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zoom RSS 映画評「最終目的地」

<<   作成日時 : 2013/07/07 10:03   >>

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☆☆☆★(7点/10点満点中)
2009年アメリカ映画 監督ジェームズ・アイヴォリー
ネタバレあり

20世紀最後の15年くらい大活躍だったジェームズ・アイヴォリーの威力も今世紀に入って衰えたようだが、変わりない格調の高さと落ち着いた風情に安心した。心理の陰影をじっくり見せる文芸作品の映画化では近年この監督の右に出る人はいないのではないだろうか。

アメリカの若い大学講師オマー・メトワリーが自殺したウルグアイ在住のドイツ人作家の伝記を書こうとするが、遺族の公認が得られない。恋人の講師アレクサンドラ・マリア・ララに背中を押されて再交渉の為ウルグアイの作家邸に赴いた彼は、作家の妻ローラ・リニー、作家の愛人シャルロット・ゲンズブール、作家の兄アンソニー・ホプキンズと彼が庇護する日本人男性・真田広之が営む奇妙な共同生活に少々当惑しながら交渉開始すると、兄はすぐに翻意し、若いメトワリーに共感を覚えたシャルロットも公認、ローラは彼を招かれざる客扱いをする。
 やがて養蜂をしている真田を手伝った時に蜂に襲われて昏睡状態に陥り、アレクサンドラが駆けつける。彼の意識が回復すると今度は彼女がローラと交渉するが、首を縦に振らない。が、ホプキンズの発案で彼女に母親の宝石類を渡して自由にすることにすると彼女も漸く承諾する。しかし、若い伝記作家の心は今やシャルロットにあり、結局本をものすることができず、再び屋敷に戻ってくる。

原作は現代文学のピーター・キャメロンの同名小説だが、興味深いことに、アイヴォリーの出世作「眺めのいい部屋」(原作E・M・フォースター)に通ずる、異国ムード(だけではないが)が訪問者の心理に影響を与えていく内容になっている。同時に、この訪問者は邸の人々に影響を与える存在でもあり、さらに興味を惹起する。

それ以上に、それぞれ違った考えを持つ登場人物の心理が沈潜しているような格調高い画面と、彼らを演ずる役者たちの個性とアンサンブルに酔わされた。デジタル時代にあってこういうフィルム感覚の映画に遭遇するのは非常に嬉しい。裏返せば、普段はかなり淋しい映画鑑賞生活を送っているということです。

映画館で一番映画を観た1980年代の匂いが漂ってくる。

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最終目的地
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2013/07/07 12:03
この世の「果て」の家〜『最終目的地』
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真紅のthinkingdays
2013/07/07 20:08

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
真田さんがまともに扱われているのが良かったですね。
渡辺健さんなど、最近の日本人俳優がまともな役につけるのがよいですな。
ハリウッド映画というと、どうしても日本人がおかしな風に描かれるのがいやでしたが・・・
ねこのひげ
2013/07/07 17:43
ねこのひげさん、こんにちは。

大体アジア人がハリウッドに進出すると、まず悪役を押しつけられるのですが、真田氏はそういうことはなかったですね。
オカピー
2013/07/07 19:24

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