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zoom RSS 映画評「BUNGO〜ささやかな欲望〜 告白する紳士たち」

<<   作成日時 : 2014/02/12 11:34   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2012年日本映画 監督・関根光才、山下敦弘、谷口正晃
ネタバレあり

文芸オムニバス映画二部作の【紳士編】。尤も昨日の【淑女編】も二つは男性の目を通した女性の物語であると言えるので、実質的に大した差はない。こちらは“告白”に重きが置かれ、モチーフに一貫性があり、トータルとしてぐっと見やすい。

岡本かの子の「鮨」を関根光才が映画化した第一作は、「金魚繚乱」という名短編のある彼女らしく金魚鉢のショットから始まる。
 寿司屋の看板娘・橋本愛が、常連の作家リリー・フランキーに関心を持つうち、少年時代に潔癖症の為に殆ど食するものがなかった彼が母が作ってくれた鮨を食べたことにより偏食を克服した話を打ち明けられる。しかし、この後特にこの店がお気に入りというわけではなかった作家は引っ越したらしくやって来なくなる。
 岡本かの子らしい気の利いた小話と言うべし。映画としてはカット割りがなかなか繊細で、初めて見る監督ながら悪くない。

第二作は坂口安吾の「握った手」を山下敦弘が映画化。
 映画館で知り合った女性と付き合うようになった大学生・山田孝之が相手の女性が手を握り返したのは彼女の自分への好意故か女性の一般的行動なのか知ろうと、同学で心理学を勉強する美人学生・成海璃子の手を思い切り握る。あわよくば好意を持っている彼女から教えを乞うつもりでもあるが、結局二人の思いはすれ違ってそのまま会うこともなく終わる。
 これは原作を知らずとも坂口安吾を知っている人なら誠に彼らしいお話と思われるに違いない。原作のムードがよく想像できるという意味で、全六作中一番原作に近いと言えるのではないか。

続く第三作は林芙美子の「幸福の行方」。”足るを知る”人々の幸福なことよ。
 昭和14年、妙齢の波留が戦闘中に片目を失った職工・三浦貴大と見合いの末に結婚する。が、夫となった彼からある時自分には駆け落ちされた前妻との間にでき里子に出した子供がいると告げられる。すると、彼女は自分は行商の両親に捨てられた以来笑ったことがなかったのだと告白、「また会いに来る」と夫が言って別れた子供に二人して会いに列車に乗る。列車には街で見かけた子連れの行商夫婦が目をつぶって坐っている。彼女はそれを見て自分もあのような以心伝心の夫婦になりたいと願う。
 原作をざっと流し読みしてみたが、映画として調子が整うように、例えば夫が事務員から職工へ、ヒロインの両親の職業が目の前にいる夫婦と同じであるといった具合に、大分改変されている。原作がかなりさっぱりして行間と余韻で読ませる作風であるのに対し、この映画版は相当コクやストレートな温かみがある。行商夫婦の扱いなど脚色をしたベテラン鎌田敏夫らしい庶民風俗趣味が色々と垣間見える。監督はこれも初めての谷口正晃。

【女性編】より統一感があり、小説らしさが感じられて、上位に置きたい。

コミックの映画化が人気だけど、文学それも新作に限らずまだまだネタがあるのがよく解りますデス。

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3編の物語が入ったオムニバス。 ...続きを見る
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