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zoom RSS 映画評「アスファルト・ジャングル」

<<   作成日時 : 2013/10/25 10:02   >>

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☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1950年アメリカ映画 監督ジョン・ヒューストン
ネタバレあり

一週間ほど前に見た「女と男の名誉」(1985年)がジョン・ヒューストン晩年の傑作なら、こちらはデビュー以来好調が続いていた時代の傑作犯罪映画である。再鑑賞。

出所したばかりの知能犯サム・ジャッフェが、ノミ屋マーク・ローレンスを通じて、50万ドル相当の宝石類強奪する必要経費5万ドルを捻出する為に暗黒街と繋がりのある弁護士ルイス・カルハーンに接近するが、実は若い愛人マリリン・モンローに入れ揚げている彼には大したお金がない。
 彼らは、金庫破りアンソニー・カルーソー、運転手ジェームズ・ホイットモア、用心棒に悪名高い強盗犯スターリング・ヘイドンを雇う。カルーソーの負傷など様々な予想外の出来事に遭遇しながら宝石を手に入れたジャッフェとヘイドンはカルハーンの詐取計画を察知して未然に防ぐが、この後警察の追及の手が関係者に迫る。

現代グループ犯罪映画の雛型と言って過言ではないだろう。本作では雇われ側であるヘイドンが雇う方に転じたスタンリー・キューブリック監督「現金に体を張れ」(1956年)などもその筋運びに則っているように感じられるし、フレンチ・ノワールの大御所ジャン=ピエール・メルヴィルは本作から最大級の影響を受けたそうである。

ヒューストンらしく冷徹なハードボイルド・タッチでありながら、同系列の出世作「マルタの鷹」(1941年)に比べると主要メンバーの人物像造形にぐっと力を注いでいる。特に、血も涙もないと言われるヘイドンの少年時代への拘りに見る純真性、知能犯ジャッフェが弱点である女性への興味から墓穴を掘ってしまう微笑ましさ、強面・冷静を気取る弁護士カルハーンの本質的な弱さなど誠に鮮明。

お話の基本はヒューストンお得意の努力水泡型で、カルハーンがアリバイを崩されて追いこまれ、ジャッフェがカフェでへまを踏み、ヘイドンが銃撃を受けた重傷の身を押して情婦ジーン・ヘイゲンと故郷の牧場まで逃げようとして力尽きる、という終盤の流れの中に上述した夫々の人物像が織り込まれ、強い印象を残す。

再鑑賞とは言え、数十年ぶりにつきお話を追うのに一生懸命だったので映像について一々触れられないが、それでも強盗をして逃げるヘイドンとパトカーを巡る開巻一番のシーンの処理は圧巻。全体としては全てにピントを合わせたパン・フォーカスによる画面が見ていて気持ち良い。

昔の映画もハイビジョンで見ると生き生きと蘇りますデス。

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
>努力水泡型

この言い回し、以前にもお使いでしたか?(笑)
努力実ってバンバンザイよりこっちのほうが
手に汗握って、やれやれホッとさせといて
思いっきりカックンと、映画的余韻絶大。
G・クーパーからざっくり甘さ抜き去った
ような男臭いS・ヘイドン、よかったです。
彼にホの字の情婦の深情けと、カルハーンと
モンローの戯れとの対比も絶妙な味付けでしたね。

話ちがいますが、別口での努力水泡型映画^^
独映画の傑作「Uボート」を昨日WOWOWで
また観ましたが、どうしてあんなに
画面ぼやぼやなんでしょう。
vivajiji
2013/10/25 14:50
マリリン・モンローが的確に役割をこなしていましたね。
破滅が来るのを知っている男の前で、何も知らないモンローがヴァケイションでどんな水着を着るかわくわくしながらしゃべってる場面、大人になってから見ると、あれはつらいというか、いやだなあ、あれ。その後、刑事が来て、モンローが旅行には行けないの? と男に聞くと、「君は行けるよ」と答えるんですよね。
nessko
URL
2013/10/25 18:07
vivajijiさん、こんにちは。

>努力水泡型
使ったかもしれませんが、残念ながら、僕の発明品ではないんですね^^;
双葉師匠が「悪魔をやっつけろ」の批評で確か“努力水泡テーマ”という表現をなさっていたのが気に入り、“テーマ”を“型”に変えた次第。
便利なのでブログを始めてからはともかく、よく使っています。

>ヘイドン
「1900年」のじいさんが強く記憶に残っているのですが、こうして見ると犯罪映画で印象に残るキャラクターを幾つも演じていたんですなあ。
「ゴッドファーザー」にも出ていましたっけ。

>カルハーンとモンロー
nesskoさんもご指摘されていますが、情婦だけど純情なモンローが意外や良かったですね。直後の「ナイアガラ」より良いな。
カルハーンも地味ながら印象深い演技でした。

>「Uボート」
フィルムのマスターからの直接の子孫であればハイビジョン画質になりますが、ビデオ・マスターの子孫なんでしょうなあ。
ジョン・フォードの「静かなる男」はもっとボケボケ、最高画質で留守録しておいたら“何じゃこれ”ってなもんでしたよ。最低画質で十分でした。とほほ。
オカピー
2013/10/25 21:11
nesskoさん、こんにちは。

>いやだなあ、あれ。
確かに、切なく、辛い。
秀逸ですが、余り遭遇したくない場面でしたね。
最近のアメリカ映画では、この作品のマリリン・モンローのような女の子を余り見ない気がしますが。

それにしてもよくご記憶されていらっしゃいますね。
記憶には自信がありましたが、歳のせいか、最近は記憶が怪しくなってきましたよ。
記憶と言えば、一昨日の「三つ数えろ」のところで「汚名」を引用しましたが、「白い恐怖」でしたね。訂正いたします。
記憶違いではなくて勘違いですが、情けないです。
オカピー
2013/10/25 21:28
これは何回観たかわからないほど観とりますな〜
安いDVDも持っておりますが、テレビでやるとつい観てしまいます。
ねこのひげ
2013/10/28 01:25
ねこのひげさん、こんにちは。

僕が最初に観たのは埼玉にいた頃。
テレビ埼玉で放映されたので同僚にビデオ録画して貰ったんですよ。VHFアンテナがない我が家(借家でしたが)では映らなかったので。
その後は多分観ていなかったので、今回が二度目。
今となっては渋い映画で、ハイビジョン放映は嬉しかったですね。
オカピー
2013/10/28 21:02
昔の映画もハイビジョンで見ると・・確かにそうですね。
ジャンヌ・カルマンさん@吉野
URL
2013/11/01 14:22

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