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zoom RSS 映画評「ル・アーブルの靴みがき」

<<   作成日時 : 2013/09/23 10:23   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2011年フィンランド=フランス=ドイツ合作映画 監督アキ・カウリスマキ
ネタバレあり

アキ・カウリスマキが小津安二郎シンパであることは良く知られているが、その彼には既に何人ものフォロワーが出ている。何もしないでボケっとしているように見える登場人物を撮る辺り特に真似をしやすいようである。

ル・アーブル、コンテナで密入国を図ったガボンの難民のうち少年ブロンダン・ミゲルが逃走する。糟糠の妻カティ・オウティネンに末期の病気で入院されてしまった老靴磨きアンドレ・ウィルムが英国の母親の許に行きたがっている少年と知り合って匿う。隣人ジャン=ピエール・レオーの密告で、警視ジャン=ピエール・ダルッサンが探りを入れてくる。老人は、難民キャンプを訪れて少年の祖父と会い母親の住所を得ると、少年の密航費用を捻出する為に奮闘、周囲の人々が色々と協力してくれる。

戦前のフランス映画と小津の“喜八もの”を合わせたような古風な人情劇で、“喜八もの”においてでさえ世間はもっとシビアであるが、なかなか良い。
 一人レオーを除いて皆好人物である。何故レオーが好人物になれないのか。誰とも交流しない孤独な人だからである。他の人物は少年を巡って情が伝播し、少年の為になろうとする。ダルッサンの行動も予想通りであるが、ヒューマニズムに徹底することで現実を離れ寓話化することに成功している。妻に起こる奇跡は主人公の善意への神の報酬である。

最後の桜は小津映画の幕切れを思い出させ、何故か涙が出てきた。

秋(アキ)深き 隣は何を する人ぞ

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kintyre&#039;s Diary...
2014/03/31 23:27

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
靴磨きも少なくなりましたね〜
いまは新橋や浅草で数人見る程度ですけど・・・・
ありえないような話ではありますが、あって欲しいという願望を掻きたててくれますね。
ねこのひげ
2013/09/23 19:02
ねこのひげさん、こんにちは。

>靴磨き
デ・シーカの「靴みがき」や戦後の日本映画でもありましたが、いずれも1940年代後半の作品で、それ以降は実際にやられている方が減っているので映画でも取り上げられることが減った(事実上なくなった)のでしょうね。少なくとも、すぐに思い出させる作品の記憶がないです。

本作は、日本の諺「情けは人の為ならず」を寓話化したようなお話でした。
色々な文学を読んでも、「人生(の肝)は人との交わりである」というところへ収斂していく作品が多いので、単なる人情ものと言い切れない深みも結構あると思う次第。
オカピー
2013/09/23 22:33

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