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zoom RSS 映画評「ゴモラ」

<<   作成日時 : 2013/06/03 13:37   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2008年イタリア映画 監督マッテオ・ガッローネ
ネタバレあり

事前に情報を得ないで観るのをポリシーとしているので、全く戸惑った。登場する人物は一部を除くと交わりそうで交わらないまま進行、一時間以上経ってから5つほどの物語が並行して進行する形式と理解して落ち着いた次第。

イタリアはナポリ。
 ローティーンの少年トト(サルヴァトーレ・アブルツェーゼ)は対立する勢力の間に挟まって物資を配達するなど親しくしている女性マリアを誘き出し、殺害の肩棒を担がされてしまう。
 ドン・チーロ(ジャンフェリーチェ・インパラート)はそのマリアとの関係で敵対組織に協力して味方を裏切る。
 ハイティーンのマルコ(マルコ・マコール)とチーロ(チーロ・ペトローネ)はギャングの武器を発見して奪って調子に乗って悪行三昧をした挙句親玉の巧妙な罠に嵌って殺害され、ゴミのように処理される。
 有害物質が大量に含まれる産業廃棄物を処理する会社の営業畑についたロベルト(カルミネ・パテルノステル)は利用されている人々を見るに忍びなく、自ら仕事を放棄する。
 腕の良い仕立屋パスクワーレ(サルヴァトーレ・カンタルーポ)は上部組織に搾取されている為中国人の引き抜きに応じるが、組織は移動中の中国人たちを暗殺する。

確かに人物は交錯しないが、この5組の顛末に関与しているのが全てカモッラという組織である。本編が終って字幕でカモッラについて軽く触れた時にやっと何を描きたかったのかやっと解ったというのが実際で、カモッラはアメリカの大物ラッキー・ルチアーノも関与したコーサ・ノストラ(シチリア・マフィア)に匹敵するイタリアの企業犯罪組織(広い意味でのマフィア組織)らしい。コーサ・ノストラほど統制されたグループではなく、犯罪形態が似ている幾つかの大グループがごく緩やかな関係を持って一括してそう呼称されている模様。

アメリカ映画のように最初にカモッラという組織について軽く説明してくれてから本番に入ってくれると展開の把握に当惑しなくて済んだのにと文句の一言でも言いたいところだが、いずれにしても子供は利用する、女子供と言えども非情に殺害する、一般庶民からは搾取する、といったカモッラの悪徳がその名称なしに即実的に描写されている。映画の中の少年たちが真似をするアメリカ・ギャング映画のすさまじい暴力描写と比べると派手さはなく、ぐっと実感を伴うタッチである。

彼らは30年間に4000人を殺し、一組織の麻薬売り上げは平均一日約50万ユーロ、その他にも色々と商売に手を染めているが、そうして得たお金は例によってマネー・ロンダリングされ投資に使われている、という。

中部のナポリが主な舞台であるから、同じイタリアでも貧困層が目立ち、北部のような洗練された感じが全くないのも「昨日・今日・明日」(1964年)当時と殆ど変らない。イタリアはローマ帝国崩壊後都市国家で長らくやってきたお国柄で、統一されてまだ150年余りに過ぎないから同じイタリア人と言っても都市によって市民性が結構違うことが色々なイタリア映画を見るとよく解って勉強になる。最近のナポリを知るには本作はうってつけと言うべし。

カモッラ(Camorra)が「旧約聖書」に出て来る都市ゴモラ(Gomorrah)と同じように悪徳に満ちているということで、綴りの相似性からこの題名になったのだろう。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
じっさい、この組織について日本のテレビ局が取材した番組を見ましたが、かなり危険なようで、ナポリの人たちは顔を写さない約束でも、おびえていて、口が重たかったですね。
いらんことをしゃべって殺された人が多いようです。
ねこのひげ
2013/06/05 16:55
ねこのひげさん、こんにちは。

最終的には同じようなものなんでしょうが、日本の暴力団やシシリアン・マフィアなどと違って、この映画を観る限りカモッラの連中は表面的には正に実業家で、その業績の為には人殺しでも何でもやるという感じですね。
華やかなファッション業界も無縁ではないとはねえ。

>顔を写さない約束で
そうでしょう。
アメリカのマフィアをめぐる裁判も証人保護が大変ですから。
オカピー
2013/06/05 18:58

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