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zoom RSS 映画評「捜査官X」

<<   作成日時 : 2013/07/30 10:30   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2011年香港=中国映画 監督ピーター・チャン
ネタバレあり

最近とみに人気のドニー・イェンのカンフー・アクション。

1917年(中華民国)雲南省、紙職人イェンが両替商に入った強盗二人をやっつけて村の英雄になるが、捜査に入った官憲・金城武が検視、殺し方が武術の達人のものであると気付き、どうも十年前に姿を消した西夏族の徒党・七十二地刹のNo.2であると踏み、追いかけまわして遂に彼から自白を引き出す。
 官憲の行動からイェンの行方を知った一味が村を急襲、連れ戻しに躍起になるが、家族との幸福に拘る彼の抵抗激しく失敗に終わる。遂に彼の父親である教主ジミー・ウォングが業を煮やして現れ、息子と激しい対決を繰り広げる。

前半は、金城捜査官が人体に関する知識を駆使して悪党をやっつけたヒーローをかつて悪事を重ねた容疑者として追い始めるミステリー仕立てで、なかなか面白い。特に、彼がイェンや商人の証言を頭の中で構築する場面が、一種のトランジション・ショット(現在と過去が同時に映っているショット)になっていてユニーク。凝り過ぎて解りにくい印象をももたらした幕切れはこの場面の応用である。

この調子でずっと進めば時代ミステリーとして収穫だったのだが、半分も進まないうちにイェンが自白してしまって拍子抜け、昔ながらのお話に終始する後半はカンフー・アクションを観るしかなくなる。
 つまり、全体の構図の中で魅力的な金城捜査官は狂言回しの位置にあるわけで、ダブル主演と言われていても、実質的にイェンの映画である。アクションはなかなか多彩で見応えあり、カット割りも悪くないが、もう少しじっくり見せたほうが彼のアクションの凄味がもっと解るはずだ。惜しいねえ。

マニアックなところでは、老いて往年の面影が全くなかったジミー・ウォングが片腕となったイェンを相手に戦う場面が楽屋落ちとしてニヤニヤさせる。カンフー・ファンにはつとに知られたように、1960〜70年代ウォングは片腕ファイター役でならしたのだ。

気になったのは辮髪。清滅亡後ながら登場人物の殆どが依然辮髪なのは恐らく雲南省(当時は省だったか?)の田舎だからで、金城は中華民国政府の役人だからざんぎり頭ということになるのだろう。都会で辮髪なら清王朝シンパと見なされ大事(おおごと)になるかもしれない。

中国時代劇の邦題は「ヒーロー<英雄>」以降カタカナやアルファベットが使われるケースが俄然増えた。本作のXは金城の役名 Xu Bai-ju の頭文字からの着想と想像されるが、いずれにしても謎の人物を示すXのような印象を与えるし、辛亥革命後だから時代劇とは言えないものの、クラシックな内容に合っていず気に入らない。

邦画に目立つ、時代劇のエンディング・クレジットで現代的な歌がかかるのも興醒める。時代劇はインストルメンタルに限りますなあ。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
前半のまま進めば・・・・たしかに!
即興的に脚本をその場で作りかえるというのをいまでもやっているんですかね〜
現代的な歌・・・・あれで興ざめさせられますね。
物語でしたと言われているような気がします。
余韻に浸らしてくれといいたいですな。
ねこのひげ
2013/08/03 02:19
ねこのひげさん、こんにちは。

まあ、ドニー・イェンのアクションも観たいという人がいるわけですから仕方がないと言えば仕方がないのですが、しかし、下手に期待を持たせた分罪が深い(笑)

>物語でした
正にそういう感じですね。
オカピー
2013/08/03 20:48

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