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zoom RSS 映画評「ハンター」

<<   作成日時 : 2013/09/19 09:58   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2011年オーストラリア映画 監督ダニエル・ネットハイム
ネタバレあり

元傭兵故の腕前を生かして雇われハンターをしているウィレム・デフォーが、バイオ企業の依頼を受け、80年ほど前に絶滅したと言われるタスマニアタイガーを探して仕留めるべくタスマニアの奥地に入って行く。会社はDNAを採取してその毒を生物兵器か何かに利用しようというのだ。
 宿とするのは自然保護関係者の男性の家で、戸主が失踪して1年以上も経つ家を薬物中毒の細君フランシス・オコナー、おしゃまな娘モーガナ・デーヴィス、口を利かない息子フィン・ウッドロックが護っている。
 周囲では自然保護団体が仕事を奪うと林業者が不穏な空気を漂わせ、ひたすら正体を隠して行動している為に彼も様々な嫌がらせを受ける。一家と親しくなったのを雇い主から咎められた彼は仕方なく再び森に入り、その直後、後任者と思われる男と出くわして反撃、男の持ち物から一家の危難を知って戻るが、家は焼失し、フランシスと娘は死んだと聞かされる。彼はタスマニアタイガーを殺して焼き尽くし、生き残った息子を引き取る決意をする。

原作はジュリア・リーの小説。アリス・アディスンの脚色がなかなか良いように思う。
 アウトラインは、孤高に生きてきた男が一家三人と過すうちに家族の有難味を知って一家の息子を引き取り、平凡な人生を選ぶというだけに過ぎないのだが、間借りの家をデフォーに仲介した現地ガイドのサム・ニールがフランシスに懸想していて、嫉妬の挙句デフォーの行動を会社に密告した為に後任が現れて一家が悲劇に遇う、といった流れが非常に自然。彼女の夫は元来自然保護運動家などではなく、デフォーと同じ企業から雇われたハンターであったと判明、この種明かしも終盤の展開を面白くしている。

主人公が最後の一匹かもしれないタスマニアタイガーを仕留めるのは、生前フランシスに言われたこともあり、この動物を巡ってつまらない人間の争いを起させないという決意の結果である。本当に最後の一匹であるなら早晩絶滅するわけで、意味のある決断であると思う。最後の一匹を殺した者が絶滅に追い込んだ人々より罪深いなどということはない。この動物は孤高に生きてきた彼自身のメタファーでもある。昔の彼自身を始末したのである。だから、予定調和と言われそうなラストは極めて理に適っていると言って良いだろう。
 罪深いと言えば、バイオ企業、林業者、現地ガイド、いずれにもそれぞれ違うタイプの罪がある。それぞれが人類の悲しい性(さが)を体現している。

お話も誉めたが、一番の収穫はタスマニアの絶景を収めた撮影かもしれない。これだけでも絶対観る価値がある。

同じ有袋類と言っても他の哺乳類に似た色々な種類があるもんだねえ。昔は爬虫類と言われた恐竜に色々あるように。

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ハンター(2011)
タスマニア大自然紀行 公式サイト。オーストラリア映画。英題:THE HUNTER。ジュリア・リー原作、ダニエル・ネットハイム監督。ウィレム・デフォー、フランシス・オコナー、サム・ニー ... ...続きを見る
佐藤秀の徒然幻視録
2013/09/19 11:03
ハンター
最後の標的。 男は、何に照準を合わせたのか―― 原題 THE HUNTER 製作年度 2011年 製作国・地域 オーストラリア 上映時間 100分 原作 ジュリア・リー 脚本 アリス・アディソン 監督 ダニエル・ネットハイム 出演 ウィレム・デフォー/フランシス・オコナー/サム・ニー... ...続きを見る
to Heart
2013/09/19 12:06
ハンター
猛禽類のようなお顔立ちはなされていても ウィレム・デフォーは、菜食主義者とか。 そういえばそうかもしれないと思うのです。 菜食オンリーの方々や年中走ってるマラソンの人 ... ...続きを見る
映画と暮らす、日々に暮らす。
2013/09/19 15:12

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
なかなか良く出来た映画で、原作も読んでみたくなりました。
生命の歴史の時に、前段階に似たような生命が生まれるそうで、有袋類というのは現在の哺乳類の実験的な哺乳類だと言われているそうです。
恐竜のときも似たような生物が出来た後に、恐竜が生まれて栄えたそうです。
なぜ、そんな実験的な生命が生まれるのかはなぞだそうですけどね。
ねこのひげ
2013/09/22 06:49
ねこのひげさん、こんにちは。

>実験的な哺乳類
なるほど。
オーストラリア以外に住んでいる他の哺乳類の大多数より古い可能性があるわけですね。
オカピー
2013/09/22 21:14

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