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zoom RSS 映画評「ジェーン・エア」(2011年版)

<<   作成日時 : 2013/06/22 10:14   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2011年イギリス=アメリカ合作映画 監督ケイリー・ジョージ・フクナガ
ネタバレあり

シャーロット・ブロンテの同名小説は、僕のHPのリメイクリストによれば翻案を含めると26度映像化されている。Allcinema投稿者のK氏は27度と言っている。いずれにしても妹エミリーの「嵐が丘」の32度(マイHPによる)と遜色ない。原作が発表された当時(19世紀半ば)の評価は「嵐が丘」に優るものだったと聞くが、現在の感覚では読み物的色彩が多分にある「ジェーン・エア」はやや劣ると言わなければならない。

とにかく、当時は、いずれも早世した彼女たちが男性名で発表せざるを得ない、男尊女卑の階層社会であった。そういう時代性を踏まえて観ないと余り意味がない。個人的には、原作を読み、日本で劇場公開された1944年版、1970年版、1996年版のいずれも見ているのでお話の妙味を味わうというわけにはいかず、かと言って時間が経ち過ぎている為差を正確に指摘する楽しみも限定的にならざるを得ず、少々困った。
 という次第で、初めてこのお話に触れる人より採点上は若干厳しい評価になるかもしれないが、日系アメリカ人のケイリー・ジョージ・フクナガは原作の英国的ムードに沿ってなかなか上手く作っていると思う。

邪悪な叔母に邪険にされて寄宿舎学校に放逐された孤児ジェーン・エアが、差別にもめげずにその学校の教師を経て、ロチェスター卿(マイケル・ファスベンダー)の幼い姪の家庭教師になり、後日旅から戻って来た彼から身分を越えて慕われ遂に結婚する段に及んで、彼に発狂した妻がいることが判明、家を飛び出して聖職者兄妹のリヴァース家に厄介になって、村の娘相手の学校教師になるが、聖職者の兄ジョン(ジェイミー・ベル)の求婚されるや、卿への思いを断てないジェーンは彼の屋敷へ戻ってみる。

原作と違うのは、時間軸を操作してリヴァース家に身を寄せた彼女の回想形式のように展開していることで、その為に原作にも若干あったミステリー趣味がぐっと強くなっている。ミステリー趣味と言えば、卿が戻って来てさほどしないうちに火事があり、謎の青年が現れる場面は、後段へのミステリー的伏線である。

原作のお話を殆どいじらずにバランスだけを変え、原作よりヒロインとロチェスター卿の愛情関係に関する描写を増やし、より深く二人の心理を掘り下げる作りにすると同時に、さらりとした描写のうちに彼女の女性の地位向上への希求をきっちりと印象付け、現代観客の常識に合うように原作の読み物的性格を抜け出る構成をしていると感じられる。さすがに21世紀の映画化であるという印象を覚える。

成人後のジェーンにはミア・ワシコウスカが扮して好演。

「嵐が丘」の原語版が家のどこかにあるはずなのに見つからない。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
『ジャーン・エア』なんどか観た記憶がありましたが、製作が26回27回とは思いませんでした。
日系とはいえ、日本人が海外でも映画監督をできるようになりましたか。
ねこのひげ
2013/06/23 15:48
ねこのひげさん、こんにちは。

日本の映画館で公開されたのは4回で、日本で観られたTVムービーもあったかな。
数回は英米以外の国で翻案されています。

>日系、日本人
撮影監督でも優秀な方が何名かいらっしゃいますね。アメリカの撮影監督は、何故か知りませんが、ポーランド系が多いです。
オカピー
2013/06/23 21:57

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