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zoom RSS 映画評「BUNGO〜ささやかな欲望〜 見つめられる淑女たち」

<<   作成日時 : 2014/02/11 10:33   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2012年日本映画 監督・冨永昌敬、西海謙一郎、熊切和嘉
ネタバレあり

日本では「海炭市叙景」など連作短編集の再構築ドラマが流行気味だが、本作はコンピレーション短編集映画版の趣の純オムニバス映画である。現に本作製作・配給の角川書店は、本作と二部作を構成する「告白する紳士たち」に収められた計6作の原作プラスαを収めた「BUNGO」という短編集を出版している。

第一話は宮沢賢治の有名な童話「注文の多い料理店」で、“見つめられる淑女たち”というテーマに沿って怖い目に遭わされる二人が男二人から不倫カップルに変えられ、基幹となるお話は同じなのに、互いに別れたいと思っているらしい二人即ちある会社の婿養子の専務・宮迫博之と不倫相手の部下・石原ひとみが何とか相手に「別れる」と言わしめようとあくせくする物語に仕立てられている。
 全くピンと来ず、少なくとも宮沢賢治は天国で吃驚しているだろう。背景はベトナムの枯葉剤の話が出てくるので1960年代後半と思われる。監督は冨永昌敬。

第二話は三浦哲郎の「乳房」。西海謙一郎の監督で、三話の中で全体の調子が一番整っている感はある。タイトルは辛うじて知っているものの未読。
 舞台は戦時中。思春期の少年・影山樹生弥君は胸が大きくなりこのまま女になってしまうのではないかと心配しているが、出征して夫のいなくなった床屋を一人で切り盛りしている夫人・水崎綾女に触れられることで心配が雲散霧消する。
 原作のテーマは戦争が引き起こす少年の不安ではないかと想像されるが、映画は“みつめられる淑女”というテーマに沿って思春期らしい懊悩を解決してやる女性が目立つような工夫を施している。水崎綾女には艶っぽい色気がある。

「海炭市叙景」の熊切和嘉が担当した第三話は文豪中の文豪・永井荷風の「人妻」。荷風は初期の短編集「あめりか物語」「ふらんす物語」や一連の花柳小説を大体読んでいるが、この短編は題名すら知らなかった。
 昭和22年、若い夫婦の家に間借りを始めた内気な青年・大西信満が若妻・谷村美月の無防備で奔放な行動に煩悩を掻き立てられるが、行動に移せない。主人公の建前と本音が眼鏡をかけた本人と心の声の具現化した本人が会話をする形で進行する。
 原作はともかく、映画版は荷風より谷崎純一郎的耽美と言っても良いくらいだが、それ以上に夏目漱石が耽美をテーマに小説を書くとこんな感じになるのではないかという気がする。
 お話としては割合好きな部類に入るものの、主人公の二重写しがどうもあざとくて余り楽しめない。谷村美月のおっとりしたムードを伴う色気はなかなか良い。

古典文学好きとしては嬉しい試みだね。

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