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zoom RSS 映画評「女と男の名誉」

<<   作成日時 : 2013/10/17 10:36   >>

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☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1985年アメリカ映画 監督ジョン・ヒューストン
ネタバレあり

久しぶりの再鑑賞。

ジョン・ヒューストンは1940年代彗星のように現れた長距離ヒッターで、1950年代末から60年代いっぱいくらいまではややスランプであったが、70年代以降は波がありながらも長打が戻って来た。その中でも遺作「ザ・デッド」とその前作に当る本作は会心の当たりで、こちらは言わばライナー性のホームランといった感じ。

ニューヨークのシシリア系マフィア幹部の息子で自らもボスの名付け子であるジャック・ニコルスンが、ボスの孫娘の結婚式で紫色の服を着た美人キャスリーン・ターナーに一目惚れ、関係者に問い合わせて遂に彼女がカリフォルニアにいるのを突き止める。
  同じ頃組織がラスヴェガスで経営するカジノの売り上げが奪われる事件が発生、ニコルスンが西部に飛んで裏切った男を仕留めて一服していると、キャスリーンが現れて男の妻と判明。好きな女なので半額を返して貰ったところで手を打ち、二人は夫婦になる。
 話がさらにややこしくなるのはこれからで、ボスの息子リー・リチャードスンがニコルスン殺害に実は殺し屋のキャスリーンを指名したり、一味が自分たちの抹殺を図っていると思った二人が組んで逆襲したりするのだが、結局ボスの鶴の一声でニコルスンは細君を殺す羽目になり、彼女もそれを察する。

殺しを生業とする者同士が夫婦となって嘘も本音も絡んで進行するブラック・コメディー仕立てのお話で、サスペンスより丁々発止の駆け引きに見どころがある。

原題はボスの一族を指す“プリッツィ家の名誉”で、邦題は「女と男の名誉」である。ところが、この“女”はうっかりすると思い込んでしまうキャスリーンではなく、昔ニコルスンと良い仲だったボスの孫娘アンジェリカ・ヒューストン(結婚した孫娘とは別人)を指している。 
 彼女は彼とのいざこざが原因で変な男と駆け落ちした為に父親リチャードスンと不仲になり、4年ぶりに和解したばかり。この彼女がニコルスンの悪口を父親に告げる。そうすれば父親が夫婦とも知らずに前の殺人を依頼したキャスリーンに頼み二人が殺し合うことになると見込んでいたのであろう。
 妻を殺した直後のニコルスンから電話を受けた彼女の明るい声を考えれば、“プリッツィ家の名誉”のプリッツィも彼女を(主に)指していると解釈できる。それを踏まえた邦題はなかなか気が利いていると思う。

ニコルスンが東海岸と西海岸を往復する度に一々向きの違う飛行機が出てくるのは、シークエンスが変わる時に使われる捨てカットの役割も果たしているが、何と言ってもユーモアの醸成に寄与して誠に微笑ましい。

ニコルスン、太る前のキャスリーン・ターナーが好調。出番が少ないアンジェリカ・ヒューストンも相当良い。

以上の内容に加え、「ゴッドファーザー」を意識して作っていることにニヤニヤしながら観れば最高に楽しめる一編と言うべし。

くるくる廻る二人をベッドの頭の方から撮ったラブ・シーンが印象的。ヒューストンかヒッチコックくらいしかこういう変てこなシーンや撮り方は思い付かないだろうね。

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男と女
「男と女」 un homme et une femme (1966) ...続きを見る
映画と暮らす、日々に暮らす。
2013/10/17 14:11

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
まるでタイムスリップしたかのような
J・ヒューストン監督作。プロフェッサーの
筆致も心なしかいつもより嬉しそう、と
感じるのは、私だけでしょうか。(^ ^)
彼は荒削りですけど、映画らしい映画作る人。
私の生まれ年にできた「アスファルト・
ジャングル」。ちょうど先月観まして
(恥ずかしながら初見)“あらあら、これ
とってもいいじゃな〜い”遅ればせの感想。
モンローがどしたこうしたじゃなくて
映画として面白いんですもの。

それにしても、映画ブログのかつての
お仲間さんたち、歯が抜けるように
お止めになってねぇ〜
reiさんことシュエットさんも最近クローズ。
まぁ、生真面目な彼女らしく私のところへは
お遊びに来てくださるけれどやはりクローズは
寂しい。まだまだ語りたい映画は沢山あるはず。
あらためて連日UPのプロフェッサーに最敬礼!

おすぎとの丁々発止も今となれば懐かしい
拙記事お持ちしました。もちろん、
プロフェッサーも来てくださってます。


vivajiji
2013/10/17 14:32
これはすごくよかったと印象に残っています。
ジャック、キャスリーン・ターナー、共にもっともよかった時期かもしれません。
ヒューストン監督にとっては、大根だった娘のアンジェリカ・ヒューストンがこれで役者として成功した、というのも大きいかもしれませんね。
映画全体が、往年の映画の楽しさを持っていて、ヒューストンさすがだと思いました。
nessko
URL
2013/10/17 16:26
vivajijiさん、こんにちは。

それはもう、良い映画、それもやはり昔の映画らしい気分に満ちた上手い映画を見ると何か書きたくなりますですよ^^
最近の映画は、出来が良くても悪くても、書いてて面白くありません。
ヒューストンのタッチはざらざらした質感で、それがハードボイルドらしい味わいになっていますね。骨太でね、良い監督だと思います。

>「アスファルト・ジャングル」
丁度今日WOWOWで放映していますので、予定を変更して(!)久しぶりにまた観てみます。

>シュエットさん
暫く休憩中だなあと思いましたが、遂にクローズですか。残念です。
突然止まってしまうケースが多い中、きちんと報告の記事を書かれるのもシュエットさんらしい。
また帰ってきてほしい。昨年の春先から当方にお見えになっていないので、何か足跡を残してくれると嬉しいのですけどねえ。

>最敬礼
昔からやっていることなので何とか続いております。
他人に見せず、文章が支離滅裂でも良かった時代に比べれば、ブログでは多少緊張を強いられますが、何とかなっておりますです^^
オカピー
2013/10/17 21:27
nesskoさん、こんにちは。

洒落っ気がいっぱいで昔から大好きでしたよ、この映画。
今回がやっと二回目ですけどね^^
最近の映画はどうも洒落っ気がなくてつまらないです。


ジャック・ニコルスンは上手いけれど、時々やりすぎる。この作品は力が抜けて良かったです。
キャスリーン・ターナーは、この後少し太ってこういうクールな女性が出来なくなってしまったのが残念。昔風のクールな女優だったんですが。
アンジェリカ・ヒューストンも、父親のおかげか、大変良かったですね。
オカピー
2013/10/17 21:34
ジャック・ニコルスンは、好きだけど臭いですね〜
この作品では臭さが抜けていてよかったです。
ジョン・ヒューストンに遠慮したか?気張らなくてもよいと思ったかな?
ねこのひげ
2013/10/20 13:04
ねこのひげさん、こんにちは。

ニコルスンについては同感です。
ヒューストンもきっとヒッチコック同様やりすぎが嫌いなんでしょう。
ヒッチコックは「引き裂かれたカーテン」のポール・ニューマンが目の演技をしすぎるので困ったと言っています^^
オカピー
2013/10/20 20:07

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