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zoom RSS 映画評「善き人」

<<   作成日時 : 2013/09/16 10:46   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2008年イギリス=ドイツ合作映画 監督ヴィセント・アモリン
ネタバレあり

先般麻生大臣の「ナチス手法で云々」が日本以上に世界的に問題になったが、色々な問題が含まれる中でもひどい歴史誤認がナチスを反面教師にしている欧米の政治家には信じ難い思いがしたであろう。ナチスはこっそりワイマール憲法を変え、民主的に政権の座に就いたのではないのである。

戦争前、文学教授ヴィゴー・モーテンセンは、安楽死を扱った小説がヒトラーに気に入られたと知らされ、党幹部から「人道的な死」をテーマにした論文を書かせられる。こうして粛々と言われたことをこなしていくうちに学部長になり、入党を余儀なくされ、親衛隊幹部にまで出世する。そんな環境下、彼の前妻を診ていた友人のユダヤ人精神科医ジェースン・アイザックスから助けを求められるが、うまく対応できず、結局年下の後妻ジョディー・ホイッテイカーの密告で収容所送りになってしまう。それを知った彼は、手に入れた権力を利用して収容所まで捜しに出かけるが、峻厳な現実に呆然とせざるを得ない。

この映画の言わんとすることはよく解る。主人公はナチスを熱烈に支持していたわけでもないのにいつの間にかナチスの協力者になっている。平凡であればある程ドイツ国民はナチスの手先になっていった、というのである。弁護するわけではないが、麻生さんにはそれが頭にあったのかもしれぬ。

それはともかく、本作については、誠実な印象を受けつつも、証文の出し遅れと言うしかない。主人公の寄りからカメラが引いて行き収容所の全景になっていく幕切れは、自分のことを中心に考えているうちに世界が変っていた、と気付く主人公の内的宇宙が表現されているようで一応は面白いのだが、今更の感を益々強くする。

ナチスの鉤十字で迷惑を被っているのは、卍を掲げる仏教であります。

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善き人
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2013/09/16 10:54
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カノンな日々
2013/09/16 16:15

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
麻生さんは、人間としては好きですが、政治家としてはどうなんだろう?と首をかしげますね〜
卍は元々仏教が使っていたのをナチスが利用したわけで、おかげでヨーロッパでは使えなくて大いに迷惑しているそうですけどね。
誤解というのは容易に溶けないというか・・・・自分に都合の悪いことを隠すために利用しているような気もしますね。
ねこのひげ
2013/09/17 02:55
ねこのひげさん、こんにちは。

>麻生さん
マンガ好きの麻生さんに期待するのは、アメリカの禁酒法並みの悪法になる可能性のある、児童○ルノ禁止法の反対ですね。児童○ルノ禁止先進国の欧米でも(と言うか欧米なら)創作物への適用は憲法違反だそうです。
欧米の映画ではやたらに幼女の裸が出てきますが、この法律が今のまま施行されたら、カットの憂き目に遭うのでしょうか? 

>卍
ナチスのは逆なんですが、そんなの関係ない、てことでアメリカの仏教寺院が襲われたことがあるそうです。
在米のお坊さんが誤解払拭のために奮闘している、と新聞にありました。
オカピー
2013/09/17 22:05

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