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zoom RSS 映画評「SHAME−シェイム−」

<<   作成日時 : 2013/05/29 11:20   >>

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☆☆☆(6点/10点満点中)
2011年イギリス映画 監督スティーヴ・マックィーン
ネタバレあり

内容を別にしても色々話題性のある英国映画で、監督の名前がスティーブ・マックィーンというのがまず面白い。あのマックィーンが天国から降りて来て作ったわけではないのは言うまでもない。

アイルランドから移住してきたらしいニューヨークのビジネスマン、マイケル・ファスベンダーは風采の良い見かけによらずセックス依存症で、コンピューターにはポルノ画像やらエロ・チャットやら色っぽい情報で溢れ、会社のトイレで自慰に耽り、電車で視姦し、売春婦を連れ込む毎日である。
 そんなある日、恋愛依存症的な妹キャリー・マリガンが押し掛けて同居を開始した為エロっぽい生活を楽しむことができなくなり、彼に頼ろうとする妹を冷たく突き放した為に彼女は自殺を試みてしまう。異常事態を早めに察した為に一命は救われるが、彼はむせび泣く。

同僚OLに話すように彼はコンスタントな人間関係を避けている。そこで生じる歪み(孤独)のツケがこうしたセックス依存症を生み出しているようで、現実逃避の一手段として性を使っているのである。だから、仕事関係という現実において互いに知っている同僚OLとは上手く事を運べない。

題名のシェイム(恥)とは何だろうか。セックスやセックス依存症が恥なのではない。厄介な現実を避けられるだけ避け、そこで生じる隙間を欲望で埋めようとし、それが出来ないと本来きちんと向き合うべき肉親と向き合えなくなることが恐らく恥なのである。そこに気付き始めて、彼はありとあらゆるエロ資料をゴミ箱に捨て去るが、急にすっきりするべくもない。

そこで思い出すのがallcinemaにおける「アントキノイノチ」への或る方の投稿である。そこには作者がアダルトビデオ=悪と思っているのがいけないといった旨の表現があったが、あの作品の作者はアダルトビデオ=悪などとは思っていない。僕もよく憶えているが、あの作品には死んだ人間は身内なかんずく女性(姉)にそうしたビデオを見せたくない筈という業者の配慮を描いた場面がある。しかし、その背景となる考えは、悪ではなく恥であろう。一般的アダルトビデオは悪ではないが、そうしたものを中年男性が持っていることは特に付き合っている女性がいず社会的に半人前という風に捉えられる可能性が高く、本人としても胸を張れるものではない。両方の作品に共通するのはそこに対人関係の希薄さ、孤独が見えることである。

本作の兄妹の場合近親相姦的な匂いもあって様相はもっと複雑、そこに彼がコンスタントな人間関係を嫌う理由があるのかもしれないと考えることも出来る。

マックィーン監督は長回しを多用して時間経過を現実に近付ける一方で、資料を始末する部分などでは短いショットを畳み掛けるといった工夫をしているが、作者の全く関与しないことながら我が邦の劇場で公開された以上にボケボケの画面(特に終盤)では不愉快にならざるを得ない。作者としては損をした形。

キャリー・マリガンの全裸シーンが話題性その2だが、爽やかさが魅力の女優なのでどちらかと言えば有難迷惑に近いものを感じる。しかも、少々太めに感じて幻滅した。役作りの一環だろうか?

結論は“それでもLife goes on”というやつでござる。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
「アントキノ猪木」と読めますけど〜
ジョーク・・ですか〜プロフェッサー?(笑)

太め→幻滅、ですか〜
スターはイメージ、ですからね〜
そうそう、プロフェッサーお好みの
M・ウィリアムズ、S・ポーリー監督ものでは
思いっきりのスッポンポンでございました〜(^ ^)
vivajiji
2013/05/29 15:55
vivajijiさん、こんにちは。

>「アントキノ猪木」
うわっ、本当だっ!
あの映画の中で「アントキノイノキ」という文句が出てくるもんだから、間違って書いてしまいました(恥)。
早速訂正しました。
ご指摘有難うございました<(_ _)>

>太め
裸でも何でも良いけど、太めは良くない^^;
「17歳の肖像」の時は顔ももっとほっそりとしていたような気がしますねえ。
彼女はロバート・デニーロしたのでしょうか?(笑)
だったら根性に一票を投じたいと思いますぞよ・・・^^
オカピー
2013/05/29 16:38
アフリカ生まれの英国人ということらしいですが、同姓同名ということで、名前でひかれますね。
アメリカではR17指定だったようで、日本では上映禁止だったけど、ボケを受け入れて上映許可を取ったとか・・・・
無修正であっても、いいような気がするけどね。
ねこのひげ
2013/05/30 02:10
ねこのひげさん、こんにちは。

やはりアメリカ人ではないのですね。
アメリカ生まれの黒人は、先祖がアフリカから来た後改姓して、ジョーンズだの、ジャクソンだの、ワシントンといった姓を名乗ることが多いので、マックィーンという黒人は珍しいなあと思っていたわけですが。

>上映許可
どうもそうらしいですね。
「フィルムをカットされるよりは良い」と監督はしぶしぶ承知した、と僕の知り合いのブロガーが書かれていました。

>無修正
変な気分になるのを目指して本作を見に来るような人はいないって(笑)
人生探求の高級な映画までぼかしを入れなければならないとは、日本の官憲たちは国民を信用していないんですなあ。
オカピー
2013/05/30 14:38

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