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zoom RSS 映画評「ヴァンパイア」

<<   作成日時 : 2013/10/26 10:45   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2012年カナダ=アメリカ=日本合作映画 監督・岩井俊二
ネタバレあり

才能と独自の個性は認めるが好きな監督とは言い難い岩井俊二監督の新作は、長編映画としては「花とアリス」以来8年ぶりになるとか。そう言えば「花とアリス」を2005年9月にブログを始めてさほど経たない頃アップして女優名を間違えて記載して怒られた苦い記憶がある。当時僕は邦画ファンの間では既に有名だったらしい新進女優・蒼井優すらよく知らなかったのだ。

8年ぶりの新作となる本作はカナダで撮った全編英語による異色ドラマで、タイトルに反して吸血鬼は出て来ない。
 本作のヴァンパイアは吸血鬼ではなく、血が好きなだけの繊細な生物教師ケヴィン・ゼガーズである。だから、女性の首を咬んで血をすするなんてことはせず、自殺サイトを通して知り合った女性たちと一緒に死ぬふりをし、生物教師の知識を生かして血を採取して死に至らしめる。
 映画本編における最初の女性ケイシャ・キャッスル=ヒューズではこれが上手く行くが、次の女性の場合は集団自殺だったので大慌て、ガス中毒ぎりぎりのところでワンボックスから飛び出し、一緒に逃げ出したアデレイド・クレメンスと親しくなる。この辺りから彼の内面に変化の兆しが現れ、彼女の血を抜く自殺幇助を止めただけでなく、妙に死にたがっている日本人留学生・蒼井優の為に輸血する。が、その結果貧血に倒れ、張っていた警官により逮捕されてしまう。

一人の男性の病的な悲しい性(さが)を浮き彫りにする内容で、血を飲んだ後死姦する変質者の描写を挿入して、彼が血を飲むことを喜んでしているわけでないこと、即ち変質者と区別を明確にしているところに、岩井監督らしい青春像への拘りが見られるだろうか。しかし、棺桶に片足を突っ込みかけている僕ら世代の映画ファンが見て喜べるかと言えば相当疑問が残る。青臭い印象を禁じえない。

日本で実際にあった事件がモデルになっているらしい。そのせいか、自殺サイト、認知症患者の介護、家庭内暴力といった要素の扱いはどちらかと言えば日本的な感じが強い。とは言え、日本でそのまま映画化したらかなり奇妙な作品になったと想像されるが、出てくる白人男女が端正なマスクにつきファンタジーとして割合素直に受け止められるところがある。

棺桶で思い出したが、吸血鬼映画に付き物の棺桶の代りに、棺桶型冷凍庫が幾つも出て来るのが御愛嬌。死体保管用でござる。

我が家の周りには吸血鬼がうようよ。さすがに10月も後半になって消えました。蚊のことですよ。

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ヴァンパイア/ケヴィン・ゼガーズ
岩井俊二監督が『花とアリス』以来8年ぶりとなる長編監督作品。その8年の間に岩井俊二さんによるドキュメンタリー作品やプロデュース作品はありましたけど、ホントに久々の待望の ... ...続きを見る
カノンな日々
2013/10/26 21:53

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
吸血鬼物を日本人が作るとどうなるのか?と思っていたら・・・・
なんのこっちゃでありました。
ねこのひげ
2013/10/28 01:22
ねこのひげさん、こんにちは。

小説で言えば、ヤング・アダルト向けのライト・ノベルという感じですかね。
純文学趣味は十分ありますが、子供っぽい。
オカピー
2013/10/28 21:05

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