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zoom RSS 映画評「アルバート氏の人生」

<<   作成日時 : 2014/02/02 14:03   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2011年イギリス=アイルランド=フランス=アメリカ合作映画 監督ロドリゴ・ガルシア
ネタバレあり

前作「愛する人」で一皮剥けたなあと感心したロドリゴ・ガルシアとしては些かがっかりという作品。日本での世評が割合良いのは、恐らく、この監督に感じられることの多い匠気が見えず、わび・さびの精神がしみ込んでいる日本人の共感を呼ぶほどに素朴に作られているからだと思う。

19世紀(の恐らく後半)のアイルランド、下層階級の女性が単独で食べて行ける世の中でなかった為天涯孤独のアルバート・ノッブス(グレン・クロース)は14歳の時から男性を装って就職、現在のホテルに雇われて相当の月日が経っている。ある時塗装工ヒューバート・ペイジ(ジャネット・マクティア)をホテルの自室に泊めることになり、女性であることが知られてしまう。しかし彼は口外しないという約束を頑なに守る。彼自身も女性だったからである。
 という発端はなかなか快調、少なくとも珍しい素材に興味をかられる展開になっている。

ところが、ペイジ氏が女性と結婚していることを知った影響で、ノッブス氏はこつこつ貯めたお金で店を開く計画を共有できる女性を求め、若いメイドのヘレン(ミア・ワシコウスカ)をその相手に選ぶ。
 というところからお話自体が破綻してくる。というのも、ノッブス氏は女性であるから、結婚相手に女性を選ぶ必然性が全くないのである。劇中女性が店を持つこと自体は禁じられていないと説明されていることを鑑みれば、店を始めてからしっかりした男性を選べば良い。これが欧米で同性愛がある程度認められている現在ならどうとでもなるものの、同性愛は投獄は必至、下手をすれば死刑という時代に、仮にノッブス氏が同性が好きであるとしても、かなり無理な展開としか思えないのである。

しかし、ヘレンがアメリカに去った男との間に儲けた子供をアルバートと名付け、その子についてペイジが「男の子で良かった」と言う台詞はぐっと胸に迫る。男性でなければ生きていけない時代の気分を良く出していた。

話題性とすれば、本作の企画を長年温めてきたという主演のグレン・クロースの男性ぶりということになるが、中年男性には見えない。その点は大柄なジャネット・マクティアのほうが圧倒している。しかし、小柄な高齢な老人にはああいう中性的な男性がいないでもない。いずれにせよ、ペイジ氏とノッブス氏の生き方の差が現れているという見方もできるから、どちらが好演とか男っぽいという言うのは一応避けておきましょう。

ポール・マッカートニー(ウィングス名義)に「愛しのヘレン」という曲がありましたね。そう言えば、「アンクル・アルバート」という曲も。

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アルバート氏の人生
おじいさん、にしか見えなかったグレン・クローズ入魂の作品。 今年もオスカー賞発表目前でございますが、ちょうど1年前 ノミネートされた中にいらしてチンマリと席に お座り ... ...続きを見る
映画と暮らす、日々に暮らす。
2014/02/02 16:37
アルバート氏の人生 ★★★.5
男として生きた女性が孤独の果てに見つける希望。監督はグレン・クローズと3度目のタッグとなるロドリコ・ガルシア。孤独な主人公の複雑な心情をすくいとり、女性映画の名手として手腕を発揮している。共演にはミア・ワシコウスカ、アーロン・ジョンソン、ジェネット・マ... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2014/02/03 20:46

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
主演のグレン・クロースか監督がポールのフアンなんですかね?
たまたまかな?

ある意味ヨーロッパのほうが日本より封建的だったのかも・・・・いまだに宗教に縛られている人が70%以上いるとか・・・日本では逆に70%以上が信じていないそうですが・・・
ねこのひげ
2014/02/02 18:28
ねこのひげさん、こんにちは。

>ポールのファン
原作もあることですし、たまたまでしょうね。

>封建的
欧米で教師と両親を尊敬する率が80%ずつくらい、日本では30%未満だったと思います。
安岡章太郎氏がおっしゃっていたように、日本人は節操がない民族で、戦後180度変わって何とも思っていない方が殆ど。
それが90年代のバブル崩壊で大人からモラルハザードが起こり、経済に恵まれない若者がイライラして中国や韓国憎しでストレスを発散し、その流れに乗っているのが安倍首相だろうと思います。
現在日本の危機だと思いますが、小泉元首相が都知事に立候補すれば確実に当選して日本は変わって面白かったのに。同じ自民党でも彼は日本を戦前に戻そうなんて考えは毛頭ないですからね。
結局原発反対派の票が分れて舛添さんが勝ちそう。舛添さんの政治力は解りませんが、彼では安倍さんの考えを変えるところまでは行けない気がしますなあ。
オカピー
2014/02/02 21:30

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