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zoom RSS 映画評「ジャッカルの日」

<<   作成日時 : 2013/12/01 10:44   >>

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☆☆☆☆☆(10点/10点満点中)
1973年イギリス=フランス合作映画 監督フレッド・ジンネマン
ネタバレあり

ミドルティーンの時映画館で初めて観た時つまらなくはなかったが、世評ほど面白いとは感じなかった。「007」のような劇画的な面白さかロマン溢れるお話くらいしかまだ理解できない年齢だから無理もない。が、二十歳の頃観返した時「なるほどこれは凄い」と思ったのだった。

1963年フランス、前年ドゴール大統領暗殺に失敗してオーストリアに逃げたOAS(秘密軍事組織)が同国人ではダメと、英国人の暗殺者・自称ジャッカル(エドワード・フォックス)を選ぶ。
 以降、ジャッカルが偽の身分証明書の数々や変装用道具、特殊な銃器を準備して徐々にターゲットに接近していく様子と、暗殺者探しを命じられた副総監(ミシェル・ロンズデール)が外国の警察特に英国の警察と連携を取って徐々に接近していく様子が並行して描かれる。

アルジェリアでの戦争に奮闘したOASがアルジェリアを独立させた軍人出身のドゴールを裏切り者として暗殺しようとしていたのは事実で、1962年の暗殺失敗は勿論実際にあった話である。ジャッカルのお話は創作であるが、原作を書いたフレデリック・フォーサイスは表面化していない暗殺計画などをかなり手にしていたのではないか。というのもジャッカルの計画が微に入り細を穿って余りに見事だからである。

彼を捜し追いつめようとするフランス警察側の動きもジャッカルの計画遂行と相まって抜群に面白く、フレッド・ジンネマンの即実的な描写を以って物凄い緊張感が醸成・維持される。彼の手法では観客は一般的な意味でジャッカルに感情移入はしない。しかし、彼の冷静沈着な行動には思わず引き込まれる。
 かくして、捜査陣との目に見えない対決の末にどういう結果が訪れるかドキドキしながら見届けることになる。終盤、大統領のパレードを見ようと集まった群衆でにぎわう街路での、映画史上でも殆ど例のない超弩級の臨場感と緊張感。観客の大半はドゴールが暗殺されなかった事実を知っていて結末は解りきっていながら、事象を積み重ねる手法を以って高級なゲーム感覚映画に昇華し、手に汗を握らされるのである。

そこで一言。
 サスペンスではゲーム感覚は非常に大事だと思っているから、映画ブログを訪れ「内容は深くないが面白い」といった表現にぶつかると、がっかりする。全ての映画が小難しいテーマや考えさせる内容を含む必要はないのであり、面白いだけが悪いことのように思うには及ばない。文学に関しては面倒臭い純文学を読むことの方が圧倒的に多い僕ではあるが、大衆小説や大衆映画を楽しむことに劣等感を感じるのは馬鹿げたことだ。

エリック・ロスの脚色も秀逸。確か彼は後年テロ映画の傑作「ブラック・サンデー」にも参加している。

舞台を動かしたリメイクの「ジャッカル」・・・全然ダメでしたな。

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ジャッカルの日
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映画と暮らす、日々に暮らす。
2013/12/01 16:12
独断的映画感想文:ジャッカルの日
日記:2005年5月某日 映画「ジャッカルの日」を見る. 1973年.監督:フレッド・ジンネマン. エドワード・フォックス,ミシェル・ロンズデール. 緊張感あふれる傑作.殺し屋ジャッカルと警視ルベール ...続きを見る
なんか飲みたい
2013/12/03 22:01

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
「ジャッカルの日ライフル」といって、モデルガンマニアの間では、アタッシェケースの中に分解した映画と同仕様の手作りライフルを入れて崇めているようですね(笑
)
ぼくも、プロフェッサーと同時期に、ニキビ面を提げて見に行ったと思います。
国際情勢とか、ヨーロッパの歴史にもある程度理解する能力があって、初めておもしろさがわかるのですね!
まさに、プロフェッサーの言う”高級なゲーム感覚”なのでしょう。

少年のぼくがこの作品を見た映画館は、前橋駅前の文映かオリオン座でしょう。地元で洋画を上映するのはこの二館しかありませんでしたから・・。
文映の方は、地権者が映画館の下に温泉が出るのが分かって,早く立ち退きさせたためですが、もともと”入り”は良くなかったような・・。
浅野佑都
2013/12/01 14:50
私は今でもエドワード・フォックスを見かけると「あ、ジャッカルが出てる!」と思ってしまいます。はじめて見たのはテレビででしたが、ほんとにおもしろかった。現実味があるおもしろさでした。あの、フランス人が最初に挨拶のキスをほっぺにするのね、ジャッカルはあれでしくじりますけれども、ということは、少なくともフランス人ではなかったのでしょうね。
nessko
URL
2013/12/01 15:53
浅野佑都さん、こんにちは。

>「ジャッカルの日ライフル」
仕込杖タイプで面白かったですよね。

>同時期
やや、同世代ですか!?
まさか前橋高校出身ではないですよね(笑)
僕はライバルの高崎高校出身だから、前高(まえたか)なら定期戦でお会いしているかも。

>オリオン座
そう言えば前橋にもオリオン座がありましたっけ。
僕は高崎のオリオン座で本作を見ました。二館制でシネマ2というのがありまして、こちらは少々地味な洋画が多かった記憶があります。
同じアーケード街にあった東宝もたまに洋画をやっていたような気がします。
ピカデリーというのもあって僕らの高校時代は成人映画専門だったかな。高校時代に文化祭か何かの関係で街に繰り出した時にピカデリーの前でわいわいやった記憶があります。懐かしいな。
ローカルな話題が続きましたね(笑)

>“高級なゲーム感覚”
この表現が妥当かは解りませんけどね。
素晴らしい映画でした。
オカピー
2013/12/01 21:18
nesskoさん、こんにちは。

>エドワード・フォックス
この当時弟のジェームズ・フォックスが牧師か何かをやる為に休業していた時で、確か初めての主役作でしたね。
結局この作品以外に主演としての活躍がなかったように記憶します。
その後ジェームズが復帰します。
弟が現役なら配役されたでしょうか? しかし、似ていてもこの役は兄で正解だったなあと思います。

>挨拶のキス
用意周到の彼がこれは計算に入れてなかったんですねえ。
彼も人間でした。
オカピー
2013/12/01 21:26
この映画は、地味にジワジワと暗殺に向かっていく過程が面白かったですね。
ジャッカルの正体もわからずじまいというのがよかった。
フォーサイスは、元ジャーナリストでかなりこういう情報を収集していたようで、後の小説もリアル感があってよかったですね。

リメイクは派手にした分失敗でしたね。

CGの多用は見直されてきているようで・・・・『ワールドスピード』の最新作は、CGではなく実際にやっていることを強調した予告CMを流していますね。
ねこのひげ
2013/12/03 03:01
ねこのひげさん、こんにちは。

>ジャッカルの正体
警察がそうだと思い込んだ人とは全く別人だったというのが面白い。

>後の小説
幾つか映画化されていますよね。
「オデッサ・ファイル」とか「戦争の犬たち」とか。

>リメイク
ニューシネマ時代を別にすると、アメリカ映画は大袈裟、華美、派手になるんですね。

>『ワールドスピード』
それは良いことだと思います。
しかし、ポール・ウォーカーが映画を地で行って(本人の運転ではなかったようですが)交通事故死してしまったのにはびっくり。
オカピー
2013/12/03 21:39

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