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zoom RSS 映画評「東ベルリンから来た女」

<<   作成日時 : 2013/10/14 11:08   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2012年ドイツ映画 監督クリスティアン・ペツォールト
ネタバレあり

1980年の東ドイツを舞台にした(恋愛)心理映画。

恋人のいる西側に出国しようとしたのを当局から咎められて田舎の病院に飛ばされた女医ニーナ・ホス(原題のバルバラ)は秘密警察から監視され、上司ロナルト・ツェアフェルトにも彼女の言動を報告する義務がある為四面楚歌状態である。病院に矯正所から逃げて来て髄膜炎を発症した少女ヤスナ・フリッツィ・バウアーや自殺未遂をして脳に障害を起した少年を世話するうちに感じのよいツェアフェルトを憎からず思うようになり、デンマーク経由での密出国を持ちかけて来た恋人との間で選択を迫られる。

こう整理すれば単純なお話であるが、彼女の上司への思いは終盤まで露骨には示されず、寧ろ彼の感じの良さから観客が勝手に想像をたくましくする形になっている。
 当方が最後の10分くらいまで医師に好意を覚えているにしても出国を躊躇するほどとは思って観ていなかったように、見る人によって彼女の心情洞察に大分差が出てくるのではないだろうか。この辺りは曖昧であり、もう少しはっきりと躊躇を打ち出したほうが退院して戻された矯正所から再び脱走した少女ヤスナが絡むことで決断する終幕がもっと劇的になったはずである。曖昧であるのが現在的と言えば現在的で、心理映画として狙いに沿っているのであって、僕が解りやすいメロドラマを求め過ぎているのかもしれないが。

allcinema投稿者による「決断の理由が弱い」というコメントについて。
 この“決断”は、一般的な理解から推して、彼女がヤスナを自分の代りに出国させることで否応なく病院に戻る、という恋愛映画的決意を指すと思うが、僕の考えは少し違う。彼女が残る決断をする理由がヤスナを逃がす為であると同時に、医師への思いがあればこそヤスナを逃がす決断ができたとも思える。つまり、決断は同時に二つあり、夫々が決断の理由にもなっていて、どちらが先にあったのかヒロイン本人にすらはっきりしていないのではないか、ということである。そういう意味でなかなか面白い幕切れであった。

ベルリン映画祭で銀熊(監督)賞受賞。

監視する必要のない(全員が利他主義になる)ほど人が成熟しない限り、共産主義は成立しない。つまり、永続する共産主義は永久に成立しない。マルクスやエンゲルスは人間の本質を楽観的に見過ぎていた。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
マルクスとエンゲルス・・・・『資本論』・・・大学時代に習いましたが・・・
まあ、二十歳前後のねこのひげでも、これは理想論であるな〜と思いましたですよ。
かぶれて学生運動に走る連中の神経も理解できませんでしたな。
人間の欲望には大小があるようですからね。
ささやかでいいと思う人と全部を手に入れないと気が済まない人との差がありますからね。

女性の揺れ動く気持ちというところですかね。
祖国を捨てきれないということもあったでしょうね。
ソビエト映画の『帰郷』でもそうでしたが・・・・サベリーオワも美しかったですが、ロシアの大地も美しかったですね〜
ねこのひげ
2013/10/14 18:13
ねこのひげさん、こんにちは。

>マルクスとエンゲルス
「資本論」は膨大ですし、経済論の部分が難しくて読んでおりません。拡大再生産といった言葉は知っております。
読んだのは短い「共産党宣言」(それもごく最近)だけですが、純粋でした。共産主義が定着すれば、時間がかかっても、経済は伸びていくと信じている。
しかし、人間は欲がある生き物。共産主義は欲を満足させにくいですから、原始社会ではともかく、文明が進めば進むほど成立しにくい。物質社会の権化アメリカが他の先進国以上に共産主義(社会主義と混同していますが)を憎むのもその辺にあるでしょう。
大体、国民を監視しないと崩れてしまうところにこの考え方に無理のあることが如実に示されていますよね。

>『帰郷』
おおっ、ご覧になっていますか。それは凄い。
当地には来ていないと思いますし、この後東京で何年か過ごした時代に、文芸坐辺りにかかったような気がしますが、見られなかったです。
TVにも出ていないんじゃないでしょうか。
羨ましいです。
オカピー
2013/10/14 22:13

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