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zoom RSS 映画評「セブン・デイズ・イン・ハバナ」

<<   作成日時 : 2013/08/22 09:51   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2012年フランス=スペイン合作映画 監督ベニチオ・デル・トロ、パブロ・トラベロ、フリオ・メデム、キャスパー・ノエ、エリア・スレイマン、フリオ・カルロス・タビオ、ローラン・カンテ
ネタバレあり

ラテン語圏を中心にした7名の監督がキューバのハバナを舞台に作り上げた全7話のオムニバス映画で、一部にクロスする挿話がある。

俳優のベニチオ・デル・トロが監督した第一話は、ハバナの演劇学校を訪れたアメリカの若者ジョシュ・ハッチャースンが、ナンパに失敗し続けた揚句やっと盛り場で知り合った背の高い女性をホテルまで呼び寄せるのに成功するが、ホテルマンから「男性ですよ」と教えられてしょんぼりする。お話のとぼけた風味は悪くない。

第二話は、ハバナ映画祭に参加した映画監督エミール・クストリッツァ(本人役)の運転手との交流を描く。彼は自分の映画が意に反して評価されるのが何となく面白くないのだが、運転手の知り合いの音楽を聞くうちにゴキゲンになる。監督はパブロ・トラベロで、音楽の使い方がうまい挿話が多い中でもなかなか良い音楽が聞ける。

第三話は、スペインの酒場経営者ダニエル・ブリュールに気に入られて移住を持ちかけられた酒場歌手メルビス・サンタ・エステベスが、野球選手の恋人から止められて、怒ってはみたものの、やはり恋人が気にかかる。こちらも音楽が素敵で、お話もムードも断然優れている。監督はフリオ・メデム。

少女の儀式を描いて何のことだかよく解らない第四話はキャスパー・ノエが監督。ショットを切り替える度にカメラのシャッターよろしくブラックアウトを使うのが面白いのみ。一人合点の極みと言うべし。

第五話は、イスラエルからカストロにインタビューする為に訪れたエリア・スレイマン(本人役)がいつまで経ってもカストロの演説が終わらずに困惑する。監督もスレイマン自身。タッチはジム・ジャームッシュ風だが、台詞が殆どなく雲を掴むような感じ。

フリオ・カルロス・タビオが監督した第六話は、第三話のメルビスの両親のお話で、頼まれたお菓子を作ろうとしているのに停電など色々な災難がふりかかる。お菓子を作るのにあくせくしている母親ミルタ・イバラがTVにも出演する有名な心理カウンセラーと判るのが面白い。メルビスはどうも別の国に亡命して野球をすることにしたらしい恋人を支援する為密かに出国するらしい。それを見守る親たちとの地理的関係が解りにくい為感情的に盛り上がるべき終幕が今一つぱっとしない。

老婆ナタリア・アモーレが夢に見た聖母マリアの助言に従ってパーティーの準備を進め、同じ建物の住人が色々と協力する第七話。第六話で作られたお菓子がここに配達される。監督はローラン・カンテ。

全体として完成度は余り高くないが、社会主義国なのに割合自由で明朗な印象のあるキューバがイメージ通りに描出され、音楽と共に醸成されるペーソスになかなか捨てがたいものがある。

第五話に何台か取り上げられる動かない車がキューバのムードを象徴しているのでしょう。マルクスの案に相違して共産主義は国民を経済的に豊かにしませんなあ。半世紀後には全滅でしょう。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
マルクスの失敗は、人間の感情を抜きにして理論だてたことでしょうな。
1+1がかならずしも2にならないというのが人間ですからね。
映画も我々が面白くないと思う映画でも面白いという人がおりますからね。
ねこのひげ
2013/08/22 18:33
ねこのひげさん、こんにちは。

>マルクスの失敗
そういうことだろうと思います。
彼は、人間は善である、と考えすぎていたんですよ。
共産主義者のトップが、毛沢東やスターリンのような怪物になるとは思っていなかったわけですね。
スターリンなんか、僕に言わせれば、ロシア史上で一番ひどいツァーリ(皇帝)と変わらんではないかと思いますよ。
或いは、平等に扱われることによって生まれる心理も恐らく深くは考えなかったんでしょう。「共産党宣言」しか読んでいないので断言はできませんが。
100点を取っても50点、0点でも50点ではやる気なくしますものね。実際にはそこまでの極端はなかったにしても。
オカピー
2013/08/22 21:53

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