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zoom RSS 映画評「推理作家ポー 最期の5日間」

<<   作成日時 : 2013/12/28 10:17   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2012年アメリカ=ハンガリー=スペイン合作映画 監督ジェームズ・マクティーグ
ネタバレあり

エドガー・アラン・ポーが瀕死の状態で発見される前五日間の行動がよく解らない為その五日間に起きたことを想像をたくましくして虚実織り交ぜて作り上げた猟奇(本来の意味は変わったものを集めることであり、直接的には残虐性と関係ない)ミステリー。その意味ではアガサ・クリスティーの謎の失踪事件をモチーフにした「アガサ 愛の失踪事件」(1979年)と好一対と言える。
 ポーが本業以外の分野で活躍するという発想は先日の「リンカーン/秘密の書」に通ずるところもあるが、こちらは推理作家の元祖であるから説得力は遥かに高い。あるいは、シェークスピアが実経験を元に「十二夜」を書いたという風に解釈できるように構成された傑作「恋に落ちたシェークスピア」と重なる部分もある。

1849年、代表作「モルグ街の殺人」をもじった殺人事件が起き、さらに「陥穽と振り子」をもじった殺人と続いた為、ポー(ジョン・キューザック)が恋する娘エミリー(アリス・イヴ)の父親(ブレンダン・グリースン)が計画しているパーティーで「赤死病の仮面」をもじった事件が再現されるだろうとポーと彼を当初疑ったフィールズ刑事(ルーク・エヴァンズ)が推測、客に紛れて官憲多数を配置させるが、見事にエミリーが誘拐され、熱烈なポー・ファンらしい犯人から彼女を居場所を掴む為に新しい小説を書けと脅迫文が届く。
 以降、犯人が小出しにするヒントを元にアリスがどこにいるか推理を巡らしながら新聞に小説を連載し、犯人との駆け引きにより確実に居場所に近づいていくのだが、容易に目的は達成できない。

ポーの代表的な小説は大体読んでいる(映画界で大人気の「告げ口心臓」は読んでいない)僕のような観客にはそれをもじった展開によりある程度楽しめると同時に、もう少し楽しめるお話に仕立てられたのではないかと潜在的可能性との比較において物足りないものを覚えるという不利な面も内包して損をしているかもしれない。
 犯人がいつあのような大掛かりな仕掛けをし殺人を実行したかといったミステリーとしての詰めに甘いところが多い。変則的な大団円と言うべき幕切れも処理が悪く、ポー最後の言葉とされる「レイノルズ」を知っていようといまいと、ぴんと来ない。もうちょっとうまくやってくれないと不満が残る。

ぼけーっとしているイメージのあるキューザックとしては謎めいたポーにかなり近づけたのではないかと僕には好印象。

原題はポーの有名な詩「大鴉(おおがらす)」より。邦題の「最期」は常識的には「最後」のほうがふさわしい。最近「最期」を使う傾向があり、変な流行に苦笑しているところ。対象が人間でもないのにこちらを使った「4:44 地球最期の日」なんてのもある。こちらは寧ろ感じが出ていましたがね。

クリント・イーストウッドの監督デビュー作「恐怖のメロディ」にも「アナベル・リー」が使われたようにポーは大人気。生前このくらい人気があればもっと長生きできたかもねえ。

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推理作家ポー 最期の5日間/ジョン・キューザック
日本のミステリー大作家・江戸川乱歩さんのペンネームの由来としても有名な世界初の推理作家エドガー・アラン・ポーの最期のの日々を描くサスペンス・スリラー作品です。エドガー ... ...続きを見る
カノンな日々
2013/12/28 10:35
推理作家ポー 最期の5日間★★★★
「モルグ街の殺人」「黒猫」など数々の推理小説で著名な作家エドガー・アラン・ポーの最期の日々を大胆な発想で描いたサスペンス・スリラー。ポーの著作を模倣した連続殺人事件が起きたことで、事件解明のために彼自身が捜査に加わり殺人鬼を追い詰めていく。主人公ポーに... ...続きを見る
パピとママ映画のblog
2013/12/28 16:55
「推理作家ポー 最期の5日間」
ポー、好きです。私がボーだから…ってことではないですよ。 ...続きを見る
或る日の出来事
2013/12/28 22:45

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
生前に人気があると死後に無名になってしまう人も多いですがね・・・(^_^.)
ポー全集を持っております。

実在の人物を扱う作品はあまり好きではありませんが、まあ面白かったです。
むかし、5日間の間に異次元の穴から月に行っていたというとんでもない小説もありました。
ねこのひげ
2013/12/28 10:33
ねこのひげさん、こんにちは。

ポーの時代には著作権もあやふやでしたから人気でも著作権では食えなかったかもしれませんが、原稿料は全然違ったでしょうね。
著作権を長くすると金銭的に子孫にプラスになる作家もある一方、大半の作家は長い著作権により逆にデッドストックになってしまう。
一部漫画家は著作権延長を希望していますが、現在の死後50年(日本、海外では70年)でも長すぎる。人気のない作家は名前が消えてしまう。仰るように生前人気があっても消える人がいるのですからね。
著作権が長くなったのはディズニーのせいと言われていますね。TPPで影響があるか?

>ポー全集
kindleで英語版を揃え始めました。1円もかけずに揃える予定。
オカピー
2013/12/28 22:02
本作、先日WOWOWオンデマンドで観ました。
私はポーの作品を読んだことはないので
振り子の殺人は「ソウ」を思いだしてしまい…(笑)

オカピーさんの足許にも及ばぬレビューですが
下記の2つにてしていますのでもしよろしければ
ご笑覧くださいませ。

*WOWOW(ニックネームmis@)=http://www.wowow.co.jp/pg_info/detail/103870/index.php?m=01

*T-SITE(同・小枝)=http://my.tsite.jp/MyTana/SakuhinDetail/1/10354870
小枝
2014/01/11 15:39
小枝さん、こんにちは。

>「ソウ」
恐らく、「ソウ」が拝借したのではないでしょうか?
その昔「陥穽と振り子」は1960年代半ば邦題「恐怖の振子」として日本でも見られましたよ。僕はTVでしたけどね。

ポーの小説は短編ばかりですから、代表作だけならあっという間に読めてしまいますよ。

>レビュー
少し意見が分かれておりますね(笑)
当方、ジョン・キューザックは割合良いと思ったのですが、キューザックとルーク・エヴァンズの役を交換したらというご意見には同意です。
面白かったけど、もっとポーの小説をもっと多面的に利用すればもっと面白くなったであろうと採点はそれほど良くしませんでした。
オカピー
2014/01/11 21:06

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