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zoom RSS 映画評「十三人の刺客」(1963年版)

<<   作成日時 : 2013/10/11 13:10   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
1963年日本映画 監督・工藤栄一
ネタバレあり

東映の時代劇は既に当時のお年寄り向けに作られていた印象が強く殆ど観ていないのだが、時代劇が衰退に入り始める1960年前後から新感覚のシャープな時代劇も幾つか作られた。本作もその一つだが、それでも僕は敬遠して何度もTVで放映されてきたのに観なかった。今回観たのは三池崇史のリメイクがなかなか良かったからで、違いなどを確認しながら観た。

徳川十二代将軍・家慶の異母弟の明石藩主・松平斉韶(なりつぐ=菅貫太郎)の悪逆非道の暴君ぶりに堪忍袋の緒を切った老中・土井利一(丹波哲郎)が、御目付・島田新三衛門(片岡千恵蔵)に暗殺の命を下す。島田は甥の新六郎(里見浩太郎)を筆頭に腕に覚えのある侍11人を集めて暗殺部隊を構成、参勤交代の行程を読んで綿密な計画を立て、途上の宿場町を買い取りそこで暗殺を敢行することにし、町の郷士・木賀小弥太(山城新吾)を加えた総勢13名で、敵軍に立ち向かうことになる。

というお話は木賀の扱いが違うくらいで大体同じ。リメイクで敵の人数が数値として具体的に現れていたのは、ゲームが定着した平成の人々に向けた脚色であったと思われる。

さて、本作脚本を書いた池上金男には一つの目的の為に結束する侍というモチーフにおいて「七人の侍」(1954年)が頭にあったにちがいない。「用心棒」(1961年)「椿三十郎」(1962年)がヒットした為その西部劇的ムードも加えてこの作品を書いたのだろう。ただ「七人の侍」が群像劇的要素が強かったのに比べると、本作では十三人の総体を一つの人格のように扱っている雰囲気があるので、ドラマ性や人物造形の面白さを期待するとぐっと淡白に感じられる筈である。脚本の行間から、或は、当時まだ若手だった工藤栄一監督のタッチから虚無主義的な匂いが漂っているのもヒューマニズムに立脚した「七人の侍」とは違う。

リメイクと比べても、ロングショットの多さが余計に淡白な印象をもたらす。逆に、「七人の侍」の性格描写が煩く感じられるムキには好感を抱く方もいらっしゃるだろう。
 どちらが良いというわけではない。「七人の侍」と本作とでは見せ方において狙いが違う。狙いが的外れではなく、かつ、その目論見通りに作られていれば、程度こそ違え、見る人が見れば楽しめるのである。

小泉さんの頃だったろうか、選挙で刺客を“しきゃく”と発音する議員が多いのが気になった。必ずしも間違いではないが、“しかく”と言わないと“まる”は付けられない。本当はせきかくと読むらしい。

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十三人の刺客(2010&1963)
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映画と暮らす、日々に暮らす。
2013/10/11 15:42
独断的映画感想文:十三人の刺客
日記:2009年12月某日 映画「十三人の刺客」を見る. 1963年.監督:工藤栄一. 出演:片岡千恵蔵(島田新左衛門),里見浩太郎(島田新六郎),内田良平(鬼頭半兵衛),丹波哲郎(土井大炊頭利位), ...続きを見る
なんか飲みたい
2013/10/12 19:56

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
「総体」「虚無的」
そして「目論見通り」。
まさにおっしゃる通りでございましたね。
台詞うんぬん等、私のこだわりは脇に置きましても
この書き手、監督さんのあれは色なんでしょうし。

文字そのものに無関心な人々多し。
若者は酷いほどですが往々にして私の知るところ
学歴や年齢関係なく。これに気づいた時の
落胆は未だ沸いてないお風呂に入った感。^^;
人生はこれだけじゃないけれど一旦こだわると
やたらこだわるわが狭量さが時に疎ましくもあり。(^ ^);

ちなみに「三池崇志」は崇史と覚えて
おりましたが、違いましたっけ?^^

「七人の侍」含め男が男であったあの時代の
邦画はやはり理屈抜きでいいですよ〜
女の私から観てもほれぼれします。^^
vivajiji
2013/10/11 16:34
vivajijiさん、こんにちは。

東映時代劇末期のこの辺りの作品になりますと、映像もシャープで、殿様映画の面影薄く結構なお手前、てな印象がありました。

本作が虚無的なのは、恐らく、安保闘争後の空気を引きずっているのだと勝手に思っていますが、その結果昔の時代劇と違って良い意味でゲーム感覚の部分が出始めたとの印象もありました。

>文字
衆議院議員さん所謂代議士は殆どが一流大学出ているし、政治家は歴史小説などお好きでしょうにね、何故“刺客”の一般的読み方を御存じないのか不思議。

>三池崇志
ご指摘有難うございます<(_ _)>
パソコンで“崇史”がなかなか出て来ないのでいつも手間かけて出しておるですが、今回チェックし忘れました^^;
早速直しました。

>男が男であったあの時代
経済成長の時代で、何だかんだ言って男性に自信があったのかもしれませんね。
時代劇俳優も1990年頃には絶滅危惧種になりまして、まともにできそうな方は現在70代以上でしょうか。
オカピー
2013/10/11 21:14
俳優の名前は忘れましたが、黒沢明さんの映画『七人の侍』に端役で出れることになり、10畳ぐらいの部屋で面接があり、緊張してあったら「君は馬に乗れるかね」と言われて『乗れません」と言ったら「俳優じゃあないね」と言われたそうです。
まあ、そういう時代ははるかかなたになったということでしょうね。
ねこのひげ
2013/10/13 05:36
ねこのひげさん、こんにちは。

>『七人の侍』
仲代達矢ではないでしょうか?
結局、通行するだけの役がついて、これがデビュー作になったと思います。

アメリカの西部劇も日本の時代劇とほぼ同じ状況ですが、時代劇の方が所作や言葉遣いが現代劇と違う度合いが大きいと思われますので難しいでしょうね。
オカピー
2013/10/13 17:04
そういえば、太秦に時代劇の学校が出来て、時代劇の所作や殺陣を教えるそうですよ。
このままいくと時代劇が作れなくなることを危惧したとのことです。
ねこのひげ
2013/10/14 06:54
ねこのひげさん、こんにちは。

良いことですね。
しかし、先生は年寄りばかりじゃないですか?(笑)
オカピー
2013/10/14 21:43

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