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zoom RSS 映画評「野獣の青春」

<<   作成日時 : 2013/05/18 10:29   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
1963年日本映画 監督・鈴木清順
ネタバレあり

鈴木清順としては同じ年に作った先日の「悪太郎」より彼の美学が発揮されている。

一番それがはっきり現れているのは、モノクロ部分におけるワン・ポイントの赤い花である。カラー部分でも赤い花が使われていて、本作ではそれほどでもないがカラー作品における鈴木監督の赤への拘りは尋常ならぬものがある。ただ、年を経るに従って露骨に見せるようになる意図的な文法無視が基本的になく、カット割りは省略を多用しながらなおかつ解りやすく、日活アクションのお話としては寧ろ正統派の部類であろう。
 さらに、防音設備のある部屋での音の扱いも印象深い。

ヤクザに嵌められ服役していた元刑事・宍戸錠が元同僚がコールガールと心中したのを知り、女が属するコールガール組織を弟・川地民夫に管理させているるヤクザの親分・小林昭二に接近、信用を得て傭兵的に雇われると事件の鍵を握っているのが小林の“六番目の女”であるという情報を掴む。
 事件解明と復讐の前段として信欣三率いる麻薬組織との抗争を煽るべく両組織に与して作戦開始するが、やがて小林に正体を掴まれる。しかし、部下にも協力して貰えず自暴自棄になった信が小林の屋敷に爆弾を積んだ車で突っ込んだのに乗じて形勢逆転、遂に事件を画策した張本人を突き止める。

無駄が少なく完成度の高い作品であるが、僕が余り良い点を出す気になれないのは、お話の骨格となる宍戸錠の画策が「用心棒」でも流用されたダシール・ハメットのハードボイルド小説「血の収穫」と同じ図式だからである。「用心棒」が面白く感じられたのは初鑑賞時「血の収穫」を全く知らなかったし、脚本が台詞を中心に非常によく出来ていたからであるが、その点残念ながら同作に大分及ばず、「なーんだ、『血の収穫』パターンか」ということになってしまう。

実は二度目の鑑賞で、最初の時(20年くらい前?)も同じ点数を付けていたことをIMDbに残されている自分の採点記録で確認した。ただ、ミステリー的に記憶していた以上によく出来ていて本稿で伏せた幕切れは序盤からの伏線をきちんと回収しつつ、意外性もあるので、「血の収穫」を気にしないで観られる人はかなり楽しめるはずである。

原作は大藪春彦の「人狩り」。

青春なんて全然関係なかったな。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
原作というか種本を気にしないで観た口ですが・・・・どこが青春なのか?でしたね。
このころ青春とつけるのが流行っていたような気がするので、それでかな?

大藪晴彦さんの本もけっこう読みましたが、いまはああいう純然たるハードボイルドは流行らないようでありますね。
ねこのひげ
2013/05/19 05:37
ねこのひげさん、またまたこんにちは。

>青春
野獣も余り関係なかったですけど、宍戸錠だから「ま、いいか」くらい(笑)。

>大藪春彦
僕は1〜2冊かな。いずれにしてもタイトルすら憶えていませんや(苦笑)。
彼は、「血の収穫」が大好きらしく、本作の原作以外にも、オマージュをささげた「血」シリーズというのがあるそうですね。
「血の収穫」パターンを踏襲した邦画では市川雷蔵が主演した「赤い手裏剣」という時代劇がありますが、今調べたらこれも大藪さん原作でした^^;

>ハードボイルド
底流にはロマンティシズムがあるものが多いですが、少なくとも表面上は乾いた印象ですから、特に日本人には受けないのではないでしょうか。
クールなタッチの犯罪映画を今年になって幾つか見ました。本来のハードボイルドとはかなり違いながらも、ハードボイルドと形容する傾向があります。クールとハードボイルドの区別がついていないみたいですが、ま、いいか(笑)。
オカピー
2013/05/19 16:34
宍戸 錠さんが出演した映画の題名は忘れました。
○<落合紘史)
URL
2013/06/09 15:41

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