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zoom RSS 映画評「チキンとプラム〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜」

<<   作成日時 : 2013/11/17 10:52   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2011年フランス=ドイツ=ベルギー合作映画 監督マルジャン・サトラピ、ヴァンサン・パロノー
ネタバレあり

絵が大変素晴らしかったアニメ「ペルセポリス」を作ったイラン出身の女性コミック(グラフィック・ノヴェル)作者マルジャン・サトラピが前述作同様ヴァンサン・パラノーと共同で作り上げた実写映画である。

1958年のテヘラン、細君マリア・ディ・メデイロスに大事なヴァイオリンを壊されて絶望したヴァイオリン奏者マチュー・アマルリックが自然死的な自殺を決意、死ぬまでの八日間にその脳裏に人生の思い出が去来する。

確かにヴァイオリンは奏者にとって大事であろうが、自殺するまでのことだろうか・・・ということが謎として解明されるまでのお話で、彼がヴァイオリストとして名を成した背景に相手の父親に邪魔されて結婚できなかった悲恋があった、というのが種明かし。
 彼は師匠のほのめかしたように失恋することでそのヴァイオリンで“ため息を捉える”ことに成功、音楽の精髄を極めたのである。彼にとってそのヴァイオリンを失くすことは忘れないと誓った初恋そのものを失うことになるわけで、死にたくなる気持ちも大いに解る。優しくない妻は途中まで悪党扱いだが、終盤、彼女の少女時代から夫を思う気持ちが明らかにされ、こちらにも大いに切なくなるものがある。
 イランならではの事情が伺える部分を多分に含みながら、風俗を含めて極力イラン色を排した印象があり、普遍的な人間ドラマとして鮮やかに結実していると思う。

主人公の知らないはずの子供たちの未来も回想に織り込まれる。自殺したい主人公の前に現れる死神アズラエルが語り手である(即ち主人公の回想ではない)という人を食った設定を有効に使ったシニカルなユーモア精神の発露と言うべきだろう。

本作で語られる死神のエピソードは、別の映画でも聞いたことがある。しかし、情けないことに題名が思い出せない。イスラム圏では有名なお話なんじゃろね。

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コメント(2件)

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名機ストラティヴァリウスでなければ弾けないということもあるそうでありますけどね。
弘法も筆を選ぶというところでありましょうか。
このヴァイオリンでなければ!という想いでありましょうね。
凡人は値段で驚きますが、その音色の卓越性が多くの演奏家を魅了しているわけで。
ねこのひげ
2013/11/24 11:49
ねこのひげさん、こんにちは。

この音楽家の場合は、折角手に入れたストラティヴァリウスでも、壊された前のヴァイオリン(何かは解りません)には敵わなかったわけですねえ。
TVで素人相手に安いのとストラティヴァリウスを比較させて当てさせる番組がありましたが、外れる人のほうが多かったです。
僕は、所詮は素人ということに気付いて、オーディオに金をかけるのをやめました。
オカピー
2013/11/24 21:13

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