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zoom RSS 映画評「4:44 地球最期の日」

<<   作成日時 : 2013/10/18 10:23   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2011年アメリカ=スイス=フランス合作映画 監督アベル・フェラーラ
ネタバレあり

マヤ歴との関係で一部で騒ぎになった2012年の前には色々と終末映画が作られた。

そのような流行の中で、本作は、オゾン層が明朝4:44になくなり、生命がその瞬間潰えることが確定した地球のある一室で過す中年ウィレム・デフォーと妙齢シャニン・リーの老若カップルの一日を描いている。
 環境破壊云々に関係なく、オゾン層が瞬間的に(しかも確定的に)消えるなんてことがあり得ないことは、100%文系の僕にすら解るから、本作をSFに分類するのはSFに失礼と言うもの。SFに限らず、小説や映画の大半は、ある設定に人を放り込んでその反応を見させるものであるので、本作はそういう一般小説・一般ドラマと大差ないと考えたほうが良い。さもないと人によっては変なものを見せられたと怒り心頭に発してしまうであろう(笑)。

本作の登場人物は、主役のカップルに限らず、もはや淡々と最後の日を過そうとしている。特に家族への思いが顕著で、登場する人物の大半が、家族とコンピューター(スカイプ)を介して話をしたり、家族に言及したりしている。作者アベル・フェラーラが主張したかったのは、恐らく、人間にとって窮極的に一番大事なのは家族である、ということにちがいない。そういう意味では9・11の後続々作られた家族再生ものに近いスタンスとも言えそうな気がする。

実際我々がこうした事態に遭遇したら、案外こんなものかもしれない。この事態に略奪が起きないことを不思議に思っている人もいらっしゃるが、如何に世の中に阿呆が溢れているとは言え、人はこの期(ご)に及んで略奪などしない。何故なら明日全てがなくなるのならお金も食糧も意味を成さず、人を殺しても相手が少し早く死ぬだけのことであるから。恐らく人が死ぬのを怖がるのは自分が死んだ後に他の人や生物が生き残るからで、そうでなければそう怖がらないのではないか。宗教も働く場所を失う筈だが、それでもさすがに人は宗教にすがるとは思う。きっとフェラーラもそんなことを考えているのだろう。

お話は無きに等しい。使われている音楽が面白く、映像もなかなか詩的であるから、映像詩のように見れば楽しめるかもしれない。もう少しドラマ性が高いものを求める向きには、落ち込むこと必至の「メランコリア」のほうがまだ勧められる。

転生もないから安心してあの世へ行けますね。あの世もないかもしれないけど。

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4:44 地球最期の日
地球そのものの大晦日 アメリカ=スイス=フランス。原題:4:44 Last Day On Earth。アベル・フェラーラ監督、ウィレム・デフォー、シャニン・リー、ポール・ヒップ、(映画内テレビ)アル・ゴ ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2013/10/18 10:24

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
これはタイトルは忘れたけど、有名なSF作家のスタージェスが似たような短編を書いてますね。
巨大な太陽フレアが起き地球を襲うことがわかるが、どうしようもないので、発表をせずに、地球の最後を迎えるという話で、一般人は今朝の朝日はいやに明るいな・・などと呑気にいっているけど、アメリカの裏側はすでに黒焦げ状態に・・・
小説としては面白いですが、映像としては相当な力量がいりますな〜
ねこのひげ
2013/10/20 12:56
ねこのひげさん、こんにちは。

>太陽フレア
ならあり得ないことでもないでしょうけど、環境破壊からオゾン層が完全になくなることはないですよね。一部で穴があいたりは実際にしていますが。

>発表はせずに
特定秘密保護法が通れば、もっと他愛ないことも秘密になりそうですよ。
やばいなあ。
オカピー
2013/10/20 20:24

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