、この場面ではクリスティナが女優クリスティナ・ヤンダを演じているという面白さがある。かくして虚実が入り混じり、小品ながら、頗る迫力のある作品に仕上げられている。

若い頃のワイダとは随分違うなあと思っていたところ、マルタが見せる悲嘆の表情に初期の「地下水道」(1956年)や「灰とダイヤモンド」)1957年)を彷彿とするエネルギーを感じるものがあった。一般的な意味で面白いとは言いかねるが、欧州映画ファンなら必見と言うべし。

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コメント(2件)

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さすがはワイダという作品でありますな。

やっとこさ新しいパソコンに慣れてきましたが、まだわからないところが多々あります。
困ったものです。
ねこのひげ
2014/02/27 16:29
ねこのひげさん、こんにちは。

本文に書いたように全体としては昔のワイダとは違うなあという感じですけど、意気軒昂ですね。

>新しいパソコン
僕もとまどいましたよ。
気に入らない点も幾つかありますね。

大雪で家が破損した(鉄板屋根が凹み、その為天井が垂れ下がった)のには参りました。
業者と交渉中ですが、大手ですから小回りがきかない。木造住宅ならどこの業者にでも頼めるのですがねえ。
補助金が出るにしても(現在検討中とのこと)地元の業者を使わないと出ないという噂もあります。
オカピー
2014/02/27 18:13

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