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zoom RSS 映画評「みなさん、さようなら」

<<   作成日時 : 2013/12/16 17:55   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2012年日本映画 監督・中村義洋
ネタバレあり

アンソニー・マンとジェームズ・スチュワートのような関係の中村義洋監督と濱田岳主演のコンビ第5作。

12歳の時悟(濱田)は団地で過す生活を選び、中学にも行かないまま卒業するが、確かに彼の言うように恋の真似事くらいはできて婚約までするし、団地内の洋菓子店に就職も出来る。13歳の時から大山倍達の極真空手を習い、日夜同級生の動静をチェックし続ける。しかし、そんな彼に付いていける女性はいないし、徐々に団地から同級生たちは去り続け、時代の流れと共に団地自体もさびれ続ける。

ちょうど半分に至ったところで、映画は種明かしを始める。少年は単なる風変わりな少年ではなかった・・・。
 1990年代に台頭し2000年代大量に作られた“ミステリー化されたドラマ”作品。人はそれなりのお話でも話術の細工により感動が増すのは間違いないし、物語のパターンは限られている以上、こうした傾向はやむを得ないのであるが、僕は余程上手いアイデアでない限り基本となる物語の完成度に重点を置いて評価することにしている。本作の場合時系列に沿って作られていたらこのくらいの星であろうということだ。この構成により確かに「なるほど」と思わせるところはあり、物語の訴求力を高めていることは認められ、それ自体は悪いことではない。

一言で言えば、小学校6年生の時に受けたトラウマを悟が克服するまでの18年を描く成長記録であり、そこに団地の衰退記を併せて描いたところに面白さがある。
 それ以上に、団地は実際にここまでの独立的なコミュニティーになっているものなのか・・・と持ち家かアパートでしか暮らしたことのない僕はカルチャーショックを受けたし、実際であっても寓話的なものであっても一番興味深い部分である。
 そして、小学校の生徒は全員この団地から通っている。これはいかに何でも実際に即しているのではなく、団地というコミュニティーの象徴的・寓意的な扱いなのだろうと推測するが、団地に詳しい皆様、この辺りはどうですか? 

彼が守ろうとした同級生は、しかし、年を経るごとに減り、隣部屋に住む有里(波留)も婚約までした早紀(倉科カナ)も消えていく。引き継いだ洋菓子店で保健衛生を担当していた(永山絢斗)も精神をおかしくして後にする。そして、最後の一人になった彼が18年ぶりに団地を出るのは母(大塚寧々)が脳梗塞で倒れた時であり、日記に母親の愛情を見出した彼は遂に現実社会と向き合うべく本当に団地を去るのである。

濱田君は小柄で童顔であってもさすがにローティーンは苦しいが、とぼけた雰囲気を持っている彼によく合った役柄と感心させられる。本作は、彼の起用で面白くなったと言っても良いくらい。

原作は久保寺健彦の同名小説。

10年前に確か「たそがれ清兵衛」と争ってアカデミー外国語映画賞を受賞した、全く同じ邦題のカナダ映画があった。紛らわしいな。

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みなさん、さようなら(2013)
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2013/12/16 20:47

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
英語のタイトルにしてやれば面白かったかも・・・・(^^ゞ
気が付かなかったのか?わかってやったのか?
ねこのひげ
2013/12/22 08:33
ねこのひげさん、こんにちは。

これは小学校で授業を終える時「先生さようなら、皆さんさようなら」から来ているんですね。
だから、仕方がない面があるものの、後年困ることがあるんです。
尤も、洋画と邦画の違いがあるから混乱は少ないと思いますが。
最近一番困ったのは邦画の「大奥」ですね、2年くらいの間に同じ題名の作品が作られた。
十年後話す時には出演者の名前を出さないと、話し手と聞き手が違う映画を考えているなんてこともあり得ます^^;
オカピー
2013/12/22 15:32

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