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zoom RSS 映画評「幸せの行方・・・」

<<   作成日時 : 2013/05/13 10:39   >>

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☆☆★(5点/10点満点中)
2010年アメリカ映画 監督アンドリュー・ジャレッキー
ネタバレあり

タイトルから想像される内容と全く違って、実話を基に映画化されたサスペンス・ミステリーである。

ニューヨークの不動産業者フランク・ランジェラの長男ライアン・ゴズリングが医師を目指す妙齢美人キルステン・ダンストと知り合い、弟同様に家業を継いで貰いたい父親の意向に逆らって、仲良く地方で地味な食料品店を始める。結婚後に彼女も医学部に合格して幸福に突き進むかと思われつつ、結局彼が家業を継いで半端仕事をさせられるうち、少年時代に母親を自殺に追い込んだ父親との関係や母親の自殺を目撃した過去から精神のバランスを失い、キルステンとの関係もおかしくなる。やがて妊娠した彼女に堕胎させると直後に彼女は失踪する。

というお話が、失踪18年後に二件の殺人事件で審理されている被告としての彼の証言として綴られていく。この殺人事件というのが明らかに妻の失踪と関係があり、一つは彼女の“失踪”について重要な事実を知っているらしい旧友の女性リリー・レイブが彼と同じアパートに住んでいるフィリップ・ベイカー・ホールに殺され、やがてそのホールが銃で死ぬ事件である。

最終的に彼はホールの死体を遺棄した罪だけに問われて9カ月の懲役に服したということで終り、ミステリー小説のような鮮やかな結末を見ないので、観客はすっきりしない。実話ということを重視したマイナス面が出た形であるが、その中で作者はそれなりに工夫をしている。

工夫その一。基本的に証言が映像になるということで嘘が交じっているかもしれない主観映像ベースで進行しているわけだが、その中に被告が実際に経験したであろう主観映像或いは客観映像(に近いもの)を織り交ぜ、主人公が全殺人事件の犯人(殺人教唆を含む)であると実質的に断定している。
 その典型が殺されたリリーが失踪直前のクリステンのふりをしていることを明らかにする場面で、これは神のみ若しくは被告のみ知る事実であるから、神なら即ち客観映像、被告なら真実の主観映像という扱いになる。少なくとも作者はこれをもって彼女が殺されたことを暗示する。

もう一つの工夫は、キルステンが失踪する直前にずっと後の出来事であるホールの切断死体遺棄場面を唯一時系列を無視してインサートし、観客を混乱に導こうとしていること。遺棄されたのがホールの死体であることは終盤判るのだが、その時点では大方の観客はキルステンの死体と想像する。その直後キルステンが登場してやがて失踪するから、却って観客は混乱するという寸法。ここから映画は一気にミステリーの側面を強めていく。

実話を最大限ミステリー的に扱う努力は評価したいが、三分の二くらい進行するまで審理中の証言であることを明確にしない(うっかり者の僕はインタビューと思っていた)作劇は寧ろマイナスではないかという気がする。

原題と邦題をもじって言えば、All good things must pass. ということじゃね。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
実話だからといって実話通りに作ることはなくて、観ている側を納得させることが大事ですよね。
ノンフィクションではないのだから、監督なりの解釈がはいていいと思うんだな。
ねこのひげ
2013/05/14 02:47
ねこのひげさん、こんにちは。

本作も、作者側は犯人を暗示的に断定しているのですが、本人が実業家として安穏といきているので、実話を謳った以上、本式の断定はできなかったんでしょう。
仰るように、下手に実話を謳わず、終盤もっと工夫をすれば面白いミステリーになったんだけどなあ。
オカピー
2013/05/14 21:06

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