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zoom RSS 映画評「プンサンケ」

<<   作成日時 : 2013/05/03 09:42   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2011年韓国映画 監督チェン・ジェホン
ネタバレあり

WOWOWはこのところ韓国映画を多く放映している気がするが、余り観る気が起こらない。ごく一部の映画作家以外の作品は何を観ても同じようにしか見えないからだ。しかし、本作はキム・ギドクが製作総指揮と脚本を担当していると知って再放映を録画して観ることにした。

本作を観てなるほどギドクだなと思ったのは、「悪い男」に似て主人公に全く台詞がないこと。幾つかあるギドクと北野武の共通点でも一番顕著なのがこの点で、北野武同様台詞のない若しくは少ない重要人物を用意する作品が少なくない。

本作の主人公ユン・ゲサンは38度線を往来して市民の願望を聞き届ける一種NPOのような運び屋。例えば南の老人の映像を北にいる老妻に見せ、彼女の映像や孫を持ち帰る。何がしかの報酬を受けるとは言え、凡人には命を賭けてまで出来る仕事ではない。
 或る時北の重要な情報を握る脱北した元高官の要請に応えて北に残して来た若い愛人キム・ギュリを見事連れ帰るが、元高官が彼女とユンとの関係について想像をたくましくして嫉妬に駆られて怒り狂い、情報を引き出そうと懸命の韓国情報院を混乱に陥らせる。その間にソウルに潜伏している北のスパイ連中がギュリ嬢を拉致してユンに男を殺すよう強制する。
 ギュリ嬢に惹かれたユンは双方の組織が彼女を利用するだけ使用した挙句に北側スパイが宝石の為に彼女を殺したことに逆上、関係者全員を北のアジトに閉じ込め直接対決させ、本人はいつもの仕事に戻っていく。

サムライ」のアラン・ドロンや高倉健を引用するまでもなく、寡黙な男は格好良い。何が彼をそうさせるか皆目解らないが、南北の諍いを馬鹿にしているというより眼中にない雰囲気が濃厚。しかるに、精神的に愛した女性が強制され飲み下した宝石の為に無意味に殺されたことに腹を立てないわけにはいかない。実際に手を下した北の連中は勿論、利用したという意味で南の連中も同じ穴のムジナである。
 そこで彼が取った直接対峙させて殺し合わせる現場の密室場面では、北朝鮮と韓国が互いに誹謗中傷しながらも未だ武器を使えない(朝鮮戦争が再開できない)現実がカリカチュアルに再現されている。従って、それが最終的にどうなるかは映画は見せない。

「朝鮮半島のない地球に意味がない」「資本主義のくそ」などと言う北の連中の言っていることは、自分たちだけが良い暮らしができれば良いキム一族の真情に照らせば全く欺瞞である。僕等はそう観て色々と考えて映画的には楽しめるが、ギドクがそうした政治的メッセージを発信することに意味を見出して作ったとはとても思えず、恐らくは「悪い男」のように歪な愛を描くのが主眼であっただろう。そう考えるとヒロインが自分を零落させた男との関係に幸福を見出す「悪い男」ほど鮮やかな図式を構築できたとは言えず、出来映えは落ちる。南北分断の悲しみに甘えたところが見える。

しかし、ギドク関連の映画に出て来る韓国人は他の映画と違って極端ではなく、日本人にも理解できる。その点はさすがである。

ギドク脚本にしては毒は薄め。正に偽毒という感じなり。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
この3本は観とりませんので・・・・なんとも言えませんが・・・・
ここのところダジャレに凝っておられますな〜(*^。^*)〜♪
ねこのひげ
2013/05/04 07:13
ねこのひげさん、こんにちは。

ダジャレに命をかけています。嘘です(笑)。
でも、このダジャレは良いところを付いているんですよ〜ん、多分。
オカピー
2013/05/04 21:41

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