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zoom RSS 映画評「人生の特等席」

<<   作成日時 : 2013/10/27 11:05   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2012年アメリカ映画 監督ロバート・ロレンツ
ネタバレあり

最近は出演より監督に力を入れているクリント・イーストウッドが監督はせずに出演に専念(共同製作はしている)した最新作。野球が素材と洩れ聞き、野球ファンでもあるので、食指を大いに動かされた。

名門アトランタ・ブレーヴズの老スカウト、イーストウッドは、周囲からパソコンも使わない時代遅れの頑固親父と引退勧告される中、実際視力も衰えているのに気付くが、大物高校生バッター(役名ボー・ジェントリー)の能力を探りにリーグ戦に足を運ぶ。同僚のジョン・グッドマンは彼の衰えに気付いて、都会で弁護士をしている不仲の娘エイミー・アダムズと連絡を取る。
 娘は共同経営者の声が掛かるのではないかという重大時期なのでしぶしぶ顔を見せても父親は相変わらずの頑固一徹でしっくりと来ない。それでもモーテルを拠点に一緒に付き合ううちに、彼女はボストン・レッドソックスの若いスカウト、ジャスティン・ティンバーレイクと親しくなる。彼はイーストウッドにスカウトされた元剛腕投手で、中継ぎで酷使された為に肩を壊してスカウトになったのだ。
 老父の眼の代りを務めるエイミーは父親の耳が察知したように、プーホルスの再来と噂れる強打者がカーブに極端に弱いことを見抜く。これを信じたティンバーレイクは他の選手を1位に推したのに、ブレーブスが同選手を選んだことから二人を誤解して恨む。が、エイミーはモーテル管理人の息子で野球場でピーナッツを売っている少年が物凄い球を投げるのに気付き、トライアウトの形でブレーヴズ首脳陣に実力を披露することにする。その相手はかの“プーホルス”。これが全然打てない。GMは彼を推したデータ・オンリーの若いスカウト、マシュー・リラードに首を言い渡し、イーストウッドに契約延長を申し出る。勿論エイミーは父親との確執を解く。

絵に描いたようなハッピーエンドで、悪役組と主役側の扱いが漫画的なまでに対照的なのには苦笑が洩れないでもないが、鬱屈するような作品が多い中、フランク・キャプラかレオ・マッケリーを思い出させるような、クラシックな作風にはホッとさせられるものがある。家族再生テーマの中に、冷たいデジタルではなくアナログ的な人生に対する賛美、ヒューマニズム万歳の気分を盛り込んだ作品でもありましょう。

実際はこの親娘に確執などなかった。親父が自分の心情を伝えるのが苦手である為に娘が勝手に誤解していただけだ。現に車には娘の写真が飾られている。微笑ましいではないか。そもそも似た者親娘だから、正に近親憎悪の典型のような気がする。ティンバーレイクの言う「声が似ている」は作者の何気ないほのめかしである。

野球の場面に関しては少々不満がある。高校の強打者を見せる場面では、こちらもスカウトのつもりで見ているのに、寄り(クロース)と引き(ロング)の扱い、ショットの長さが不適当でその気分を満足させてくれない。純粋な野球映画とは言えないながら少々がっかり。

因みに、アメリカでは“カーブ”と言わず通常“ブレイキング・ボール”と言うが、人生の“カーブ”との兼ね合いだろうか、本作では“ブレイキング・ボール”より“カーブ”を多用している。翻訳者は"breaking ball"を“変化球”と訳していた(確かにそう載っている辞書もある)が、理解の上では全く支障はないものの、変化球にも多種あるのでやはり“カーブ”と訳して貰いたかった。

日本でも三日前にドラフト会議があったばかり。注目の桐光学園・松井君は楽天に決まりましたね。第三の松井になれますか。

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
クリント・イーストウッドの作品は、どうにも暗いのが多いので、たまには絵に描いたようなハッピーエンド物もよいですな〜
プロになってからも大変ですけどね。
ねこのひげ
2013/10/28 01:20
ねこのひげさん、こんにちは。

>暗いのが多い
監督作は余計にそうですね。
本作も一応依頼はされたようですけど、旧作で製作をしてきたロレンツに譲ったそうです。
本音は、自分の監督をするタイプの作品ではないということだったのでしょう。

>プロ
今日の東京新聞にも、5年前のドラフト1位で今年活躍できたのは僅か二人というコラムがありました。
プロに入れるのは天才中の天才なんですけど、それでも対する相手も天才ですからねえ、大変です。
オカピー
2013/10/28 21:12
クリントイーストウッド、昔から大好きなのでとても興味があります★
子供の視力回復トレーニング挑戦中
URL
2013/11/01 22:33
"クリ爺(→クリントイーストウッド)と アダ美(→エイミーアダムス) 父娘の 才能発掘作業伝説"

オカピーさん、こんばんは。DVDで見ました。さすが クリ爺!偏屈じじいを演じさせたら右に出る者はいないわ

目がボヤけてるのに 気合が空回りのクリ爺 自宅のガレージに車のかどぶつけるわ スカウト先で交通事故起こすわ 家のテーブルに足をぶつけるわ  料理は黒コゲだわ・・・

これじゃあ スカウトどころか 普段の一人暮らしの生活すらムリなんですが・・・

>なのでしぶしぶ顔を見せても父親は相変わらずの頑固一徹でしっくりと来ない
クリ爺の心配して 娘のアダ美が 呼ばれてないのに ジャジャジャジャァ〜ン!!!

 まるで 危機一髪のトコで タイミングよく出てくる 戦隊モノのヒーロー(じゃねえわ ヒロイン)のような 都合のよさ!

小さいころにクリ爺にメジャーリーガー才能発掘作業につきあって ドリルと作業着着て(ドリルはもちません。普通の子供服です)各地を巡業!
 発掘作業の才能が開花!(スカウトの目利きです)

 現地で自分の初仕事で発掘した人材をゲット!球団役員の一員に
できすぎてるやろ・・・・さすが アメリカンドリーム!!

 弁護士もできて 発掘作業もできる 
二足のワラジの アダ美・・・

 これなら二交代勤務も可能だね。
昼の勤務はメジャーリーガー人材発掘 夜の勤務は弁護士(・・・って いつ 寝るんじゃい!)
zebra
2015/03/23 01:48
zebraさん、こんにちは。

アメリカ的講談と言いますか、些か調子が良すぎるお話ですけど、クリント・イーストウッドの存在により、結構素直に観てしまいましたね。

いつも楽しいコメント、有難うございます<(_ _)>

オカピー
2015/03/23 22:22

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